信祥」のおしゃべりコーナー (その4)

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− 目 次 −
2001年を振り返って
医療保険制度改革に向けて
2000年を振り返って
頴娃高校70周年記念誌
小児救急医療に絡んで
在鹿児島市頴娃町人会

鹿児島県小児科医会 一年を振り返って
2001年を振り返って 
               鹿児島県小児科医会会長 鮫島信一
バブル経済後の日本は、消費は増えず、経済活動は停滞し、デフレーションの道を進んでおりますが、消費を増やし、経済を活性化するには、少子化防止、子育て支援が国策として、緊急の課題です。
政府もマスコミもやっとその事に気づき、少子化防止、子育て支援に関わる記事を見ない日はないくらいになりつつありました。ところが9月11日ニューヨークで同時多発テロが勃発し、最近のマスコミはアフガン戦争、炭素菌テロや狂牛病等に追い回されているようであります。
政治も経済も世情も安定軌道でなければ、困るのは一般国民です。
さて鹿児島県小児科医会の「一年を振り返って」を例年の如く思いつくままに述べてみました。
1.社団法人日本小児科医会発足
日本小児科医会は発足以来法人化の努力をしてきたところでありましたが、なかなか認可されず、毎年話題になっておりました。委員長の塙 賢二先生や天野会長始め関係各位の並々ならぬ努力交渉の結果、平成12年12月11日に正式に認可されました。そして発会式は平成13年2月4日東京赤坂プリンスホテルで盛会に執り行われました。今後は、鹿児島県小児科医会は今までの形態と社団法人日本小児科医会鹿児島県支部と言う二重構造になった訳です。行政に要望書等書く場合は法人名が有効に使えます。
2.第12回日本小児科医会セミナー
第12回日本小児科医会生涯教育セミナーは6月16〜17日、神奈川県小児科医会の相見基次先生が会頭で、横浜市で開催されましたが、1100名を越す会員参加があり盛会裏に終了しました。前年度開催県の責任者としては、うまくバトンタッチできたと肩の荷を下ろしたところです。詳細は日本小児科医会ニュースNo.32号をご覧下さい。
3.学術講演会
第56回学術講演会は、4月14日、鹿児島市チサンホテルで開催し、鹿児島市立病院小児科部長川上 清先生に特別講演をお願いしました。演題は「治るようになった小児白血病、そして....」でありましたが、難しい白血病の内容を分かり安く、更に血液学の最近の進歩についてもお話して下さいました。
第57回学術講演会は10月6日、鹿児島市チセンホテルで開催し、名古屋大学医学部保健学科基礎看護学教授 森島恒雄先生に「インフルエンザ脳症の現状と対策」について、また会員の関 浩孝先生には「病児保育の利用状況」についてご講演をして頂き、良い勉強になったと出席会員から感謝の声を聞きました。詳細は会報第6号に掲載されます。
4.鹿児島県母子保健委員会
少子化防止の為に頑張っている診療科は、産科と小児科が筆頭です。国の宝である子ども達を心身共に健康に育てるためには、妊娠中から母親の心身の健康をサポートする必要があります。出生前から、産科医と小児科医が協力してprenatal visitの必要性が認識されてきました。良い協力・協調関係が進展するよう願っております。
5.赤ちゃん健康相談会
都市部では小児科医も多く、乳幼児健康相談も気楽に受けられるようでありますが、離島、僻地では小児科医も少なく、受診の機会も少ない訳です。南日本新聞社や山形屋、タカプラ等関係各位のご支援ご努力に感謝いたします。
6.会報第6号
鹿児島県小児科医会会報6号は11月15日発刊に向けて、目下編集委員各位が頑張っています。会員同志のcommunicationの場として、会報の機能を発揮しております。ご寄稿下さった方々に感謝いたします。
7.鹿児島県小児科医会FAX通信
現在通信手段としてはいろいろありますが、池田琢哉理事のご努力で、10月29日現在21号まで送信出来ました。メディファックス、日医ファックス、日本医事新報等の情報で、小児科に関するものが選別されて送られています。読む読まないは受信者の勝手ですが、編集送信者の苦労は大変です。改めて感謝の意を表します。
8.鹿児島小児メーリングリスト
いろいろある通信手段の中で、安くて早いのはEメールが筆頭でしょう。相手の忙しさにも関係ありません。川内済生会病院の根路銘安仁先生が管理人となり「鹿児島小児メーリング・リスト」をスタートしました。交信の頻度は多くありませんが、情報交換の手段として発展することを期待しています。活性化の為にはメンバーが増えることが必要です。現在70数名登録されています。交信回数213回(10月29日現在)です。
9.九州小児科学会
九州医学会は今年101回目、その分科会である九州小児科学会は54回目で、福岡県医師会、福岡県小児科医会が各々担当して、盛会裏に終了しました。小児科学会では、特別講演3題、一般演題(ポスター発表)10題、一般公開フォーラム1題「アレルギーと育児」でありましたが、いずれも素晴らしい内容で、時間が経つのが惜しいような気持ちで、終了の午後4時まで確りと拝聴しました。
この学会は九州各県の持ち回り制で、来年は鹿児島県担当です。準備万端整えて悔いのない学会が出来れば良いがと願っております。
10.第11回日本小児リウマチ研究会
第11回日本小児リウマチ研究会が10月27〜28日鹿児島市で開催されました。会長は会員の武井修治先生でした。全国から熱心な研究者が集まり、熱気溢れる研究会でした。
2003年の日本小児保健学会は、鉾之原 昌教授が会頭で、鹿児島市で開催される予定です。この2〜3年の間に、全国規模の小児科関連学会が鹿児島市で開催されておりますが、各々の分野で研究成果が認められての事と微笑んでおります。
力まず、焦らず、地道に頑張って欲しいと願っております。
終わりに
小児医療を向上発展させるためには、小児科医の数が増えなければいけません。そのためには小児科医の働きやすい環境造りが必要です。対称となる子どもの数も増えなければいけません。少子化防止、子育て支援のための大改革を切に希望して1年の締めくくりと致します。
来年も良い年でありますように祈念致します。
(平成13年10月29日記)

