朝 礼 訓 辞

平成24年12月3日

  今年もとうとう最後の月になりました。皆さんには、本当に一生懸命に働いてくださり、ありがたく感謝しています。
 新病院の建築も順調に進んでいますので、来年からはなおいっそう元気を出して頑張りましょう。
 
 今、日本は政治も経済も行き詰まっていますので、ここで日本人全体の意識を変えなければ、日本は沈没しかねない状態ですので、今月16日に行われる衆議院選挙にはよく政見を聞いて投票してください。
 医療と福祉だけでなく、弱い人、虐げられた人、貧しい人たちを助ける政策を掲げた人に投票してください。

 寒さが厳しくなく中で、未だに私達の心の中に、しこりが残り、心が晴れないのは、やはり昨年3月11日の東北地方の震災の人々のことです。
 特に家族の分断という問題が深刻のようです。
 福島県の郡山というところの話ですが、兄弟3人の3家族が近くに家を構えていて、週末になるといつも3家族が集まって夕食のテーブルを囲んでいました。
 大家族でとても仲が良いのが自慢でしたが、震災の後、ここにいては危険というので、次男の奥さんが子供を連れて東京に引っ越してしまいました。
 長男夫婦と長女夫婦の家族は、それからも週末に集まっていました。おばあさんが地元の野菜で作った料理を作ると、長男は平気で食べるが、奥さんが「私達はいただきますけど、子供には食べさせないでください。」ということになりました。
 そういうことが続いていくうちに、あれだけ仲良しだった大家族がばらばらになってしまいました。家族の一人は「これから家族が一同に集まる時が来るのでしょうか」と話していました。
 何が辛いかといっても、家族の団らんの場がなくなり、お互いの心が離れてしまうほど、辛いことはありません。
 食べ物が違ってくると心までも通じなくなってしまうのです。

 これは、ほんの一例ですが、似たような悲しみ、苦しみを味わっている人が東北地方にはまだ沢山残されています。
 私達は不十分ながらも美味しい食べ物に恵まれ、不自由なく暮らせる幸せを東北の人々に少しでも分かち与えたいという気持ちで、この年末を迎え、そしてまた新しい年を迎えたいものだと思います。

(致知12月号より参考にさせて頂きました。)
医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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