薩摩郷句 
鮫島爺児医 作 三條風雲児 選
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− 薩摩狂句平成22年度 目 次 −

「猪口」(ちょこ)   [平成22年12月号]
「抜け毛」(ぬけげ)   [平成22年11月号]
「旅行」(たっ)   [平成22年10月号]
「湯気」(ほけ)   [平成22年9月号]
「海」(うみ、うん)   [平成22年8月号]
「眺め」(ながめ)   [平成22年7月号]
「筍」(たけんこ)   [平成22年6月号]
「口実」(だし)   [平成22年5月号]
「鞄」(かばん)   [平成22年4月号]
「梅」(うめ)   [平成22年3月号]
「炬燵」(こたっ)   [平成22年2月号]
「寝正月」(ねしょうがっ)   [平成22年1月号]













平成22年12月号  兼題 「猪口」(ちょこ)

(地位)
 猪口交わし 俺が君がの 同窓会
(ちょこかわし おいがわいがの どうそかい)
(唱)(遠慮気兼ねが 要らん宴会)
(えんりょきがねが いらんえんかい)

 寒み晩にゃ 熱燗猪口で 機嫌な祖父
(さみばんにゃ あつかんちょこで ごっなとと)
(唱)(熱燗猪口で 寒さ吹っ飛っ)
 (あつかんちょこで さむさふっとっ)

 箸戦でな 両方い注がれ 嬉し猪口
(なんこでな まんぼいつがれ うれしちょこ)
(唱)(負けせかすれば 飲んがなっ思も)
(まけせかすれば のんがなっとも)

 運転じゃ 猪口ん一杯が 怪我ん源
(うんてんじゃ ちょこんいっぺが けがんもと)
(唱)(一杯が大事故ん 原因いなっ)
(いっぺがじこん もといなっ)

 乾杯じゃ 出番が無かち 悔やん猪口
(かんぱいじゃ でばんがなかち くやんちょこ)
(唱)(コップか茶碗が 出番ござんそ)
(コップかわんが でばんござんそ)

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平成22年11月号  兼題 「抜け毛」(ぬけげ)

(地位)
 抜け毛をば 又生えっ来ち  神棚み奉っ
(ぬけげをば またはえっけち かみまつっ)
(唱)(ごろいと神頼みないもした)
(ごろいとかみだのみないもした)

 抜け毛ずい DNAは 子に遺伝っ
(ぬけげずい ディエヌエーは こにうつっ)
(唱)(鑑定でいっき解いもんど)
 (かんていでいっきわかいもんど)

 抜け毛止め 高価とを買てん 尚抜けっ
(ぬけげどめ  たけとをこてん なおぬけっ)
(唱)(良か薬や無ごっごわんさい)
(よかくすやねごっごわんさい)

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平成22年10月号  兼題 「旅行」(たっ)

(地位)
 何処け行てん 言葉なまいで  出身地がばれっ
(どけいてん ことばなまいで でがばれっ)
(唱)(鹿児島弁も いっき露顕もす)
(かごいまべんも いっきばれもす)

 肩を揉ん 旅行の餞別っ 願ん孫
(かたをもん  たっのせんべっ せがんまご)
(唱)(可愛か孫いな 勝てもはんこと)
 (むぞかまごいな かてもはんこて)

 旅行すっち 暇が出た時きゃ 足が駄目
(たっすっち ひまがでたときゃ ごてがノー)
(唱)(足駄目じゃ働れた甲斐も無し)
(ごてぼっじゃはたれたかいものし)

 旅支度っ あいもこいもち 凄ぜ荷物
(たっじたっ あいもこいもち わぜにもっ)
(唱)(旅行慣れせんと 荷物ちゃ増えもす)
(たっなれせんと にもちゃふえもす)

 空ん旅行 景色は見らじ ただ移動っ
(そらんたっ けしきはみらじ ただうつっ)
(唱)(パノラマ見てん 飽が来もんで)
(パノラマみてん あっがきもんで)

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平成22年9月号  兼題 「湯気」(ほけ)

(天位)
 良か女房じゃ 三食き確んと 湯気が付っ
(よかかかじゃ  さんしょきちゃんと  ほけがちっ)
(唱)(良か奥さんを持って幸せ)
(よかおくさんを もってしあわせ)

 湯気ん先  美人に見えたが 女房じゃった
(ほけんさっ しゃなにみえたが かかじゃった)
(唱)(奥さんに見せたい良か句です)
 (おくさんにみせたいよかくです)