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医療保険制度改革に向けての要望
平成13年度九州小児科医会では、医療保険制度改革に際し、学会、医会から日医や 厚生労働省などへの要望は当然としながら、各県では地元の国会議員に小児医療への 理解を深めてもらうよう努力して欲しいとの要請があった。鹿児島県小児科医会とし ては下記要望を鹿児島県選出、与党所属国会議員各位にお願いしました。

国会議員各位
                鹿児島県小児科医会会長 鮫島信一

拝啓
暑くもなく寒くもない心地良い季節となりましたが、先生におかれましては、国政 の場で大活躍しておられますことに対し深甚なる敬意を表します。 私どもは小泉内閣が掲げる聖域なき行財政改革に基本的には賛成致します。この際 小児科医会としてお願い致したいことを下記にまとめましたので、ご高配の程よろし くお願い申し上げます。 敬具

医療保険制度改革に向けての要望
21世紀を迎えた今、わが国は少子高齢社会に突入しています。少子化傾向に歯止 めがかからなければ、次世代の担い手が少なくなり、消費は増えず、労働生産性は低 下し、経済の活性化や豊かな生活の基盤を損なうことになり兼ねません。そうならな いためには、少子化防止、子育て支援は国家的緊急の政策課題であります。
小児科医には国の宝である子ども達が、心身ともに健全に発育するよう見守る責任 があります。しかし、小児医療はその不採算の故に圧迫され、今まで努力して築き上 げてきた高度の小児医療・保健の水準が、脅やかされつつあります。小児科医の数が 少なくなりつつあるのは、その弊害の現れと言えなくもありません。
以下に小児医療の特殊性と小児保険診療上の問題点を記し、小児保険診療に対する ご理解とご高配をお願い致します。

