薩摩狂句平成1〜2年度用
清滝支部 いっぽんぎった作
かつて鹿児島市医報に、薩摩狂句のコーナー(選者は故実方天声先生)があり、 投稿したものを探して見ました。初心者でレベルの低さは否めませんが、進歩への足跡として載せました。
 入賞は天地人の三首、入選は三席、他は凡作。

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− 目 次 −
平成1年6月号「心細せ」(きぼせ)
平成1年7月号「無料」(ただ)
平成1年8月号「背中」(せなか)
平成1年9月号「短気」(たんき)
平成1年10月号「見本」(みほん)
平成1年11月号「周囲」(ぐるい)
平成1年12月号「野次」(やじ)
平成2年1月号「血統」(けっとう)
平成2年2月号「今夜」(こんにゃ)
平成2年3月号「頑丈」(がんじょ)

平成1年6月号  吟題 「心細せ」(きぼせ)
(入賞 地位)
全夜間 看護婦が欠勤じ 心細せ晩
(ぜんやかん かんごふがこじ きぼせばん)
(唱)平常ちゃ 叱っどん 頼いしっ
(かねちゃがっどん たよいしっ)

リクルトで 選挙が心細せ 自民党
(リクルトで せんきょがきぼせ じみんとう)
(唱)けじめつけじな 勝負びならじ

サラリマン 飲ん方て心細せ 月給前
(サラリマン のんかてきぼせ げっきゅまえ)
(唱)キープん瓶迄い 空しなっ
友達が死ん 我が身つまされ 心細すなっ
(どしがしん わがみつまされ きぼすなっ)
(唱)此ん頃は 南無阿弥陀仏っ 唱ごっなっ

念仏つば 唱ながら心細せ 空ん旅
(ねんぶつば ゆながらきぼせ そらんたっ)
(唱)お護守札を 強っ握っ

心細せ時きゃ 薩摩狂句で 気を晴らせ
(きぼせときゃ さつまきょうくで きをはらせ)
(唱)西郷様んよな 気いしなっ

題や「心細せ」 句作いずいも 心細すなっ
(だやきぼせ くづくいずいも きぼすなっ)
(唱)其処で此ん句を 考げちっ


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平成1年7月号  吟題 「無料」(ただ)
(入選 二席)
使走ご 子供も無料じや 逃げ廻っ
(つけかっご こどんもただじゃ にげまわっ)
(唱)百円じゃ たったこしこち きし吐えっ
(ひゃくえんじゃ たったこしこち きしかえっ)

無料ち言どん 親ん形見な 此世ん宝
(ただちゆどん おやんかたんな よんたから)
( 唱)見い度びな 親ん恩ぬば 思め出せっ

試食か無料  多け品ねまこて 迷よ土産
(ししょかただ うけしねまこて まよみやげ)
(唱)安し美味め 数の多えとを お買けやんせ
下い物 無料が嫌言うて 払頂面
(さがいもん ただがいやちゅて ぶっちょづら)
(唱)罰かぶいがち 叱ろわれっ

無料駐車 反則切符い 青をけなっ
(ただちゅうしゃ はんそくきっぷい あおけなっ)
(唱)損ぬしたうえ しぼられっ

大臣の 首が高価こちた 無料ん株
(だいじんの くっがたこちた ただんかぶ)
(唱) 汚れ首っでな 収拾まらじ


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平成1年8月号  吟題 「背中」(せなか)
(入選 三席)
泣虫も 母親ん背中じゃ 横道どけなっ
(なっべしょも かかんせなかじゃ おどけなっ)
(唱)まこて可愛ぞかなか 議を吐えっ
(まこてむぞなか ぎをかえっ)

背中かあ 呼ばれっ嬉れし 古いか友達
(せななかあよばれっうれし ふいかどし)
( 唱)応−お君やち 振い返えっ

一年坊 背中を越えた ランドセル
(いっねんぼ せなかをこえた ランドセル)
(唱)親子ん夢で  張いきれっ

ひで豪灰 顔は払るてん 背中け積ん
(ひでどかべ つらははるてん せなけつん)
(唱)柴葉をつん折っ 打っ払るっ
見ゆい傷じゃ 背中ん傷よか 痛てち泣っ
(みゆいきじゃ せなかんとよか いてちねっ)
(唱) 骨が見えたや 悲鳴っでっ

