和田慎二『怪盗アマリリス』3〜5巻 白泉社 1992・1993年

 きゃはははははっ!

 まさか,こ〜ゆ〜展開になるとは!!
 なんと怪盗アマリリスこと椎崎奈々がアイドル“フラワードリームNANA”に!!
 それも最初は,代役として1日だけのコンサートのはずが,あれよあれよとスーパーアイドルになってしまうところが,この作者らしいですね。てっきり,昼は普通の女子高生,夜は怪盗アマリリスというのを,基本フォーマットにして,学園ラヴコメ風の味付けで進んでいくのではないかと思っていただけに,なんともショッキングで,楽しい展開です。
 でもってゲーノーカイといえば“いぢわるなライバル”がお約束。黒沢ゆかり嬢がその人であります。
「おぼえておきなさい,芸能界ってところはね,焼肉定食なのよ!」
 こーいったアナクロなギャグも,大ゴマで言われてしまうと,思わず笑ってしまいますね(この娘,けっこう好きです,わたし)。

 さらに悪のり(笑)する作者,黒沢ゆかりに,「声斬波(ミラクル・ボイス)」なる必殺技を習得させちゃいますし(アイドルに必殺技なんぞ持たせて,どないせぇっちゅうんや!),前巻から出てきたおちゃらけ集団「アマリリス騎士団」を,忍者集団に仕立てた上,NANAのバックコーラスにしてしまいます(そのコスチュームが宝塚&ガッチャマンというところがまた・・・(^^ゞ)。

 一方,アイドルになってしまうと,アマリリスとしての「盗みネタ」にうまくつなげられないであろうということからでしょうか,芸能界をネットワークとして使うアンダーグラウンドの骨董売買組織“黒いオークション”というのを出してきます。で,「黒狼」なるバリバリのヒールが登場。不敵な笑みを浮かべながら,アマリリスに挑戦します(でも,見た目はヴィジュアル系バンドのボーカルって感じですが(笑))。
 なんかもう,作者の趣味が全開という感じの盛り上がり方であります。好きだなぁ,こ〜ゆ〜の。

 それと個人的にうれしかったのが,和田作品の常連キャラ「八雲」クンのひさびさの登場でしょう。いつもいろんな巨悪の秘書役として出演,ラストには主人公にメタメタにやられてしまうという悲惨な末路でお馴染みの八雲クン,異様に長いもみあげがトレードマークです。今回は社長役とはいえ,やっぱり背後に巨悪がいそうです。そしてなにやら陰険な策謀をはりめぐらせますが,結局,成功しません(笑)。

 次巻から「映画編」,聞くところによると,なんでも『超少女明日香』を映画化するという設定らしいです。楽しみ,楽しみ。

98/09/01

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