竹本泉『よみきり☆もの』2〜5巻 エンターブレイン 2002〜2003年

 1巻の感想文を書いたっきり,放っておいてすみません(_○_) いや,ちゃんと新刊が出るたびに買っていたのですが,ほら,この作家さんの「ヘンな話」って,4コママンガ並に,すごく感想文が書きづらいところがあって…(..ゞ そこで4巻まとめて(1巻2編ぐらいで)アップしてお茶を濁そうかと…(笑)

 まず2巻には「南海の季節」「にゃんこのうしろ」「ねむりの午後」「たべる少女は はしる少女」「あっちのやね こっちのやね」「目も流れるみたいな」の6編が収録されています。
 本巻で一番のお気に入りは,1巻「あっちの屋根 こっちの屋根」の続き(?)「あっちのやね…」です(まぎわらしいタイトル(笑))。とにかく訳が分からない,この作者の「ヘンさ加減」が一番よく出ているエピソードであることと,お気に入りの江崎まりあん嬢が登場するからです(<どうやら,太めの眉毛キャラ(例:泉野明)が好きらしい(笑))。
 もうひとつは「ねむりの午後」。たしかに高校時代って,ホント,眠かったですよね^^;; 7時間寝たら,目覚まし時計がなくても起きてしまうおっさん体質の今からすれば,じつに不思議です(笑) ですから主人公沢ノ木芝子の気持ち,よくわかります。

 3巻は「うさぎのお屋敷」「おもいあし」「遠くの呼び声」「さまよえる王様」「ねこだまり ねこどなり」「ブックスパラダイス Vol.1,Vol.2」です。
 好きな作品は,というと,じつはシリーズ外の「ブックスパラダイス」なんです(^^ゞ でも,本好きとしては,こういった,霧が立ちこめてヘンなもんが出てきたり,隠し金庫があったりするような「得体の知れない図書館」って,やっぱりワクワクしません?(わたしだけか?^^;;) それから「Vol.2」での主人公森永う子嬢の「にへ」「うへ」がいいですね。なんか,ミステリの伏線みたいで…(そうか?) 
 あと,同じ耳そうじ好き(笑)としては「遠くの呼び声」もいいですね。いや,「する方」も好きですが,「される方」がもっと好きなんですが^^;;(しかし,こういったネタがラブコメにならないところが,「らしい」といえば「らしい」ですね)

 4巻収録は「わきあがる想い」「あなとかいろいろ」「台風上陸少女」「どっちもどっちも」「きくばらない少女」「たちくらみの味」です。
 この巻ではやはり,エスパー少女岸島慶子嬢が登場するSF(笑)「わきあがる想い」ですね。本編の設定にもあるように,たしかに普通,明確な文章でもってものを考えるというのは,あんまりないでしょうね。ですから,一見便利そうで,じつは「全然役に立たないーっ」という指摘(嘆き?)は,的を射たものでしょう。ここらへんの発想が好きですね。で,岸島さんの嫌いなものを思い浮かべ,あまつさえ辞書までひいてくるという矢口くんのキャラも見過ごせませんね。律儀というか,なんというか^^;;
 それと,内容じゃなくてタイトルで笑ってしまったのが「あなとかいろいろ」。なんか,いい加減というか,ユニークというか,手抜きというか,とにかくすごいネーミングです(笑) まぁ,内容もそのまんま,なんですが…

 最新刊の5巻は「せきめんのすきま」「そらのすみ」「ことりのす」「くちをひらけば」「ブックスパラダイス Vol.3」「もらいものに笑顔」の6編。
 一番楽しかったのが,「ふつうにさえしてれば可愛い」けれど,とにかく口の悪い涼木奈子嬢が主人公の「くちをひらけば」。それに「どんな性格だろうと,美少女は美少女」と断言してしまう彼女のしぶとさもいいですね(笑) で,一方,罵倒されてばかりの大岡くんといえば,しっかりお間抜けで笑わせてくれます。そのふたり,帯の惹句どおり「学園ラブコメ」ならば,キス・シーンになだれ込んでいくところが,なぜかお互いにほっぺの引っ張り合い……作中人物の言じゃないですが「めったにないけど,こーいう展開も」です(笑)
 もうひとつは,今度はシリーズ内の1作として描かれた「ブックスパラダイス Vol.3」。「相性の悪い」同士の本(どんなや?)を,一緒の箱に入れると,勝手に散らばってしまうという発想,どこか都市伝説を彷彿させて,いいですね。ホームズルパンを一緒に入れたらどうなるか? 想像してみるとドキドキしません?(^^ゞ

 ところで5巻の「あとがき」で,作者が,5巻に登場する少女キャラを2タイプ−「3人がぽよよんとしていて,3人がにらんでいる」(笑)−に分けていますが,これって,このシリーズ全体に通じるところがあるのではないでしょうか。

03/09/15

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