薩摩郷句(その1)平成11〜12年度用
清滝支部いっぽんぎった 作 三條風雲児 選
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慶田乱雲選薩摩狂句(医壇笑壇)
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鹿児島市医師会では、毎月発行される、鹿児島市医報に、薩摩郷句のコーナーがあります。吟題は毎月変わっています。枯れ木も山の賑わいのつもりで投稿してみました。( )内が鹿児島弁の標準語です。独特の抑揚もあり県外の方には分かり難いかと思います。悪しからず!

 入賞は 天 地 人 の三首、入選は五客五席、他は秀逸。凡作は無掲載と厳選されます。


− 目 次 −
「脉」(みやっ)    [平成11年10月号]
「色艶」 (いろひっ)  [平成11年11月号]
「晩酌」 (だれやめ)  [平成11年12月号]

「豆腐」 (おかべ)  [平成12年1月号]
「的」 (まと)    [平成12年2月号]
「気疲れ」 (きだれ) [平成12年3月号]
「診断」(みたて)  [平成12年4月号]
「無理」(むい)    [平成12年5月号]
「車」(くいま)    [平成12年6月号]
「近所」(きんじょ) [平成12年7月号]
「裸」(はだか)   [平成12年8月号]
「法螺」(ほら)    [平成12年9月号]
「苦笑れ」(にがわれ)[平成12年10月号]
「見合」(みえ)    [平成12年11月号]
「歳暮」(せぼ)    [平成12年12月号]

平成11年10月号  吟題 「脉」(みやっ)
(入賞 天)
今夜をば   越せち涙で   脉く握っ
(こんにゃをば  こせちなんだで  みゃくにぎっ)
( 唱 )付っきいで   命の増益く   神み祈っ

(入選 三席)
胃が痛てて  腹は触らじ  脉く握っ
(いがいてて はらはかからじ みゃくにぎっ)
 (唱)あんまい 飲んでじゃがち  医者様

就職難  太て人脈も 当てならじ
(しゅしょっなん ふてじんみゃくも あてならじ)
 (唱) 頼んだ 人も   いかなリストラ

若か医者  脉どま診らじ  先き検査
(わっかいしゃ みゃくどまみらじ さきけんさ)
 (唱)触診からち 先輩が言っ

あわて者  脉が無か言て  大騒動をしっ
(あわてもん みゃくがなかちゅて うそどをしっ)
 (唱)私ゃ いけんもなかどち 患者様
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平成11年11月号  吟題  「色艶」(いろひっ)
(入賞  人)
色艶で 仮病がばれた 怠者
(いろひっで けびょうがばれた すくらっぼ)
 (唱)注射を  すっち言たゃ  逃げ出っ

(入選  三席)
老練医 色艶く見れば 病が分かっ
(ろうれんい いろひくみれば びょがわかっ)
 (唱)心配したが おてちっ患者

色艶くば 褒めたや爺様 踊いでっ
(いろひくば ほめたやじさま おどぃでっ)
 (唱)医者ん言葉が 一番薬

色艶も がらっ変わった 良か出会い
(いろひっも がらっかわった よかであい)
 (唱)ドッドッドッち 鳴っちょい心臓
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平成11年12月号   吟題 「晩酌」(だれやめ)
(入賞 人)
晩酌ん 肴ん都合で 飲ん分けっ
(だいやめん しおけんつごで のんわけっ)
 (唱)苦瓜の時きゃ 焼酎が一番

(入選 五席)
晩酌が 長げ言て妻は 先きけ寝っ
(だれやめが なげちゅてかかは さきけねっ)
 (唱)飯しゅ食っとか 冷えちょい味噌汁

晩酌が 長げた体調ん 良か証拠
(だれやめが なげたたいちょん よかしょうこ)
 (唱)妻は 味噌汁を 温め直せっ

匙じゅ投げた 病い晩酌が 効っでけっ
(さじゅなげた びょいだれやめが きっでけっ)
 (唱)薬よっか 効た態のビール
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平成12年12月号  吟題 「歳暮」(せぼ)
(入選 2席)
お歳暮も  効かせんかった  配置替え
(おせいぼも きかせんかった はいちがえ)
( 唱 )奮発っしたて  課長は認めじ
(ふんぱっ したて かちょうはみとめじ)

(入選 5席)
貰た歳暮  贈った歳暮と 一っ物 
 (もろたせば  おくったせぼと  ひとっもん)
 (唱) 恥ねこっじゃち  どっちも悔やん
 (げんねこっじゃち  どっちもくやん)