1.小児医療の特殊性
小児医療は、新生児、乳児、幼児、学童から青年期に至る発育途上の全年齢層を対 象としております。診療に際しては、各年齢層の生理的発達を考慮しつつ、検査、投 薬も厳しい匙加減が必要であり、専門的知識や技術が求められています。更に診察、 検査、処置、看護等に際しては、人手や時間を必要とすることが多く、しかも小児は 感染症を始めとして、急性疾患が多いので、急変、重症化しやすく、時間外、夜間、 休日の診療が多くなります。そのため24時間常時、診療態勢を整えて居なければな りません。感染症は季節的変動が激しく、計画的病床利用も困難な状況にあります。
2.小児保険診療の問題点
小児科の医療費は、小児医療の特性から一応の配慮はなされてはいるものの、必ず しも十分ではありません。構造的要因も加わり、他科との格差が拡大し、更に少子化 の進行が不採算性に拍車をかけています。
3.小児救急医療
救急医療の分野では、小児救急は頻度も高く、致命的な重症例も少なくありませ ん。2次、3次救急は病院小児科が担うべき責務と考えておりますが、この事が病院 小児科の赤字要因となり、担当医は過酷な勤務状況を強いられています。そのため救 急 医療を志す若い医師は活動意欲を失い、小児救急医療は人手不足による危機的状態に 追い込まれているのが実状です。早急な対応が望まれます。

「具体的要望」
1.15歳児までの給付率の改善 [新設] 外来9割給付、入院10割給付
2.小児外来診察料 [新設] 6歳未満(出来高の初診料+乳幼児育児栄養指導料)x2を改定ごとにスライ ドする
3.小児科救急外来料 [新設] 1000点
4.小児救急入院料 [新設] 2000点
5.子育て相談、予防接種、保育園・幼稚園・学校への治癒情報提供の保険適応
6.「小児科外来診療料」の検査料、同日再診の算定可

以上の要望は、日本小児科学会、日本小児科医会でも承認され、要望展開中であり ます。


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鹿児島県小児科医会 一年を振り返って
2000年を振り返って
                   鹿児島県小児科医会会長 鮫島信一
今年は正月早々からコンピューターの誤作動を心配してY2K.対応から始まりましたが、大した混乱も無く無事1年が経過しようとしています。鹿児島県小児科医会の「一年をふりかえって」を思いつくままに述べてみました。
1.第11回日本小児科医会生涯教育セミナー
今年の最大の催しものでした。詳細については、日本小児科医会会報やニュース、更に本会会報第5号に書かれておりますのでご覧下さい。全理事会、代議員会、総会、各種委員会、懇親会、教育講演3題、ポスターセッション25題、公開フォーラム「みんなで考えよう子育て支援」を滞りなく、しかも盛会裏に終了出来ました。御支援・御協力頂いた関係各位に厚くお礼申し上げます。
2.役員改選
4月8日、第54回総会で会長に選出されました。セミナー開催を控えて大方の役員は再認されましたが、新たに鉾之原 昌先生と南 武嗣先生を理事に、深水 紘先生を監事に就任頂きました。川野通昭先生は70歳を迎えられ監事をご勇退されました。
3.学術講演会
第54回総会では朋佑会 札幌産婦人科心療内科 名誉院長 南部春生先生に「胎児期から考える子どもの生活習慣(病)」と題して特別講演をして頂きました。詳細は会報5号に掲載致しましたのでご参照下さい。 第55回総会では岡山大学医学部小児科教授の清野佳紀先生に「子どもの骨づくり」と題して特別講演をして頂きました。詳細については会報6号に掲載予定です。
4.子どもの事故事例集
幼児の死亡原因の第1位は事故であります。事故が無ければ、無限の可能性を秘めて、日本を越えて、大きく世界に羽ばたけた生涯であったかも知れません。事故死は誠に悲惨であります。鹿児島県保健福祉部保健予防課の企画に会員の協力があって立派な事故事例集が出来ました。
5.会員の動静
本年4月1日付で、鹿児島大学医学部保健学科 地域看護・看護情報学講座教授に小野星吾先生が、鹿児島大学医学部臨床教授に川上 清先生が就任されました。これで鹿児島県小児科医会には、宮田晃一郎、鉾之原 昌、山本英次(純心女子大)教授に続いて教授が5人誕生したことになります。勉強熱心で独自の研究分野を邁進中の方々です。医会の誇りでもありますので頑張って頂きましょう。 更に池田琢哉先生は鹿児島県教育委員長に選任されました。子どもの教育に関心をもち、学校保健に関わりの深いのは、医学の中では小児科です。子どもの心の問題もあります。小児科医として力量発揮のチャンスです。頑張って下さい。
6.会員への情報伝達法
会員への情報伝達は会報や郵送が主でありましたが、フアックスを独自に購入し、グループ送信が出来るようになりました。E.メールも情報源として貴重であります。全国的メーリングでは「小児科フリートークML」が盛会です。現在ある通信手段としてはE.メールが安くて便利だと思いますので早めの習熟をお勧めいたします。
7.子どもの心相談医
子どもの心研修会が6月10、11日、7月13、14日、日本教育会館一ツ橋大ホールで開催され、本県に7名の「子どもの心相談医」が認定されました。産業医の資格同様、そのうちに必要な資格に発展する可能性があります。しかし何よりも演者や講演内容が素晴らしいので、出来るだけ参加し、資格まで取って頂きたいと願っております。
8.再診時の継続管理加算
2年おきの保険点数改定で、小児科優遇のふれ込みがありましたが、現実は殆ど横ばいでした。再診時の継続管理加算は新しい目玉と言われながら、これを算定した月には初診料の算定は出来ないとの解釈があり、私は関連機関や担当者に厳重抗議致しました。その結果「前傷病が治癒し、当月中に新たな初診料を算定した場合においては、先の継続管理加算は算定出来る」との条項を追加し、明文化出来た次第です。当然の決着だと思いますが、関係各位に深甚の敬意を表します。
終わりに
僅か1年の間にも色々な出来事や思い出がまだまだ沢山ありました。21世紀の新年が平和で希望に満ちた明るい年でありますようご祈念致します。(平成12年10月28日記)

