(その3)『 漢詩 』

- 漢 詩の目 次 -

時は金なり 〜渡辺吟神〜
酒飲みの歌 〜渡辺吟神〜
発祥の詩 〜渡辺龍神〜
倨傲を戒む 〜緒方勉神〜
偶成 〜朱憙(宋)〜
温故知新 〜小原六六庵〜
早に白帝城を発す 〜李白〜
赤信号 〜渡辺吟神〜

   時は金なり  

時は金なり 然れども 金は返すを得べし
金は時なり 然れども 時は返すこと能わず
秒集まりて 日となり 日集まりて 一生となる
一秒を疎んずるは 一生を疎んずるに等し 

  〜渡辺吟神〜

時は金なりとは有名な諺です。
しかし、よく考えてみましょう。金と時とどちらが大事か
金は失っても、取り返しができるが、
時は失えば二度と取り返しはできません。
一日は今の一秒の集まりです。
今の一秒を大事にしなければ、一生を棒に振ることになるのです。

少年老い易く 学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず (朱熹)
明日ありと思う心のあだ桜、夜半に嵐の吹かぬものかは(親鸞上人)

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   酒飲みの歌  

酒は飲む可し 百薬に長ず
飲めば 心湧き 血脈を盪るがす
酒は飲む可し 飲まるる可からず
為なるか 害なるか 此の一酌 

  〜渡辺吟神〜

酒は百薬の長といいますがまた、気狂い水とも言われます。
適量飲むうちは「心湧き血脈を盪がす薬」なのですが、
量を過ごすと毒薬と変じます。
さて、この一杯、毒となるか薬となるか...考えながら飲みましょう。
酒飲みには厳しい忠言ですね。

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   発祥の詩  

濃藍の海水碧空の天
吟道の深邃将に浩然
常居其全たり皆坦道
至誠の一吟是れ止観 

  〜渡辺龍神〜

「大海原の水と大空とが地平線では一つとなるように、
詩吟の道の深さは大きく、広く、盛んである。
だから、その時その場において完全であれば、行く先は平らかで、
曲がりくねりのない道があたえられるものである。
そのように真の真心で吟詠の道にいそしめば、
多くの妄念をおさえとどめて、万有の真相を観じ悟る事が出来る」

日本吟道流ではこの発祥の詩を吟じてから、
練習や朗吟会を始める慣しになっています。

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倨傲を戒む

天は人の上に人をつくらず 
 亦人の下に人を作らず
富貴老幼自ずから平等 
 唯貴賎の存するは誠心に在り

〜緒方勉神〜

恩師緒方勉神先生の訓育の詩です。
「えらぶることはいけません。
肘を張り、肩をいからして威張っている人をみると、
かえって悲しみを覚えます。
貴賎の差は物や地位でなく、人のこころにあるのです。」

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 偶  成  (勧 学)

少年老い易く 学成り難し
 一寸の光陰軽んず可からず
未だ覚めず 池塘春草の夢
  階前の梧葉巳に秋声

〜朱憙(宋)〜

教訓の詩です。1500年前も今も変わりませんね。
ヨーロッパでは、Time is money. と言われております。
人間のもつ無限の素質、能力、知力、体力は素晴らしいのですが、
夫々に個性があり、質・量ともに違いますよね。
しかし天が与えた公平なものが一つだけあります。それは時間です。
今、そして今日一日を大事に生きなさいと
千五百年前に朱憙は思い付くままに吟じたのです。

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温 故 知 新

新の新なるは 未だ必ずしも新ならず
  旧の旧なるも亦 同倫
古きを温ねて 今を知るのみ
  千年不易の春

  〜小原六六庵〜

「古きをたずねて新しきを知る」論語にある孔子の言葉です。
過去なくして現在は無いが、
過去にとらわれては新しい時代は拓けません。」

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早に白帝城を発す  

朝に辞す白帝 彩雲の間
千里の 江陵一日に還る
両岸の猿声 啼いて住まざるに
軽舟巳に過ぐ 萬重の山

〜 李 白 〜

詩聖李白の代表的傑作の一句です。
「白い城壁を浮かびださせる朝焼雲の美しさ
、急流を奔しるように下る小さな舟、
この詩情を引き立てる情景に加えて、猿の淋しい泣き声を想像して下さい。」

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赤信号  

疾病困苦は 赤信号なり
心翳れば 即ち身も亦病む
止まれ見よ己が気を振り返るべし
苦しみを変じて福と為すは 是れ此の時

〜 渡辺 吟神 〜

「赤信号をみたら、ハット立ち止まりましょう。
運転手は慎重に、車体や行く先、安全の確認をしなければいけません。
病気のもととなる生活の不自然さや心の暗い影、仕事の無理は切り捨てて、
朗らかな潤いのある心になれば、 赤信号は幸福の門へのスタートとなるでしょう。」

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