医者嫌れは  顔よっか先き  背中診い
(いしゃぎれは つらよっかさき  せなかみい)
(唱) 後かあ 機嫌すば取い取い 診っくれっ

背中ん年齢 化粧顔よっか 嘘が無し
(せなかんとし けしょつらよっか うそがのし)
(唱)蚤と同い  顔あ隠けてん 尻や見えっ

仮病は 背中い聴診けば ぼろが出っ
(つくいびょは せなかいきけば ぼろがでっ)
(唱)名医博士は 伊達じゃのし


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平成1年9月号  吟題 「短気」(たんき)
(人賞)
小児科医 笑顔っ短気を 押し殺れっ
(こどんいしゃ わるったんきを おしこれっ)
(唱) つまん切ろそな くずれ児い
(つまんきろそな くずれっこい)

題や短気 我が事っ句いち 首びゅひねっ
(だやたんき わがこっくいち くびゅひねっ)
(唱)似合た題じゃち 吐す女房

短気者 長尻や好かじ 梯子酒
(たんきもん ながじやすかじ はぃござけ)
(唱)持てじ 面白 なかとじゃろ
短気同志 飲めば気が合て 午前様
(たんきどし のめばきがおて ごぜんさぁ)
(唱)仲良ゆ溝いも 転落っ

魚焙ぃ 短気が焼けば 身が崩やっ
(いよあぶぃ たんきがやけば みがくやっ)
(唱)短気い良かた 餅焼い

短気じゃち 友達が叱ったや 今悟っ
(たんきじゃち どしががったや いまさとっ)
(唱)女房どが言てん 平然しっ

短気力士 先き飛っ込だや はたかれっ
(たんきすも さきとっくだや はたかれっ)
(唱)砂飯すごいと 食わされっ


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平成1年10月号  吟題  「見本」(みほん)
(入選  二席)
良か児じゃち 見れば見本の 親が良し
(よかこじゃち みればみほんの おやがよし)
(唱)親ん 実行い如っ 子は育っ
(おやんすいごっ こはそだっ)

ランドセル 見本品が良かち 取い替えっ
(ランドセル みほんがよかち といかえっ)
(唱)一寸位れ 汚れちょってん 構もかち言っ

土産屋あ 見本作いにゃ 手抜か無し
(みやげやあ みほんつくいにゃ てぬかのし)
(唱)食物な余計じ 美味もしっ
豪華衣装 見本ぬ気安す 触っ見っ
(ごうかいしょ みほんぬきやす かかっみっ)
(唱)手垢が付っち 叱ろわれっ

青木並み ヘボが見本の 素振ゆしっ
(あおきなみ へぼがみせんの すぶゆしっ)
(唱)格好は良どん 地面削い

独身女性の 欲か無見本の 土井党首
(めらちょんの よかねみほんの おたかどん)
(唱)頼い無か 男性等だ 用は無しち言っ


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平成1年11月号   吟題  「周囲」(ぐるい)
(入賞 人賞)
転倒けっ 起きよっか先き 周囲ゆ見っ
(はんとけっ おきよっかさき ぐるゆみっ)
(唱)裾は後刻かあ 打払るっ
(すそはあとかあ うっぱるっ)

(入選 一席)
ゴルフミス 周囲の衆どみ 罪む着せっ
(ゴルフミス ぐるいのしどみ つむきせっ)
(唱)自身で空振ゆ きっしちょつ
(わがでからぶゆ きっしちょっ)

(入選 三席)
別診で 周囲い気を使こ 感染症
(べつしんで ぐるいきをつこ うついびょう)
(唱)自身も不安心配 診てくれっ
(わがもせわぜわ みてくれっ)

高層ビル 周囲の地価も 吊い上げっ
(のっぽビル ぐるいのちかも ついあげっ)
(唱)不動産屋が すい仕事
釣い上手の 周囲い下手どが 集っ来っ
(ついじょしの ぐるいへぼどが たかっきっ)
(唱)嫉ん混ぜくい  奴も居っ

