薩摩郷句平成18年度用
鮫島爺児医 作 三條風雲児 選
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− 薩摩郷句 平成19年度  目 次 −

「鍵」(かっ)   [平成19年12月号]
「素性」(すじょ)   [平成19年11月号]
「札」(ふだ)   [平成19年10月号]
「無理」(むい)   [平成19年9月号]
「機嫌」(ごっ)   [平成19年8月号]
「時」(とっ)   [平成19年7月号]
「連れ」(つれ)   [平成19年6月号]
「腕」(うで)   [平成19年5月号]
「声」(こえ)   [平成19年4月号]
「煙草」(たばこ)   [平成19年3月号]











平成19年12月号  吟題 「鍵」(かっ)

(入選)どけか鍵ぐ 忘れっ女房ん  帰ゆ待っ
(どけかかぐ わすれっかかん もどゆまっ) 
(唱)(早よ帰っけち   掛くいケータイ)

盗っ奴も 居らんで故郷あ 鍵ぎゃ不要じ
(とっやっも おらんでさとは かぎゃいらじ) 
(自唱)(近所隣いは 家族と一緒)
(きんじょとないは かぞっといっしょ)

鍵ぐせんじ 開錠けられ居っち 大騒動しっ
(かぐせんじ あけられちょっち うそどしっ)
(自唱)(心の鍵を 閉めるが先手)
(こころのかぎを  しめるがせんて)

鍵よっか 心ん締めが 盗難く防っ
(かっよっか こころんしめが ぞくふせっ)
(自唱)(盗られそな物は 無くてん用心)
(とられそなとは  なくてんゆじん)

鍵ぐしてん 安心出来ん 物騒な娑婆
(かぐしてん あんしんでけん せわなしゃば)
(自唱)(鍵開け泥棒は 厳罰ちしもそ)
(かっあけどろは げんばちしもそ)

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平成19年11月号  吟題 「素性」(すじょ)

素性ん良か  馬は勝手にゃ 恋や出来じ
(すじょんよか うまはかってにゃ こやできじ)
(自唱)(精液の売れ先きゃ 決まっちょうせば)
(たねんうれさきゃ きまっちょんせば)

素性ん良か 猫が鼠に ちょくられっ
(すじょんよか ねこがねずんに ちょくられっ)
(自唱)(育っが良かで 天敵きゃ知らじ)
(そだっがよかで てんてきゃしらじ)

悪りは悪り 良かた良かとで そいも素性
(わりはわり よかたよかとで そいもすじょ)
(自唱)(素性は大概でん 努力が大事)
(すじょはてげでん どりょくがだいじ)

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平成19年10月号  吟題 「札」(ふだ)

(入選) 同窓会 名札を見い見 語い出っ
(どうそかい なふだをみいみ かたいでっ) 
(唱)(誰様けえち 聞っ訳けいかじ)
(だいさあけえち きっわけいかじ)

禁煙の 札ん目ん前へ 有い灰皿
(きんえんの ふだんめんまえ あいへざら)
(自唱)(支離滅裂が 多か娑婆です)
(てらんぱらんが おおかしゃばです)

札付の  悪童が頑張って 教師なっ
(ふだつっの わるがきばって きょうしなっ)
(自唱)(悪童ん教育きゃ 信念が入っ居っ)
(わるんきょういきゃ ねんがいっちょっ)

札嫌れん 爺あ籤じゅ当てっ 機嫌が良し
(ふだぎれん じあくじゅあてっ ごっがゆし)
(自唱)(又当つかいち 籤好き変わっ)
(またあつかいち くじずきかわっ)

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平成19年9月号  吟題 「無理」(むい)

(入選) 塾通い あいもこいもち 無理ゆさせっ
(じゃっがよい あいもこいもち むゆさせっ) 
(唱)(親ん言成いで 可哀想した子供)
(おやんゆないで ぐらしたこどん)

無理をしっ 頑張い医者をば 拝ん母親
(むりをしっ きばるいしゃをば おがんかか)
(自唱)(頼いなっとは 先生だけち)
(たよいなっとは せんせいだけち)

無理をしっ  見合をさせたが どんぴしゃっ
(むりをしっ みえをさせたが どんぴしゃっ)
(自唱)(波長が合うて 直時き婚約)
(はちょうがおうて いっきこんやく)

無理ゆしてん 結果が良かや 褒められっ
(むゆしてん けっかがよければ ほめられっ)
(自唱)(結果次第で 評価されもす)
(けっかしだいで ひょうかされもす)

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平成19年8月号  吟題 「機嫌」(ごっ)

(入賞 人位)
利口な女房 亭主ん機嫌取や  慣れたもん
(じくなかか ととんごっとや なれたもん) 
(唱)(掌ん中け  転ろじょい亭主)
(てのはらんなけ ころじょいとのじょ)

横んご大工 機嫌つ損のえば 家は歪ん
(よんごでっ ごつそこのえば えはゆがん)
(唱)(余計な事つ言と はし睨られっ)
(よけなこつゆと はしねぎられっ)

久振い 孫が来た言て 機嫌の良爺
(さしかぶい まごがきたちゅて ごっのえじ)
(自唱)(相撲とったい 肩車したい)
(すもうとったい  びびんこしたい)

利口な孫 爺ん機嫌取ろち 肩を揉ん
(じくなまご じんごっとろち かたをもん)
(自唱)(近日中ち修学旅行が  決まっ居んせば)
(ちけうちぎょじが きまっちょんせば)

