高橋葉介『学校怪談』8巻 秋田書店 1998年

 ふと表紙を見ると,いつもの九段先生,山岸くんとともに,どこかで見かけたようなタバコを吸う横顔。「もしや」と思いつつ読み進めていくと,やっぱり出てきました! 帝都の小悪魔(笑)夢幻魔美也!(怪奇編の方の魔美也です)
 彼の登場作「特別編 夜の声/黒い天使」は,なかなか凝った構成をしています。冒頭,夏休み,生徒たちのいない学校で,第7巻に登場した峠美勒九段九鬼子先生との対決です。美勒に誘われ,雨の中の屋上に登る九鬼子先生,屋上へのドアを開けたところで,場面は一転,九鬼子先生の過去に戻ります。つまりドアを開けるまでが「夜の声(一)」で,九鬼子先生の過去のエピソードが「黒い天使」。でもって,「黒い天使」のあとに「夜の声(二)」が続くという構成となっています。
 「黒い天使」のなかで,美勒と九鬼子先生との関係が語られ,そして魔美也は,危機に陥った九鬼子を救うという役回り。「また何かあったら,俺は九鬼子のところへ戻って来るぞ」といいおいて,魔美也は去ります。そして「夜の声(二)」,九鬼子と美勒との対決(和解)を助けるために,魔美也はふたたび登場。彼と九鬼子との関係が明らかにされます。
 う〜む,なるほど,そうだったのかぁ。『学校怪談』だけを読んでいる読者にはよくわからないかもしれませんが,高橋葉介ファンにとっては,なんともうれしい作品ですね。「(一)」に出てくる魔美也のセリフ「素敵なお兄さまと呼べ」が,エンディングでニヤリとさせられます。でもそうなると,魔美也も嫁さんもらって(もらわんでもいいけど(^^;;),子孫を残しているんですね。そういえば九鬼子先生の顔立ち,『夢幻外伝』に出てくる下宿屋の娘に似ているような・・・(まさかね?)

 さてこの巻でのもうひとつのお楽しみ(?)は,レギュラの立石双葉嬢。「第128話 ずっと水の底にいる」では,中学生の頃の九鬼子先生風の美少女が,プールの底で化け物に取って代わられ,誰か代わりが来るまで水底にいなければならない(『うる星やつら』に,かまくらネタで同じようなのがあったぞ(笑))。それを山岸くんが助け出すのですが,「名前は?」と問いかける彼に,美少女答えて「わたしはフタバ。立石双葉」
どっかぁぁ〜〜ん!(<わたしの心理状態(笑))
 う〜む,メガネ少女が,メガネを取ると美少女に変身! というのは少女マンガではよく見かけるパターンですが,それを逆手に取った作品,なんだか叙述ミステリみたいだぞ(笑)。でもこれ以降,山岸くんと立石さんはなにやら急速に接近し始めるようです。山岸くんもけっこうゲンキン(笑)。でも個人的には,キッチリまとめた髪型の立石さんの方が好きなんですが・・・。

 この巻にはもうひとり新キャラクタが登場。名前は神宮寺八千華。霊感を持っている感じのタカビー(死語)な美少女。九鬼子先生とあわせて,ますますこの作品,コメディ色,スラプスティック色が強くなりそうです。もしかすると,山岸=立石=神宮寺のラヴコメ風の味付けもあり?

98/01/18

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