代返は 周囲い気付かん 作り声
(だいへんは ぐるいきづかん つくいごえ)
(唱)腹話じゅつどみ 良か声で

赤コンな 周囲い自信が 無ごっなっ
( あかコンな ぐるいじしんが ねごっなっ)
( 唱)我が子は痩せっ 斤目が足らじ

小火事騒動い 周囲の野次は 邪魔きなっ
(ぼやそどい ぐるいのやじは まじきなっ)
(唱)邪魔じきしなっち 叱ろわれっ


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平成1年12月号   吟題  「野次」(やじ)
(入賞  天賞)
野次い野次 野次と野次とで 野次い合っ
(やじいやじ やじとやじとで やじいよっ)
其んて横かあ 又野次っ
(そんてよこかあ またやじっ)

(入選 三席)
叩っ売い 野次とさくらで 客く寄せっ
(たたっうい やじとさくらで きゃくよせっ)
(唱)欲深婆あ 鴨めされっ
(よっごろばばあ かめされっ)
消費税 本音は言わじ 野次い合っ
(しょうひぜい ほんねはいわじ やじいよっ)
(唱)票読みしいし議を吐えっ

火事現場 野次は口加勢 邪魔じけなっ
( かじげんば やじはくっかせ まじけなっ)
(唱)消防団かあ叱ろわれっ

最高府 下品らし野次で 出身が知れっ
(さいこうふ げざらしやじで でがしれっ)
(唱)教養と知性が 物を言もんさ


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平成2年1月号   吟題  「血統」(けっと)
(入賞  地賞)
努力次第 繁盛れば血統が 付て廻っ
(どりょくしで はやればすつが ちてまわっ)
(唱)血統がないかち 鼻で蹴っ
(すつがないかち はなでけっ)

(入選 一席)
逆鉾ん 両差しゃ親ん 血統ず引っ
(さかほこん もろざしゃおやん ちすずひっ)
(唱)土俵を湧かすい 技ん冴え
(どひょをわかすい わざんさえ)

(入選 二席)
合せ技 血統と努力で 世界新記録
(あわせわざ すっとどりょっで せかいしん)
(唱)涙で仰ねだ 日章旗
(なんだでおねだ にっしょうき)
怠惰者が 血統を鼻い け潰れっ
(すくやっが けっとをはない けつぶれっ)
(唱)朝寝朝酒朝湯が きし祟っ

野良猫い 怖気っ逃げ出た 血統犬
(のらねこい びびっにげでた けっといん)
(唱)尻尾を股い ひっぱすん

長生の 血統自慢が 早よけ死ん
( ながいっの けっとじまんが はよけしん)
(唱)煙草で癌が 先き廻っ

ペット狂れ 何んち言たなあ 血統ち言っ
( ペットぐれ なんちゆたなあ けっとちゅっ)
(唱)保証付か値かあ 先値踏っ
(ほしょつか ねかあ さきつもっ)


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平成2年2月号   吟題  「今夜」(こんにゃ)
(入賞 天賞)
今夜をば 越せち涙で 脈く握っ
(こんにゃをば こせちなんだで みゃくにぎっ)
(唱)付っきいで 命の増益く 神み祈っ
(つっきいで いのっのぞやく かみいのっ)
今夜どま 留守ち逃ぐごじゃ 我が疲れっ
(こんにゃどま るすちにぐごちゃ わがだれっ)
(唱)肩て仁の字が 重ぶかかっ

今夜なら 笑顔て診ろかい 全夜間
(こんにゃなら わるてみろかい ぜんやかん)
(唱)医者じゃ発奮ろち また燃えっ


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平成2年3月号   吟題  「頑丈」(がんじょ)
(入選 三席)
気の油断 頑丈な鍵も 役き立たじ
(きのゆだん がんじょなかっも やきたたじ)
(唱)施錠ぐし忘れた 盗人騒動
(かぐしわすれた ぬしとそど)

ベビベッド 頑丈な尻で びりっ遣っ
(ベビベッド がんじょうなけっで  びりっやっ)
(唱)驚がっ赤子は 火の泣叫っ
小錦の 頑丈な図体も 気力負け
(こにしぃの がんじょなずても きりょくまけ)
(唱)力と技い  とんくりっ

バックシャン 腰な頑丈な ベルトを巻っ
(バックシャン こしながんじょな ベルとめっ)
(唱)重量挙げが 締そなとを

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