ゆうきまさみ『鉄腕バーディー』2巻 小学館 2003年

 つとむ&バーディーに襲いかかるレビ一派の魔手。だが,それに隠れて恐るべき“スピリッツ計画”が進行していた。ジャーナリスト室戸のスケッチから,計画の手がかりをつかんだバーディーは,その実態を追う。そこには,バーディーの属する“連邦”と対立関係にある“同盟”の影が…さらにレビに協力しているらしい地球人・氷川の真の意図は奈辺にあるのか…事態は錯綜の度を深める…

 さて本巻の前半,第2章「DOUBLE TROUBLE」は,旧「バーディー」のリメイク,ヌトヌトグチャグチャのバチルスとのバトルを描いたエピソードです。旧作では,単なるおバカだった(笑)バチルスですが,本編では,擬態を続けるうちに自らのアイデンティティを喪失しているという,サイコっぽい設定で不気味です。
 で,個人的にお待ちかね(笑)の早宮夏美嬢の登場!!
 …………なんですが,う〜む,性格設定−アクティブで,優柔不断な千川つとむを引っ張り回すタイプ−は変更はないのですが,絵柄がぜんぜん違っちゃってますね。たしかに『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』の後半くらいから,この作者のタッチ,とくにキャラの顔の中での目や口の大きさや配置の仕方が「大人的」(あるいは,よりリアルに近い感じ)になってきた観がありましたが,その延長線上にあるのかもしれません(すると『パンゲアの娘 KUNIE』の顔の描き方は,子どもが主人公のせいもあってか,むしろより「マンガ的」な雰囲気が強いような気もします)。

 そして第3章「THE THIRD POWER」にはいると,いよいよ新生「バーディー」のオリジナル・ストーリィ開始です(もっとも基本となる「スピリッツ計画」は旧作を踏襲していますが)。この作者お得意の,一癖も二癖もありそうな怪しげな(笑)キャラクタが目白押しです。
 まずは室戸圭介。かつてはまっとうなジャーナリストだったようですが(笑),今では「宇宙人はすでに地球に来ている!」といった矢○純○みたいなトンデモ系ライタのようです。で,そんな彼が持っている「スピリッツ」の原料となる酔魂草の情報…それを知ったバーディーは,クリステラ・レビの計画の一端をかいま見る,とストーリィが転がっていきます。
 それから,つとむに深い疑惑を持つ刑事永瀬。酷薄で執念深そうな「暴走刑事」といった役回りのようで,狂言回しとなるか,あるいは事件に深く関与していくか,これから楽しみなキャラです。
 さらに,レビに協力しているらしい謎の男氷川。レビから酔魂草を譲り受け,地球で栽培しています。ですが,「協力」はどうやら表面的なこと,「亡き祖父,氷川精一郎の野望も叶うというものだよ」などとほざいていますので,立派に二代目マッド・サイエンティストを襲名しているようです(笑)
 こんな連中が,レビvsバーディー,さらに今回新たに加わった“同盟”vs“連邦”の闘いに「参戦」してくるわけですから,もうこれはワクワクものです。やはりサスペンスでは,基本となる「対立」に,それぞれの野心やら欲望やらを持った組織や個人が関わることで,思わぬ展開を見せる,というのが定番ですからね。

 あ,それともうひとりお気に入りのキャラは,報道部顧問の墨田先生(笑) こんな人の良さそうな「おじいさん先生」って,どこの学校にもいますものね^^;;

03/09/13

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