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頴娃高校70周年記念誌

頴娃高校では平成12年11月4日開校70周年記念祝賀行事が盛会にとりおこなわれました。
そして素晴らしく立派な「70周年記念誌」ができました。
小生の拙文も載せて頂きましたので披露します。

只今65歳「子育て支援」に頑張っています

私は頴娃町郡の出身です。頴娃小、頴娃中を経て、昭和29年頴娃高校を卒業しました。
中学校を卒業したら殆どの同級生が就職する中で、地元の高校に入学を許可された時は天にも昇るうれしさを感じました。
担任の中村重義先生は「君たちは世の指導者になるのだから、自覚して勉学に励め」が口癖でした。
担任は3年間変わりませんでしたが、教科担任は殆ど毎年変わりました。残念ながら授業の上手下手があり、担任や校長に文句を言って叱られたこともありました。
普通科は揖宿郡に、指宿、山川、頴娃、と3校もあり、近くに枕崎や薩南高校もあるとの理由で、廃校候補に上げられたとの情報もあり、存続の為には大学合格率を上げるのが一番良いとの立場から教職員一体となって進学指導に心血を注いで頂きました。
お陰で同級生の殆どが、希望する大学に入学しました。
西郷記念館館長の山田尚二先生は当時大学を卒業したばかりの新任教師でありました。その後先生は県内あちこちの有名高校で教鞭を取られたのですが、「あの頃の君たちのクラスほど進学率を挙げたクラスは、経験出来なかった」と述懐しておられます。
我々の成果が効を奏したのか否かは知りませんが、頴娃高校の普通科が今も歴然と存続していることに誇りと感銘を覚えます。
昭和35年鹿児島大学医学部を卒業し、国立大蔵病院で1年間の医学実地修練を終了し、昭和36年4月鹿児島大学医学部小児科助手(文部教官)を拝命。小児科学、小児循環器学、小児感染症、小児保健を勉強し、「赤痢菌の抗生剤耐性問題補遺」と言う論文で医学博士の学位を取得しました。
昭和43年1月、鹿児島市で鮫島小児科医院を開設し、平成2年医療法人育成会理事長になりました。公務としては平成7年より、鹿児島県小児科医会会長を努めております。
これまで順調な人生行路を進めて来れたのは、高校時代の良い先生や良い友人に恵まれたからだと何時も感謝しております。
さて最近、我が国では、高齢者が増え、子どもの数が急速に少なくなっております。子どもが少なくなれば、次代を担う国民の数が少なくなるので、労働力の低下は否めません。経済の活性化も失われるでしょうし、年金や福祉予算は削られて、高齢者の支え手が居なくなります。外国から労働者を招いても高齢者の支え手になってもらえるか疑問が残ります。生産事業への協力は得られても、医療福祉等非生産性事業へ手助けがしてもらえるかは難しいのです。
子どもを産むか産まないかは親の意思であり、人に頼まれて産む人は居ません。しかし産んでも良い、産みたいと考えている人々が、子育てはお金がかかる、子育ては難儀だ等と本人の意思ではなく、社会的要因で、産まない人が居たら、本人にとっても、社会にとっても、淋しい残念なことです。
そこで私たち小児科医は子育て支援のサポーターとして頑張っております。育児に要する費用や学資の軽減については政治家にお願いし、育児支援態勢造くりは保育園、託児所等にエンゼルプランが提供されました。
私もホームページに育児相談コーナーを設けましたが、育児支援のサポーターとしてお役に立ちたいと考えたからです。
子は人の子社会の子として、個人も社会も「子育て支援」に頑張って欲しいと願っております。
           鮫島信一(昭和29年普通科卆)

