朝 礼 訓 辞
平成25年10月1日
「せいざん病院」が開院して、ちょうど6ヶ月が過ぎました。 皆さんのおかげで、いろいろ問題を抱えながらもやっと辿り着いたという感じです。 住吉は遠い所だと初めは思っていましたが、朝夕、通っている中に慣れと申しましょうか、そう遠く思わなくなり、能野の海岸を車で走りながら海を眺め、遠くに見えたり、近くに見えたりする馬毛島を見ながら種子島は本当によい所だと、種子島に生まれてよかったとつくづく思うようになりました。 世界地図で見れば、芥子粒程の小さな島、昔は全島が茅に覆われ、一頃は鹿が1万頭住んでいたそうです。猪や狸も住んでいましたが、もちろん、今は絶滅してしかも今や絶滅の危機に瀕しています。 雨上がりの日に空気の澄んだ時など手に取るように馬毛島がそこに見えますが、島の南側3分の1ぐらいのところに大きくえぐり取られた山肌が見られます。あれは飛行場の滑走路ですが、建設の際、海に流れ込んだ泥水のために、ナガラメは獲れなくなり、ミナ(貝類)も魚も獲れなくなりました。江戸末期から明治にかけ、馬毛島近海で獲れる飛魚の漁獲量は日本一になった頃があったそうです。 その馬毛島に自衛隊を誘致しようという運動があります。 自衛隊が来れば、必ずいつかは米軍がやって参ります。日米合同演習が行われ、飛行機やヘリコプターがやって来、海には輸送船や軍艦が来るでしょうし、そしていつかは原子力潜水艦がやってくるでしょうし、放射能に汚染された水が流され、魚や魚介類は食べられなくなってしまうでしょう。 中国や北朝鮮などに対する防衛の意味からすれば、アメリカにとっては喉から手が出そうな格好の島なのです。 太平洋戦争を経験した私には、戦争は二度と起こしてはならないと思いますし、この自然豊かな種子島や馬毛島を何としても守っていかなければならないと思います。 皆さん、どうか朝夕、あの馬毛島を労りの心を持って眺め、祈ってほしいのです。 と同時に種子島、屋久島に生まれて、心を病む人々に少しでもお役に立てる病院として皆さんと一緒にこの「せいざん病院}を守っていきましょう。 今月も何卒よろしくお願い申し上げます。 |
医療法人純青会 せいざん病院 理事長 田上 容正 |