ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』13巻 小学館 1998年

 本巻は,駿平の高校時代のガールフレンド二階堂真理子の登場がきっかけとなって,“恋の嵐”(笑)が吹き荒れる渡会牧場編であります。
 なにしろ収録エピソード11編のうち8編のサブタイトルに“恋”って字が入っているんですから(「STEP 135 恋はめんどくさい」というのも歌のタイトルあるいはそのパロディなのでしょうか? なんだか「どきり」としますね<なんかあったらしい・・・)。でも残り3編のサブタイルにいずれも“涙”が入っているのが,なんとも哀しいですね(笑)。
 「なんか女くさいところのある」(駿平談)真理子の存在が刺激になって,たづなはなんやかやと駿平に接近しはじめます。たづなのそんな姿に,周囲のものが彼女の気持ちを知るようになる中,気づいていないのが当事者の駿平(ほんま鈍いなぁ,この男)。

 考えてみると,この作品のはじめの頃,たづなは駿平をかなり嫌っていましたよねぇ。「この線からはいるな」って,小学生みたいに(笑)。でも嫌っていた相手に,しだいしだいに惹かれていくというのは,ラヴコメマンガの典型と言えるんではないでしょうか? まぁ,そのふたり(この作品では駿平&たづな)をメインにすれば,ラヴコメマンガとしては一件落着というところなんでしょうが,それがメインでないがゆえに,さまざまな悲喜劇を引き起こす展開になっていきます。なにしろ,“恋”の当事者のひとり,ひびきが駿平以上に鈍いですから・・・・。それにしても,梅さんとひびきの会話は笑えました。
 真理子に迫られている駿平の姿を見て,ひびきは駿平の魅力を梅さんに聞くのですが・・・。

梅「人当たりがやさしいっちゅうのんは?」
ひびき「あいつの場合 柔弱と言わない?」
梅「だれにでもわりかし親切やし」
ひびき「八方美人ところがあるからね」
梅「かと思うと一本気のとこもあるやないの」
ひびき「思いこみが激しいんだよ」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(^^;;;  ひびきちゃん,梅さんじゃないですが,もうちょっと「ぽじてぶ」な眼で見てやらんと・・・・。
 たしかに,「軽い」と「明るい」,「暗い」と「渋い」とは紙一重ですからね。同じ心持ち,同じ態度も,それに張り付けるレッテルで180度イメージが変わっちゃいますから・・・(でも,ひびきの駿平評もけっこう当たっているだけに,フォロゥのしようもなかったりして)。

 さて,ひびきの口からたづなの気持ちを聞かされた駿平。動揺のあまり,ひびきに告白してしまいます。駿平以上に動揺したひびきは,例によって愛想のない対応。駿平は「もうここでは働けない」と思いこみ,誰にも連絡することなく,東京の実家に帰ってしまいます。
 ここらへん,「おいおい,あまりに情けないぞ,駿平」といった感じですが,まぁ,それが彼の役回りなんでしょうね。渡会のお父さんも,昔は駿平みたいな感じだったのでしょうが,今ではしっかり“たよれるお父さん”になってますから(<ほんとか?),駿平,君にも明るい未来があるぞ!(<無責任)。

 ところでこの巻,とさか先輩がちょこっとだけ出演してますね(「危ないから指ささない方がいいよ」って・・・・(笑))。

98/01/25

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