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小児救急医療に絡んで

鹿児島県医師会報平成13年4月号に掲載されましたので披露します。

小児救急医療に絡んで

            鹿児島県小児科医会会長 鮫島信一
鹿児島県小児科医会で「小児救急医療」について協議したわけではありませんが、3月10日、郡市医師会救急医療担当理事・県救急医療対策委員合同連絡協議会があり、その会で、「『小児救急医療体制』について情報提供をして欲しい」との要望があったので、当日の話題に思う事を加えて述べてみました。
1.小児医療の特殊性
(1)小児医療は、家族、保育者だけでなく、医師にとっても、急患と考えて良いわけです。子どもは症状を訴えられないし、病状も急変し易いからです。
(2)子どもは、急性疾患が多く、しかも感染症が多いので、保育園、幼稚園、学校などの集団生活をしているため流行しやすく、季節による患者の増減が顕著です。
(3)入院設備にも季節による需要の増減があり、不採算性となり易いという事情があります。
不採算性の理由を挙げると:
(イ)病室の稼働率の悪さ(平常は空床があっても、感染症流行時には満床で、病室探しに苦労することが多い)。
(ロ)人件費の無駄(そんなに処置が多いわけではないが、各種処置に際しては一時的に多くの人手を要する上、急変が多く24時間体制で備えられなければならない)。
(ハ)医療備品の使用頻度の偏り(高額医療器具の必要な時期が集中することが多い)。
(ニ)保護者同伴の必要性(その為の配慮は保健点数では評価されていない)。
(ホ)薬剤の使用にも無駄が多い(0.3gx3回=0.9g、3A使用していても保険審査では1g=1Aで良いのではないかと文句が出る)。
(ヘ)評価の低さ(保険点数では、一応小児加算が認められているものの、実情と評価の解離が大き過ぎる)。
2.少子化について
(1)少子化傾向
現在我が国では、死亡者より生まれる子どもの数が僅かに多いので、人口は増えているものの、2010年から死亡者の数が、出生数より増え始め、2020年からこの傾向は加速し、2050年には今の人口の半分の6000万人になるとの人口推移予測があります。
人口が少なくなれば、労働生産性は低下し、消費は増えず、経済活動は停滞します。一次産業や介護、保健・福祉への予算配分は少なくなり、資金不足、人手不足はいよいよ深刻になって、福祉事業の後退が心配です。
そうならないために、少子化傾向に歯止めを掛け、子育て支援体制の充実を図らねばなりません。
(2)少子化の原因
少子化の原因には色々言われておりますが、女性の高学歴化(我が国では、明治以来大学進学率は男性上位であったが、平成8年で男女同率、平成10年からは女性上位となった)、女性の職場進出、晩婚化、独身主義、子育てや養育費の増大、住宅事情、核家族化、子育て意識の変化等などが複雑微妙に絡んでいるわけです。
子どもを産むのは人に頼まれたり、社会のために産むわけではありません。ところが、子どもは成長し社会人に成れば、納税者となり、親に尽くすより遥かに大きく社会のために尽くします。「子は人の子であり、社会の子である」と言われる所以です。このように大切な社会の宝を育てる、「子育て」に対して、社会的支援が余りにも低いのが我が国の実情です。
「子どもを産みたい、産んでもよい」と考えている人が、「子育てにはお金がかかる、子育ては難儀だ」等と社会的・政治的支援不足のために「産むのを諦める」と言うことがあっては、その人ばかりでなく、社会全体にとっても、寂しい残念な出来事ではないでしょうか。
そのような立場から、日本小児科医会では、子育て支援を強化して、診療報酬の負担減(15歳以下は1割負担)、予防接種無料化の推進、心の相談医制、少子社会対策議員連盟の後押し等に力を入れております。
3.診療報酬について
現在は出来高払いですが、医療費に使える財源に限りが見えてきた今、成功報酬的考えを取り入れるのも良いのではないでしょうか。
90歳の老人に850万円の手術をして、更に数百万円の治療費をつぎ込んだが、結果としては死亡したと言ったような例を時々耳にします。
