岡崎二郎『NEKO』1巻 小学館 1998年

 短編掌編が多いため,なかなかコミックスにならない岡崎作品が,『国立博物館物語』に続いて,こ・・こんなに早く読めるとは・・・(T_T)感涙! う・・・・うっきぃ!(<錯乱気味(笑))

 さて,主人公の亜紀ちゃん(8歳)は,乳児の頃に飼い猫ミミのお乳を飲んだせいか,世にも珍しいネコ語が話せる少女です。そんな亜紀と近所に住むネコの面々が巻き込まれる“事件”の数々を描くシリーズ短編集です。

「第1章 ニャ〜!!」
 街を挙げてのノラネコ一掃作戦に,なんとかネコの名誉挽回をはかろうと,亜紀たちは覚醒剤密売犯人を捕まえようとして・・・。
 亜紀の想像する警官がいずれも「かっこいい」のがなんとも楽しいです。テレビの見過ぎですよ,亜紀ちゃん(笑)。それにしても,コートからネコが飛び出てくるシーンはちょっと怖いですね。
「第2章 僕は捨てネコ」
 亜紀が拾った子ネコが,とても珍しいオスの三毛猫だとわかったことから・・・。
 人の勝手な思惑で,捨てられたり,また愛玩されたりするネコたち(ペットたち)。でも,それが子ネコにとって幸せにつながるのだとしたら・・・。なかなか難しい問題ですね。エンディングの父親ネコのセリフがかっこいいです。。
「第3章 ネコ語習得法」
 行方不明のネコをめぐって怪しげな男たちが暗躍して・・・。
 本当にこういうことができるのかどうかわかりませんが,あってもおかしくないような気もしますね。岡崎作品の魅力のひとつは,このエピソードのような,SFともミステリともファンタジィともつかぬ不思議なタッチにあるのでしょうね。
「第4章 ある芸術家の憂鬱」
 1枚100万円もする抽象画。その作者はじつはネコ!?
 以前,やはり絵を描く動物のニュースをテレビで見たことがありますが,あれはネコだったかなぁ???(記憶あやふや)。ところでこの作者も部分的にCGを使っているようですね。
「第5章 黒ネコラック」
 ドジな美容師見習い・朝倉裕子の不運は,飼い猫のラックのせい!?
 フライドチキンを食べて,手を洗わないで外を歩いていたら,ノラネコが足下でお腹を見せて「うにゃうにゃ」と四肢をばたつかせました。その姿を見て,不覚にも「か・・・かわいい・・・」と思ってしまったことがあります。たしかにあのポーズは人の心を震わせるものがあるようです,くやしいけど(笑)。
「第6章 オリの中のモンスター」
 長いこと檻の中で飼われていた巨犬アイリッシュ・ウルフハウンド。ある日,彼はついに自由を手に入れ・・・。
 ひところ,大型犬を飼うのが流行りましたが,人は「ペット」というレッテルが貼ってあると,それが「猛獣」であることを忘れてしまいがちです。オチがこの作者らしくて好きです。
「第7章 雄ネコたちの挽歌」
 亜紀の住む町にいる2匹のボスネコ。ところが片方のボブの様子がおかしい・・・。
 ネコの話というより,ネコをネタにした寓話です。といってしまえば,この作品全部がそうですが,とくにこのエピソードはその傾向が強いです。しかしネコというのは,1日16時間も寝ているんですねぇ・・・(いいなぁ(笑))。タイトルの元ネタは香港映画『男たちの挽歌』でしょうね。

98/04/01

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