最近感じていること

 

 

2020年1月の新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックから4年目に入り、政府の感染症についての取扱が大幅緩和「5類感染症(令和5年5月8日以降)」されたこともあり、徐々に国民生活もコロナ以前に戻りつつあります。

しかし消滅したわけではなく、人類の方が共存の道へと舵を切ったということ。彼らは、人類誕生(700万年前に猿人)、現在のホモサピエンス(20万年前)より遙か遠い昔20億年以上前に誕生し、ズーッと地球上に生存し続けている。つまり、人類は真菌や細菌に栄養や酸素を供給する代わりに、彼らの免疫力で人体を害する細菌やウイルスから守ってくれていると考えると理解し易いのかも知れません。(共生関係)

それよりも3年間という長い自粛期間により、ロコモティブ・シンドローム「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」 の弊害が指摘されるようにもなっていました。

また最近言われているのは、頭の柔らかい若い人達でも感情のコミュニケーションが苦手な人が増加しているとのこと。長期間に亘り対面での会話が制限されたことで、リモートでの会話は「情報のコミュニケーション(情報のやりとりだけ)」だけで、「感情の共有や同期」が起こらないことが実験で証明されています。


このことを太極拳に置き換えて考えてみましょう。グループでの太極拳の演舞で、心地良さや爽快感を味わうことができるのは、その場(時間・空間)を共有しているだけでなく、感情のコミュニケーション(心地良さの共有・同期)が起きていると推測することができます。

静かに内観を積み重ねるうちに心が満たされ、呼吸法と太極拳で全身の血流を促すことで37兆個ともいわれる細胞を活性化、手や足の先にまで意識を向け気血を巡らせることで健康を促します。

 

世界の太極拳人口は1億5000人ともいわれ、一昨年には太極拳がユネスコ無形文化遺産に登録(2020年の12月)されました。アクション映画のような武術の技を競う太極拳もありますが、楊名時太極拳は「心と体の調和(健康)」に特化した健康太極拳のプログラムになっていますので、正しく学ぶことで80歳,90歳を越えてもなお元気に太極拳を楽しむことができるのです。

 

本健康太極拳創始者の楊名時師家は、多くの著書の中で「太極拳は心が大切」と説かれています。物質的には便利で豊かな暮らしができる反面、どうしたら「不安やイライラのない、穏やか心に保てるのか」、その答えは自分自身の中にあると説かれています。

また、太極拳における「心技」は形がなく目に見えないものですが、自ら学びとり、自ら修めることによって得ることができます。また、『以意行気 以気運身』;生きることは動くこと、心を動かし、気を動かし、体を動かす。そうやって心と体の調和を図ることで、自ずと健康に導かれると訓えられています。

 

 

楊進先生のご指導の中から(2019年6月17日)

禅語『心外無別法』を引用され、形は心が作り出しているものであり、心にあるものしか技(術)は出ない。

見よう見真似で覚えた太極拳(套路)も、それぞれ自分の思い込みで勝手に形を作り出していたことになる。より健康効果を高めるため、また捻れ(内向)に弱い膝関節に無理をさせないためには、歩法の際の体の使い方(意識の置き方)、手や足の配置(背式、鬆跨・収臀、機能軸に載せる等)、弓歩・虚歩での骨盤の向き(回すのは腰から上;折畳)等々、基本に立ち返ることの重要性を得ることができました。

郭福厚老師の話から、『練拳不練功 到老一場空;形あるものはいつか無くなる。太極拳の形がどうこうということばかりやって、功を練(立禅等)ることを疎かにしていると、いつか体が思うように動かせなくなったときに空しさか残らない。』という。

 

楊慧先生の講話から(2019年10月27日)

太極拳は『以心行気 以気運身』、心(意識)が体(行動)を動かしている。目に見えないけれども、そこに流れているのは生命エネルギーとしての気。また、『薬補不如食補 食補不如気補』と言う言葉があり、薬(サプリ等)よりバランスの良い食事、食事よりも大宇宙や大地からいただく気(エネルギー)の方がより大切。

  ※気とは、” 生命にとっての根源的なエネルギー ”と解釈

 

楊進先生の講話から(2018年4月15日)

武術としての太極拳と健康太極拳(楊名時太極拳)の目指すレベルに大きな差はあるものの方向は同じ、つまり自分の感覚を磨く努力することで、太極拳(楊名時太極拳)の道から外れることはない。