小児医療費は一人月額7〜8000円が平均です。1万円としても1000人の小児医療費が無料で代えられるわけです。しかも転帰は殆どが治癒です。「治癒」への成功報酬としては、初診料を大幅アップ(1万円くらい)することで評価すれば良いと思います。
「保険請求のレセプトを高額順に並べると、上位1%で医療費全体の1/3を占める」と言う医療保険の使われ方が、皆保険の日本国民に理解されているのか疑問です。
「老人医療は消費であり、小児医療は投資である」と言う天野 曄先生(日本小児科医会会長)の発言や「小児科医を優遇しない国は滅びる」と言う内藤壽七郎先生(日本小児科医会名誉会長)の名言が最近あちこちで引用されているようです。
4.小児救急医療について
住民の生命、財産の安全を守る責任は地方自治体にあります。そのために、鹿児島市を始め自治体が独自で病院や診療所を設立し運営している市町村もあるわけです。
一方で自治体病院も採算性が求められており、時間外急患のみを診るわけにゆきません。開業医はその地域での医療には医師会や自治体と協力して応分の責任があると考えます。
鹿児島市では昭和40年始め頃、患者のたらいまわしや夜間の医師不在に対する住民の不満が連日のようにマスコミに取り上げられました。
此れに対して、鹿児島県小児科医会では、木庭 長会長や故寺脇 保教授を盛り立てて、小児病院の設立を訴えました。
鹿児島市医師会では、昭和42年3月休日在宅当番医制がスタートし、54年11月からは全夜間輪番在宅医制がスタートしました。定点方式による夜間急病センターは昭和54年3月開設でした。その後365日の準夜帯まで診る事になり、平成5年8月からは全夜間制になったと言う経緯があります。
二次救急は医師会病院で対処し、三次救急は、鹿児島市立病院救命救急センター、鹿児島大学医学部付属病院救急部、国立病院九州循環器病センター、鹿児島CCUネットワークの御協力に頼っております。私は25年前、鹿児島救急医学会発足時から救急医療体制造りに関与してきた者の一人として、全国にも誇れる良い制度だと自負しております。
鹿児島市の小児救急については、昼間の一次救急は、小児科医も競合するくらいで、うまく稼動していますが、三次救急で、時にベッド不足が起こり、ベッド探しに苦労することがあります。地域医療の病床規制は厳しいのですが、小児救急病床としてあと20〜30床医師会病院にでも増床出来れば問題は改善されそうです。医師会病院なら、例え空床になっても、臨機応変に転用出来る体制が用意出来るからです。
2〜3の郡市医師会からは、一次救急の小児科医不足も深刻な地域の問題として披露されました。人口の少ないところでも地域の幅が広がれば、沢山の人口になります。開業を予定しておられる医師は、住民や医師会から歓迎されるような開業をして欲しいと願っております。
5.終わりに
小児医療を発展、向上させるためには、小児科医の数が増える必要があります。そのためには小児医療への明るい展望と働きやすい環境造りが必要です。
国策としては、少子化防止、育児支援対策を急がねばいけません。この事が日本国家の繁栄と経済発展に寄与することになると確信しています。

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在鹿児島市頴娃町人会

在鹿児島市頴娃町人会平成13年度の集い
平成13年度、在鹿児島市頴娃町人会の集いは、平成13年4月27日ジェイドガーデン・パレスで、六十数名のご参加を得て、盛会裏に終了出来ました。
故郷頴娃町からは、例年は町長がお出で下さるのですが、病気加療中のため、助役の浜田揚三郎さんと総務課長の海江田 操さんが御出でくださり、頴娃町の現況をお話して下さいました。
年間予算額77億6千万円、人口1万五千人、町税は予算の13%で、残りは国や県の交付金で賄われている由です。
農業生産額は235億で、鹿児島県市町村では第1位、九州では第3位とのことで、少し鼻高なお話でした。

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