ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』14巻 小学館 1998年

 前巻で,情けなくも渡会牧場を飛び出した駿平でありますが,ひびきの迎えで無事(?)牧場に戻ります。しかしひびきとの仲は,あたり前といえばあたり前ですが,いまいちしっくりこない。で,チャンスとばかり(?)たづながいろいろとモーション(死語)を仕掛けてきます(たづなちゃんの「猫口」はなんか可愛いですね(^^)。
 一方,も,ひびきをドライブに誘い出し,彼女の前で「理想の女性像」について語ったり,「将を射んと欲せばまず馬を射よ」とばかりに,ひびきの双子の弟佑騎にアプローチしたりと,なかなかしたたかに立ち回ります(それにしても,悟の「理想像」を聞いて「それってもしかして,うちのお母さん!?」と答えるひびきちゃん・・・・・,悟に同情しますね(T_T))。そんなわけで,渡会牧場は前巻に続いて「恋の花咲く都」(<古すぎ!)なのであります。

 しかし,「STEP139」から「STEP145」までのサブタイトルが「俺らにゃ俺らの夢がある」というように,牧場に舞い戻った駿平,恋の鞘当てに右往左往しつつも,ヒコの育成に力を注ぎます。彼が渡会社長に頼み込んで,なんとか産ませてもらった双子のヒコ,その成長こそが,駿平にとっての「夢」なのでしょう。そんな彼の姿はけっして「たくましい」とか「熱血」とかいう感じではありませんが,それでも次第次第に彼が「牧場人」らしく成長していく姿なのかもしれません。
 でもって,やはりサブタイトル通り,駿平はいろいろな夢を見ます(笑)。なかでも笑ったのが,結婚した悟とひびきの使用人として駿平が付き従うという夢。大正時代の奥方のように着飾ったひびきから,
「駿平,しあわせ?」
と,無邪気な笑みを浮かべながら訊かれるシーンは,涙なしでは読めませんね(<「笑った」と書いたろうが!(笑))。ここまで自分を卑下することはなかろうものを・・・・
 また別の夢では,ひびきから,
「そーゆー優柔不断な態度が問題をややこしくするんだ!」
と,思いっきり蹴りを入れられます。夢というのは,しばしば,自分さえ気づいていない本質を露にするものですねぇ・・・。

 後半というか,残り1/3,「STEP146」から「STEP149」は「夢一秒」南こうせつ『夢一夜』のパロディでしょうね),ひさびさの(?)イーグルネタです。ジャパン・カップに出走することになったイーグル,騎手は,あの繰り上がり優勝の竹岡一人。ところが,前のレースで一人が落馬! ジョッキー交代! と駿平たちが喜んだのも束の間,やっぱり騎手は一人のまま。怪我をした一人はイーグルを走らせることができるのか? というところで,この巻は終わりです。
 これまでストライクイーグルは,どうも騎手に恵まれず優勝を失している気配がありますから,この一人の故障(?)が吉とでるか凶とでるか? 普通だったら,間違いなく「凶」なのでしょうが,はたしてどうなるのでしょう・・・・。

 この巻で一番大笑いしたのは,お母さんの次の一言。
「あらやだ,あたし何唄おうかしら」
う〜む,お母さんのカラオケの持ち歌って,なんなんでしょうか? 気になりますね(笑)。

98/04/26

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