こだわり ー「山川漬」と「つぼ漬」ー

「山川漬」とは

山川漬−カメ壺の底に竹のスノコを敷く。
(1) カメ壺の底に竹のスノコを敷く。

山川漬−少量の塩を振りかけながら干し大根を敷き詰める。
(2)少量の塩を振りかけながら干し大根を敷き詰める。底に溜まった浸出液はポンプで抜き取る。

山川漬−密閉して6ケ月以上発酵させる。
(3)密閉して6ケ月以上発酵させる。

 「山川漬」についての古い資料によりますと、『文禄元年(1592年)、豊臣秀吉軍の朝鮮出兵に向けて、薩摩半島南端の山川港から出港する島津義久の船に、付近の農家が漬けた「唐漬」を食糧の一部として積み込んだ』とあり、この「唐漬」が今の「山川漬」であると記されています。
 良く干した大根に海水を塗しながら、杵で搗いて肉質を均一にし、底にスノコを敷いた大きなカメ壺に塩漬けし、6ケ月以上発酵熟成させると、独特の風味を持つ「山川漬」が出来上がります。山川地方は冬場でも霜が降りない温かい気候であるため、大根の干燥に適していたと思われます。
 現在ごく一部でしか作られていないカメ壺仕込み「山川漬」は、大根を良く干燥する事と、カメ壺の中での長期間の発酵によって旨味成分が凝縮され、特有の美味しさを持つ漬物となっています。また、カメ壺の底にスノコを敷いて、水分に触れずに発酵する事で、早く褐色化すると共に特異な香気が出てきます。鹿児島県工業技術センターにおける最近の研究では、「山川漬」には、血圧降下作用、リラックス効果などが期待できるGABA(γアミノ酪酸)が、ギャバ茶などと同レベルに含まれる事が分かりました。

 「山川漬」は鹿児島県ふるさと認証食品(Eマーク食品)に認定されており、その認証機関である「鹿児島県山川漬協議会」の会長を、当社社長藤崎茂実が仰せつかっています。
Eマークとは、優れた品質(Excellent Quality)、正確な表示(Exact Expression)、地域の環境との調和(Harmony with Ecology)の3つの頭文字を「品」の形に図案化したマークを付け、「良い品(イイシナ)」である事を表現しています。


「山川漬」と「つぼ漬」はどう違う?

 大きなカメ壺に漬けるので、(特に刻んで調味したものを)「つぼ漬」とも呼びましたが、昭和40年代以降、両者は枝分かれしました。高度経済成長下で、首都圏・関西圏向けに出荷される様になり、大量生産する必要が出て、2段の棚干しから6〜10段の竹製の櫓干しに変わり、漬け方もカメ壺からタンクに変わりました。これが、現在の「つぼ漬」の始まりで、それ以前の「山川漬」とは風味・色調が異なる新しい漬物の誕生と言って良いでしょう。その後、「つぼ漬」の方が発酵度が低い為に、「山川漬」独特の臭い・味が薄く、あっさりとして食べやすい事から全国的に人気を博し、九州を代表する漬物になりました。当社「つぼ漬」は、昭和44年第8回農業祭漬物振興展において栄えある農林大臣賞を受賞致しました。

  当社では、「つぼ漬」のバリエーションを豊富に持ち、薄いピンク色の紫蘇風味「つぼ桜」、天然の柚子果汁入り「柚子つぼ漬」、枕崎産かつお節入り「かつおつぼ漬」、鹿児島県福山地方特産の「黒酢」を使った「黒酢黒糖つぼ漬」など、季節によって、又は気分によって色々な味を楽しめる様に致しております。


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