 寒稽古 後にゃ湯気たて  雑煮待っ
(かんげいこ あとにゃほけたて ぞうにまっ)
(唱)(忘れられもはん雑煮の味)
(わすれられもはんぞうにのあっ)

 箸戦好っ 父ん頭にゃ 湯気がたっ
(なんこずっ ととんびんたにゃ ほけがたっ)
(唱)(負くれは桜島ん 噴火んごちゃっ)
(まくればしまん ふんかんごちゃっ)

 露天風呂 湯気い連られっ 猪口く重ね
(ろてんぶろ ほけいつられっ ちょくかさね)
(唱)(お大尽になったよな気分)
(おだいじんになったよなきぶん)

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平成22年8月号  兼題 「海」(うみ、うん)

(地位)
 海が無や 水も無うなっ 命ちゃ無ど
(うんがねや みっものうなっ いのちゃねど)
(唱)(海が無なれば 地球は没ぢゃ)
(うみがなければ ちきゅうはぼつじゃ)

 絶景の 海辺い老廃物  言語道断
(ぜっけいの うみべいごもぞ なっちょらん)
(唱)(外国名の 廃棄物も混じっ)
 (がいこくめいの ごもぞもまじっ)

 海好きで 海軍の兄にょ 今瞼
(うみずきで かいぐんのあにょ いままぶた)
(唱)(海を見る度 兄にょを思めでっ)
(うみわみるたび あにょをおめでっ)

 故郷の海 昔んままで 待っ居した
(さとのうみ むかしんままで  まっちょした)
(唱)(故郷戻よ 待っ居った態で)
(さともどよ まっちょったふで)

 海と空 地平線でな  仲良なっ
(うんとそら ちへいせんでな なかゆなっ)
(唱)(切っても切れん 仲御座居申す)
(きってもきれん なかございもす)

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平成22年7月号  兼題 「眺め」(ながめ)

(人位)
 月く眺め 狂句は出来んうち  焼酎が効っ
(つくながめ くはでけんうち そつがきっ)
(唱)(酔いが早よ来っ 句は出来もさじ)
(よいがはよきっ くはでけもさじ)

 窓からん 眺めが良かた のろか汽車
(まどからん ながめがよかた のろかきしゃ)
(唱)(新幹線は 早過ぎて没)
 (しんかんせんは はやすぎてぼっ)

 ご来光  思わじ全員っ 手を合わせ
(ごらいこう  おもわじずるっ てをあわせ)
(唱)(みんな心が 洗われました)
(みんなこころが  あらわれました)

 灰が降れば  桜島ん眺めに 苦情が出っ
(へがふれば しまんながめに くぜがでっ)
(唱)(灰見け来たよなもんじゃち言っ)
(へみけきたよな もんじゃちゆうっ)

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平成22年6月号  兼題 「筍」(たけんこ)

(天位)
 筍ん 刺身にゃ酢味噌 丁度合っ
(たけんこん  さしんにやすみそ  どんぴしゃっ)
(唱)(焼酎ん一升瓶くりくり転倒)
(しょつんいっしょびん  くりくりかやっ)

 筍が 畳ぬ抜けっ 顔ら出せっ
(たけんこが  たたんぬぬけっ つらだせっ)
(唱)(凄い生命力がござんさ)
 (すごいせいめい  りょくがござんさ)

 筍は  美味さじゃ幼児が 兄にょ勝っ
(たけんこは  うまさじゃちびが  あにょまさっ)
(唱)(若い程柔らかくて美味い)
(わかいほどやわらかくてうまい)

 筍は 掘る時期き技術で  味じゃ変わっ
(たけんこは  ほるときわざで  あじゃかわっ)
(唱)(地面が割れ顔ら出す時が良し)
(じだがわれつら だすときがよし)

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平成22年5月号  兼題 「口実」(だし)

(天位)
 口実しゃ忌引  弔電ん打たれ  大騒動でなっ
(だしゃきびっ  ちょうでんうたれ  うそでなっ)
(唱)(家族中が目をば白黒なけっ)
(けねじゅがめをば  しろくろなけっ)

 嫌な役きゃ  高齢しゅば口実しっ  上手じ逃げっ
(いやなやきゃ  としゅばだししっ  じょじにげっ)
(唱)(若け衆が頑張くいやいな言っ)
 (わけしがきばっ  くいやいなちゅっ)