使わんじ  眺めちょろごた  孫ん歳暮
(つかわんじ  ながめちょろごた  まごんせぼ )
 (唱) 安か品じゃが  気持っが  嬉しゅつ
(やすかしなじゃが  きもっがうれしゅつ)
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平成12年11月号  吟題 「見合」(みえ)
(入賞 天席)
見合ん席  親は早々  追出されっ
(みえんせっ おやははやばや うだされっ)
( 唱 )良か人じゃっち  どっちも乗気
(よかひとじゃっち どっちものいき)

一目惚れ  仲人なんだ  要らん見合
(ひとめぼれ  なかだっなんだ  いらんみえ )
 (唱) 直き翌日はデートどんしっ
(いっき  あくひは でーとどんしっ)
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平成12年10月号  吟題 「苦笑れ」(にがわれ)
(入賞 天席)
監督も  苦笑れしちょい 息子んエラー
(かんとっも にがわれしちょい こんエラー)
( 唱 )どしこ 叱ってん 上達が無し

(入選 三席)
プロんくせ  苦笑れしちょい  歌詞間違げ
(ぷろんくせ にがわれしちょい かしまっげ)
 (唱)もう下い坂け なったとじゃ なかろぅな

苦笑れん 仕種が可愛ぜし 大笑れなっ
(にがわれん  しぐさがむぜっし  うわれなっ )
 (唱) 子供も へまをすれば  恥ね態

 法螺吹っが  苦笑れで聞っ  わぜ大法螺
(ほらふっが  にがわれできっ  わぜうぼら)
 (唱)相手が 一枚も二枚も上じゃっ
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平成12年9月号  吟題 「法螺」(ほら)
(入選 一席)
見え透ちょい  法螺は愛嬌で 聞き流げっ
(みえしちょい ほらはあいきょうで きっなげっ)
( 唱 )語らせちょけば罪の無話

(入選 四席)
選挙前  法螺じゃ無かよな  法螺を吹っ
(せんきょまえ  ほらじゃなかよな  ほらをひっ)
 (唱)大概な人ずや半信半疑

法螺ち知れちょって 手を出す 叩売い
(ほらちしれ  ちょっててをだす  たたっうい )
 (唱) 買っ帰ったやまこて呆え品

法螺吹っが  法螺じゃ無かどち  法螺を吹っ
(ほらふっが  ほらじゃなかどち  ほらをひっ)
 (唱)そゆば誰じゃ知っちょらん信用
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平成12年8月号  吟題 「裸」(はだか)
(入賞 人)
着っちょいか  裸か知れん 水着ショー
(きっちょいか はだかかしれん みっぎしょう)
( 唱 )お婆さあどま見やならん言っ

(入選 四席)
裸けした 乳児の小便を 顔れかぶっ
(はだけした こどんのししを つれかぶっ)
 (唱)検診すいも 楽じゃなか 医者

天才が 描けば国宝い  成い裸
(てんさいが かけばこくほい ないはだか )
 (唱) そん絵のモデルちゅう人も居っ

力士どま 裸を見れば 調子しゃ分かっ
(りきしどま はだかをみれば ちょしゃわかっ)
 (唱)色艶の良か人が白星
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平成12年7月号  吟題 「近所」(きんじょ)
(入賞 地)
外国も 近所い変えた Eメール
(がいこっも きんじょいかえた イ−メ−ル)
( 唱 )地球が小こなった如たっ

(入選 三席)
小火騒動い 近所迷惑な 野次が寄っ
(ぼやそどい きんじょめいわっな やじがよっ)
 (唱)道つ塞がれっおい消防車

国交ん無 北朝鮮な 遠え近所
(こっこんね きたちょうせんな とえきんじょ )
 (唱) 一向相手ていなしてもろわれじ

度を越せば 近所付合けも 小言が出っ
(どをこせば きんじょつっけも ぐぜがでっ)
 (唱)却っちゃ そいで分かい合 気持っ
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平成12年6月号  吟題 「車」(くいま)
(入選 一席)
開墾な  こいが主役の 猫車
(かいこんな こいがしゅやっの ねこぐいま)
( 唱 )そげな苦労どま子なんだ知らじ

