高橋葉介『KUROKO−黒衣−』2・3巻 秋田書店 2001年

 掲示板で2巻が出ていることを知り,ホクホクと買い込んできて,「さて感想文を」と思っていたら,なんと早くも3巻が店頭に・・・奥付を見たら,わずか1ヶ月の違い。『学校怪談』のときのペースを想定してただけに,あまりのハイ・ペースにちょっとびっくりしてます。

「黒衣v.s.黒衣」
 餌場であるゴミ捨て場をめぐって,カラスと猫が,抗争する暴力団に憑依して「代理戦争」を繰り広げるという発想がユニークですね。それにしてもカラスや猫に操られちゃう真紅郎紫奈乃,たしかに修行不足かも(笑)
「憑き物パーティ」
 紫奈乃たちのクラスメート杉下くんの登場。で,彼のお姉さんが,ゴシップ雑誌『フォークロア』の記者・杉下ミドリさんの弟という設定は「いかにも」といったところ。
「青蛇の館」
 ボケたおす杉下くんが楽しいですね(鱗だの舌だので,いい加減気づけよ(笑))。ところで,真紅郎の「お父さんは情けない〜〜」というセリフ,紫奈乃に対する愛情表現?
「夢神」
 能天気でちょっとおバカな紫奈乃,じつは,けっこう哀しくハードな少女時代を過ごしていたというお話。健気な娘じゃないですか(T_T)
「妖魔と創る男」
 さらにクラスメートの芝田もえぎ嬢登場。どうやら真紅郎に「ホ」の字(<死語)らしい。紫奈乃=杉下,真紅郎=もえぎというカップリングというか四角関係へと発展するかと思いきや・・・でももえぎちゃんタイプ,けっこう好みだったりします(=^^=)
「峠家の秘密」
 さて,いよいよ本シリーズの「謎の核心」とも言うべき,真紅郎の妹黄華の本格的登場であります。といっても,どうやら黄華は「憑かれている」と状態らしく,なにやら「わけのわからないもの」になっています。けっこうおちゃらけたシーンの多い本作品ですが,中心部は意外とヘヴィな設定になっているようです。それにしてもモンスタ・ヴァージョンの“黄華”は造形は不気味ですね。中央の「顔」が笑みを浮かべているところなどがとくに・・・(そういや,こんな化け物,『学校怪談』にも出てきませんでしたっけ?) ところで,この作者の女性キャラには「細眉系」と「太眉系」があるようですね^^;;
「押し入れの少女」
 作者が「あとがき」で書いているように,実際に起こった陰惨な事件を元ネタにした作品。過去の凄惨な体験が心から離れないトラウマというのも,ある意味「憑き物」と言えなくはありません。真紅郎の言うように「こういう憑き物落としなら気分がいいや」ですね。
「もののけの村」
 ひとめでヒールとわかってしまう(笑)金牙・銀河兄姉が登場。彼らに“黒衣”を奪われた真紅郎・紫奈乃が「もののけ村」で四苦八苦するというエピソードです。「表黒衣・裏黒衣」なる「歴史」が語られ,なんだか伝奇的なテイストも併せ持ってきました(茶道の「表千家・裏千家」みたいな感じもしますが(笑))。金牙・銀河が,この「歴史」とどう絡むのかが注目です。で,もののけ村のオヤジ,ちょっと夢幻狂四郎が入ってますが,なかなか渋い役回りですね。
「バトル・イン・ホテル」
 もののけ村を脱出した真紅郎・紫奈乃は,「幽霊ホテル」で金牙・銀河と対決します。圧倒的な力の差に追いつめられる真紅郎。一方,不思議な鍵で(どうやら)銀河の「過去」に入り込んだ紫奈乃・・・さて,どういう展開が待っているかは,4巻待ちです。ところで,銀河のバストが,以前に比べて,やたら大きくなってます(笑)

01/07/24

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