 臭せ屁をば 薩摩芋を口実し  平然しっ
(くせへをば  からいもをだし  しれっしっ)
(唱)(薩摩ん匂じゃちきし吐えちょっ)
(さつまんかざじゃち きしかえちょっ)

 ミスショット  周囲ゆ口実しっ  技術ざ弁護
(ミスショット ぐるゆだししっ  わざべんご)
(自唱)(下手は下手なり プライドがあっ)
(へたはへたなり  ぷらいどがあっ)

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平成22年4月号  兼題 「鞄」(かばん)

(秀作)
 高価け鞄  中味にゃ何んと 週刊誌
(たけかばん  なかみにゃなんと  しゅうかんし)
(唱)(世ん中言は こげなもんです)
(よんなかちゅうは こげなもんです)

 古り鞄 慣れて便利な 貴重品
(ふりかばん  なれてべんりな きちょうひん)
(唱)(大型の財布みたいな物よ)
 (おおがたのふぜ  みたいなもんよ)

 新か鞄 孫ん笑顔も 光っ居っ
(にかかばん  まごんえがおも ひかっちょっ)
唱)(もう嬉しくて堪らない様子)
(もううれしくて  たまらないよし)

 鞄どま 放ったらかして 遊び出っ
(かばんどま  ほったらかして  あそびでっ)
唱)(楽し遊っが 友達と待っ居っ)
(たのしあすっが どしとまっちょっ)

 似た鞄 ラベル違ごたや 値段は二倍
(にたかばん ラベルちごたや ねはにばい)
唱)(何処が良かとか 分かいもはんじ)
(どこがよかとか わかいもはんじ)

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平成22年3月号  兼題 「梅」(うめ)

(秀作)
 梅が咲っ  うぐいす鳴けば  いっき夏
(うめがせっ  うぐいすなけば いっきなっ)
(唱)(地球の回転が速えごちゃっ)
(ちきゅうのかいてんが  はえごちゃっ)

 梅干の メタボで美味た 紀州産
(うめぼしの  メタボでうめた きしゅうさん)
(唱)(聞たばっかいで唾が出っ来っ)
 (きたばっかいで  つばがでっきっ)

 怪我すれば  梅干しゅ貼った  戦時中
(けがすれば  うめぼしゅはった  せんじちゅう)
唱)(物資不足で良く使けもした)
(ぶっしふそくで  よくつけもした)

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平成22年2月号  兼題 「炬燵」(こたっ)

(地位)
 掘い炬燵  女将も美人で  料理も美味
(ほいごたっ  ママもびじんで   じゅいもうめ)
(唱)(天国き行ったみたいごわんそ)
(てんごきいった みたいごわんそ)

 炬燵ち入っ  家族中揃っ  蕎麦啜っ
(こたちいっ  けねじゅうそろっ  そばすすっ)
(唱)(団欒の誠て嬉しか時間です)
 (だんらんの まこてうれしか じかんです)

 炬燵ち入っ  勉強る言ながら 鼾く掻っ
(こたちいっ  きばるちゃながら  いびくけっ)
唱)(温もれば 眠むないやんさ 若け頃は)
(ぬくもれば ねむないやんさ わけころは)

 外は雪 炬燵ち這入って 狂句を捻っ
(そとはゆっ こたちもぐってくをひねっ)
唱)(真実良か句が お出来やしつろ)
(まこっよかくが おできやしつろ)

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平成22年1月号  兼題 「寝正月」(ねしょうがっ)

(天位)
 年末の 遣い繰い疲れっ 寝正月
(ねんまっの  ゆいくいだれっ ねしょうがっ)
(唱)(此ん不況じゃ大変ござしつろ)
(こんふきょうじゃ たいへんござしつろ)

インフルで 外出るわけいかじ  寝正月
(インフルで でるわけいかじ ねしょうがっ)
(唱)(有難てインフルエンザでした)
 (あいがてインフルエンザでした)

寝正月 待ったお屠蘇が 素通いしっ
(ねしょうがっ  まったおとそが すどいしっ)
唱)(朝寝五郎いな廻付っもはんど)
(あさねごろいなめつっもはんど)

人混みは  病気伝染っち 寝正月
(ひとごみは  あんべうつっち ねしょうがっ)
唱)(こげな時きゃ寝るが勝ち勝ち)
(こげなときゃ ねるがかちかち)

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