頼ん事ちゃ 機嫌が良か無や 聞かん親父
(たのんこちゃ ごっがよかねや きかんとと)
(自唱)(父親ん機嫌にゃ 母親が知っ居っ)
(ととんきげんにゃ かかがしっちょっ)

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平成19年7月号  吟題 「時」(とっ)

(入賞 人位)
寸時の 油断も出来けん 手術中
(いっとっの ゆだんもでけん しゅじゅっちゅう) 
(唱)(メスを忘れた 言こちゃ無かごっ)
(メスをわすれた ちゅこちゃなかごっ)

世界新 タッチした時か 時計ゆ見っ
(せかいしん タッチしたとか とけゆみっ)
(唱)(ガッツポーズん 揚げた拳)
(ガッツポーズん かかげたこぶし)

夫婦喧嘩 時が良か態い 仲裁をとっ
(みとげんか とっがよかふい なかをとっ)
(自唱)(喧嘩はしてん 暴力は駄目)
(けんかはしてん ぼうりょくはだめ)

時く経てん 忘れは出来ん 茸雲
(とくへてん わすれはでけん きのこぐも)
(自唱)(人類の歴史に 残る大罪)
(ひとのれきしに のこるだいざい)

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平成19年6月号  吟題 「連れ」(つれ)

(入賞 人位)
連れ添って 五十年過っが  言わん好っ
(つれそって ごじゅねんたっが ゆわんすっ) 
(唱)(愛の言葉を 聞こごちゃい女房)
(あいのことばを きこごちゃいかか)

良か児じゃち 見れば連れちょい 親が良し
(よかこじゃち みればつれちょい おやがゆし)
(唱)(いけな躾を しちょったろかい)
(いけなしつけを しちょったろかい)

長旅も 連れと気が合っ 短こなっ
(ながたっも つれときがおっ みしこなっ)
(自唱)(今乗ったとに 早々へ着っしもた)
(いまのったとに もへつっしもた)

良か見合で 連れ決まってん 心配な父親
(よかみえで つれきまってん せわなとと)
(自唱)(あいもこいもち 余計な心配し)
(あいもこいもち よけいなせわし)

児を寝かす 母親あ連れ寝で 鼾くけっ
(こをねかす かかあつれねで いびくけっ)
(自唱)(鼾き吃驚っ 児は目が醒めっ)
(いびきたまがっ こはめがさめっ)

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平成19年5月号  吟題 「腕」(うで)

(入賞 地位)
安月給 遣い繰や女房ん 腕で頼っ
(やすげっきゅう やいくやかかん うでたよっ) 
(唱)(感謝をしいし 肩を揉ん方)
(かんしゃをしいし かたをもんかた)

腕競た 友人が先き逝っ 寂んのし
(うできそた どしがさきいっ とぜんのし)
(自唱)(喧嘩もしたが 頼い成っ友人)
(けんかもしたが たよいなっどし)

腕前は グリーン上で 物を言っ
(うでまえは グリーンじょうで ものをゆっ)
(自唱)(長げとが入れば 短けた入らじ)
(なげとがいれば みしけたいらじ)

腕ん良か 釣い手ん側にゃ 釣人も寄っ
(うでんよか ついてんそばにゃ ひともよっ)
(自唱)(場所より腕ち 分からん釣人が居っ)
(ばしょよりうでち わからんしがおっ)

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平成19年4月号  吟題 「声」(こえ)

(入選 1席) 太て声で 叫っ散らけた 選挙戦
(ふてこえで おらっちらけた せんきょせん) 
(唱)(寝せた赤子が 驚っ泣ちょっ)
(ねせたあかごが たまがっねちょっ)

座布団も 声も宙い舞た 良か相撲
(ざぶとんも こえもちゅいもた よかすもう) 
(自唱)(相撲ん醍醐味みゃ 客くが知っ居っ)
(すもんだいごみゃ きゃくがしっちょっ)

頼ん事ちゃ 猫撫で声で 土産付っ
(たのんごちゃ ねこなでごえで みやげつっ)
(自唱)(土産持参にゃ 用心ん肝要)
(みやげじさんにゃ ゆじんかんよう)

産声が 家内中いずるっ 福くば撒っ
(うぶごえが けねじゅいずるっ ふくばめっ)
(自唱)(元気な声が 未来を祝っ)
(げんきなこえが みらいをいおっ)

談合いな きな臭せ声が 見え隠れ
(だんごいな きなくせこえが みえかくれ)
(自唱)(姿は見せじ 天の声あっ)
(すがたはみせじ てんのこえあっ)

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平成19年3月号  吟題 「煙草」(たばこ)

(入選 2席) 煙草好っ 医者が叱ってん 止むたせじ
(たばこすっ いしゃががってん やむたせじ)  
(唱)(俺が身体ち 聞っもんじゃなか)
(おいがからだち きっもんじゃなか)

吸なち言えば 故意と吹かすい 横ご者
(すなちゅえば わざとふかすい よんごもん) 
(自唱)(他人の迷惑きゃ 頭な無か様子)
(ひとのめいわきゃ  びんてななかふ)

煙草栽培 難儀ん割いな 報われじ
(たばこさっ なんぎんわいな むくわれじ)
(自唱)(禁煙者には 滅茶苦茶言われ)
(きんえんかには めちゃくちゃゆわれ)

煙草をば 親ん油断で 幼児が飲ん
(たばこをば おやんゆだんで ちびがのん)
(自唱)(危険物等 側に置かん事)
(きけんぶつなだ そばにおかんこっ)

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(唱)は選者にいただいたものですが、入選外のものには(自唱)として掲載しました。
薩摩狂句は句と唱はペアーに成って意味が通ずる事があります。