(入選 五席)
仕様こよっか 見栄が先きない 高級車
(つこよっか みえがさきない こうきゅうしゃ)
 (唱)粗末な 服くば着っ乗やならじ

お人好しゃ 口車にも 乗いやすし
(おひとよしゃ くっぐいまにも のいやすし )
 (唱) そんな後始末ちゃ年中女房

打独楽 長ご見らんとに 思め出せっ
(ぐっぐいま なごみらんとに おめだせっ)
 (唱)みんな作った男ん子供
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平成12年5月号  吟題 「無理」(むい)
(入賞 地)
無理なこっ  出来そな大法螺 選挙前
(むいなこっ でくそなうぼら せんきょまえ)
( 唱 )議会じゃ四年発言もせじ

(入選 四席)
無理ち 世話焼た未熟児が 良う育っ
(むいちせわ えたみじゅっじが ゆうそだっ)
 (唱)そこはやっぱい医者様ん腕

無理ゆすんなち 言てん聞かせん 梯子酒
(むゆすんなち ゆてんきかせん はしござけ )
 (唱) 女房が離婚すっち言出せっ

無理してん 結果次第じゃ 褒められっ
(むゆしてん けっかしでじゃ ほめられっ)
 (唱)そいくさじゃろで怪我ん功名
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平成12年4月号   吟題 「診断」(みたて)
(入賞 地席)
流行医者 尻軽かうえ 診断上手
(はやいいしゃ しぃかるかうえ みたてじょし)
(唱)電話をすれば 直き 飛でおじゃっ

(入選 四席)
難病も 診断が良かで 早よ治癒っ
(なんびょうも みたてがよかで 早よゆなっ)
(唱)良か先生に恵った 患者

究めてん 遥か届かん 診断技
(きわめてん はるかとどかん みたてわざ)
 (唱)一生が 修行じゃっち思っちょい

良か嫁ち 診断てた女房も 婆べけなっ
(よかよめち みたてたかかも ばべけなっ)
 (唱)お互いさあち 負けちょらん女房

太公望 餌ん診断が 漁を決めっ
(たいこうぼう えどんみたてが じゅをきめっ)
 (唱)魚ん欲しとが 分かっちょっち 法螺
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平成12年3月号   吟題 「気疲れ」(きだれ)
(入賞 天席)
可愛ぜ 孫も 三日泊まれば 気疲れしっ
(むぜまごも みっかとまれば きだれしっ)
(唱)油断なでけん祖父様ん万年青

(入選 二席)
当番医 他所ん患者にゃ 気を遣こっ
(とうばんい よそんかんじゃにゃきをつこっ)
(唱)ピーポーで訪い厄介な患者

予後不良い 隠そ癒そで 気は疲れっ
(よごふりょい かくそゆなそで きはだれっ)
 (唱)告知すいわけいかん病名

駄作句を 入選さすち 気疲れしっ
(ださっくを にゅうせんさすち きだれしっ)
 (唱)楽しゅんじょんで心配無用
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平成12年2月号   吟題 「的」(まと)
(入選 一席)
宝籤 的て外るれば 只ん紙
(たからくじ まてはずるれば ただんかん)
(唱)神棚ね供げっおったて効かじ

(入選 五席)
的を射た 意見も過ぎっ 議いけなっ
(まとをいた いけんもすぎっ ぎいけなっ)
(唱)何のこっでん程々が大事

猛練習 的がだんだん 近こしなっ
(もうれんしゅう まとがだんだん ちこしなっ)
 (唱)不精者いな望めん 優勝

勝負じゃっち 力めば的は 遠けなっ
(しょっじゃっち りきめばまとは とおけなっ)
 (唱)落着っ せんで出せん 実力
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平成12年1月号   吟題 「豆腐」(おかべ)
(入賞  天)
藁稽で 縛っ提ぐそな 固て豆腐
(わらんすぼで きびっさぐそな かておかべ)
 (唱)包丁が 歯こぼれすいかも知れじ

(入選 三席)
豆腐屋は 早寝早起き 気が抜けじ
(おかべやは はやねはやおき きがぬけじ)
 (唱)夜が明けた時きゃ 済んじょい仕事

冷やけてん 煮てん生でん 豆腐好っ
(ひやけてん にてんなまでん おかべすっ)
 (唱)いけん料理ってん 言わん小言

料理次第で 豆腐はがらっ ひっ変わっ
(じゅいしでで おかべはがらっ ひっかわっ)
 (唱)形ちゅば変えっ のっちょいお膳
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