保育所保育指針にも、幼稚園教育要領にも、保育者が幼児の健康と安全に十分に配慮するとともに、幼児にも健康で安全な生活習慣を身につけることが求められています。また保育の現場でも、食育ということが重視されていますが、健康と直結する問題として私たちが考えなければならないことでもあります。
そこで、本年度の鹿児島組真宗保育研修会は、小児科医の玉江末広さん(鹿児島生協病院小児科医師)を講師に招いて『食生活と子育て〜子どもたちに今一番何が必要か〜小児科医師から見た子どもの現状』というテーマで研修会を開催しました。
はじめに玉江先生は、枕崎市の7つの保育園に通う352人の子どもたち(保護者)へのアンケートをもとに、都市部でなく地方においても同様に、子どもたちの基本的な生活のスタイルが乱れていることを指摘されました。長時間のテレビ視聴や遅い就寝時間等が顕著にみられ、幼児期のこの様な生活スタイルが、学童期以降の子どもたちの学習を始めとする生活に悪影響を与えることを指摘されました。
そこで、今私たちがあらためて子どもたち一人一人のよりよい育ちを保障するために、どのようなことに取り組んでいかなければならないかを(1)生活習慣(2)食(3)遊びの三つの柱に基づいて話されました。
(1)の生活習慣については、よく寝ること(遅くまで起きていないこと)睡眠が足りないということは、生活のあらゆる場にマイナスのはたらきをすること、逆に寝すぎることもよくない、ほど良い睡眠をとるように生活を整えることが大切であると言われました。
(2)の食については、朝食をとることの大切さ、和食(ご飯とみそ汁という食の大切さ)、孤食にならないこと、味わってゆっくり食べることのできる環境を整えることなどを特に強調されました。
(3)の遊びについては、早期教育は子どもにとっての貴重な遊びの時間を奪っているものであり必要のないものであること、体験をたくさんすること、それによって心身ともに育つということ、集団遊びの大切さなどを指摘されました。
保育の現場にいるものにとっては、かねてよりその大切さは十分に理解しているものでありながらも、社会の価値観の多様化等に左右されて、忘れがちになることもありますが、私たちと違う形で子どもたちの育ちを支えて下さる小児科の医師の方より指摘されることで、改めてそのことを深く意識して、保育を進めていかなければという思いを強くしました。
玉江先生も「自分が今日話したことは理想です。でも理想を心にしっかりと持っておくことが大切で、そんなことを言っても現実はといつでも流されるのでなく、振り返ったり立ち止まったりすることが保育者には大切なのではないでしょうか。保育の現場におられるということはとても大切な場にいらっしゃいます。子どもを育てるものとして連携しあい支えあっていきましょう」と締めくくられました。子どもの育ちを支えるネットワークの大切さを改めて確認した研修会でもありました。
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