高橋留美子『犬夜叉』4巻 小学館 1997年

 さて本巻の前半は,3巻から登場の子狐・七宝の父親の仇,雷獣兄弟との闘いであります。この兄弟,弟・満天の方は,カバというか,大山椒魚というか,力はあるけれど,マンザイで言えば「ボケ」タイプ,兄の飛天の方は,一見人間っぽいけれど,その性格は満天以上に残虐無惨,「ツッコミ」兄ちゃんであります。そのふたり(2匹?)にさらわれたかごめ,「犬夜叉はわたしに惚れてるから,わたしと四魂の玉と交換してくれるわ」と大嘘こいて,犬夜叉のもとに戻ろうとします。で,雷獣兄弟vs犬夜叉(&かごめ&七宝&冥加じいさん(笑))の肉弾戦とあいなったわけです。バトル・シーンは,『らんま1/2』と同じような感じで,「ま,こんなもんかな」といったところです(ずいぶん,失礼な言いぐさ!)。ラストで,かごめが死んだと誤解した犬夜叉が「待て! 行くな!」と,かごめの手を握るシーンが,ストーリー全体からすると,進展といえば進展でしょう。

 後半は,ふたたび「現代編」。「戦国編」と「現代編」が交互に描かれるというのも,パターン化しつつあるようです。またこのエピソードに出てくるのは,「タタリモッケ」という妖怪と,母親に嫌われたと思ったまま死んでしまったため,悪霊化しつつある少女の霊・真由ちゃん。どちらかというと『るーみっくわーるど』や『人魚シリーズ』に近い展開。というところで,気がつきました。もしかしてこの作者,この作品で,『らんま』以来の格闘系の展開と,『人魚』のような不気味系のお話を,両方やってしまおうという魂胆をもっているのではないでしょうか? そんでもって,後者は現代を舞台にしているのが多いのは,やっぱり,現代世界で犬夜叉が大暴れ,というのに,作者がためらいを持っているせいではないでしょうか? 現代で格闘系妖怪が大暴れしたら,警察やら自衛隊やらが出てきて,ひどく面倒くさい展開になってしまうからでしょうねぇ(笑)。とまあ,本巻を読みながら,つらつらと,こんな詮無いことを考えていました。

 それにしても飛天を「本気ね,このデコっぱち」って,かごめ,本当に今の中学生か,あんたは?(笑)。それに満天の方に「毛が3本」って,オバケのQ太郎じゃないんだから・・・。それから「現代編」で出てくる赤ちゃんを連れたお母さんの顔,ほとんど楳図かずおですね。なんだか,やけに古いマンガネタが多いです,この巻は・・・

97/12/21

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