たがみよしひさ『妖怪戦記』参巻 徳間書店 1997年

 てっきり2巻で終わりだ思ってました。掲載誌の『少年キャプテン』も休刊したと聞いていたし・・・。これが最終巻になるのかなあ。

 交通事故をきっかけに,妖怪を見る力と倒す力を得た(力が甦った?)地童悟郎と,代々鬼部降伏師(エクソシストみたいなやつ)をつとめる巫子神家の11代・唯円(女性)とが,人に害なす妖怪たちを退治していくというお話。前巻登場の弥真野江美里とともに,今回,式島鈴が加わり,だんだんにぎやかになってきました(といっても,登場人物を増やして,物語を強引に進めるのは,この作者のお得意パターン(?)のような気がしないでもないけど)。

 この巻のメインは,やはり悟郎の力が失われるかもしれない,というお話でしょう。交通事故で,自分自身よくわからないままに身に付いた力が,自分でもわからないまま,失われていく。どうやら伏線は「母親」にありそうです。ドイツ人(?)の母親も,やはり妖怪(悪魔)を見る力を持っていたようで,その力は遺伝だった可能性がある。では母親の死は,彼にいったいどういう影響を与えたのか? そして,不安定ながら同じ力を持つ式島鈴の登場。唯円の悟郎への想いは・・・。とまあ,いよいよクライマックスへ向けて,ネタはそろった,という感じなのですが,先に書いたように,掲載誌そのものが休刊してしまっては,どうしようもない。

 マンガ雑誌というのも商売である以上,営業の不振で休刊したり,廃刊したりするのは,仕方がないとしても,作家さんの方に,どの程度,休刊や廃刊の連絡が伝えられているのでしょうか? 以前,JETが,『ハロウィン』の突然の廃刊に怒り狂っていましたが・・・。あろひろしの『ハンターキャッツ』は,一応「第1部完結」という形で,それなりに決着はついているみたいですが,『妖怪戦記』のほうは,とても決着がついているとは思えない。どこかに身売りするという,という手もあるでしょうが,どうなることやら。けっこう好きな話だったので,残念です(じつはもう1巻出て,しっかり完結したりして?)

97/03/20

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