JET『漂泊の天使 倫敦魔魍街7』 角川書店 1997年

 『ハロウィン』(朝日ソノラマ)なき後,JETの作品は,講談社やら角川書店やら,あちこちから出るようになりましたね。金田一ものとか,『花に恋して候へば』とか,オリジナルのものありますが,『死霊の花』や『花鳥風月殺人事件』といったように,『ハロウィン』など朝日ソノラマ版の再録も,けっこうあります。で,この『倫敦魔魍街』も,もともとは,朝日ソノラマ版で8巻まで出ています。今日,本屋に行ったら,角川版で1巻と7巻が並んでいました。1巻は朝日ソノラマ版の1巻とほぼ内容が同じだったので,買わず,角川版オリジナルらしい7巻だけ買ってきました。作者は講談社や角川書店に版権を移したのでしょうか? 1〜6巻が朝日ソノラマ版の再録で,7巻以降が,単行本未収録のオリジナル版になるのでしょうか?(ここらへんの事情は角川版1巻に書いてあるらしいです。やっぱり買おうかな?)

 ま,とにかく,狼男ホームズと吸血鬼ワトソンの活躍の場が確保されたようで,一安心といったところでしょうか。この巻は,朝日ソノラマ版の再録2本のほか,3本の新作(?)が掲載されています。

「夢見る人形(ドール)」
 こういう話,好きです。単純な幽霊譚といってしまえばそれまでですが,「誤解」や「思い込み」が怪異を呼び出すというパターンに惹かれるものが,わたしの中にあるようです。「彼はそれを知らないんじゃないですか?」というのは,ミステリぽくっていいですね。しかし,フレデリック(モリアーティ)はどうしたんでしょう,えらく明るくなってますよ(笑)。
「6番目の影」
 前作で,あまりに明るくなってしまったフレデリック(と作者)は,「これではいけない! 堕落してしまう!」と思ったかどうか(笑),この作品では,彼の悪魔的な本質が強調されています。「人を呪わば穴ふたつ」という,このシリーズでよく見るパターンです。ちょっと「切り裂きジャック」に結びつけるのは強引ですね。それと「悪魔を信じちゃいけないよ」という教訓(?)も含まれてます(笑)。
「漂泊の天使(エンジェル)」
 正真正銘の角川版『倫敦魔魍街』の第1作のようです。なにやらなつかしい面々が,いろいろと出てきます。これまたサイコ&モンスターですね。結局,ヴードゥーの人形は,母親の遺体だったのでしょうね。それで娘を守る側だったわけなのでしょうか,また,人形を作ったのは父親なのでしょうか? なんのために? なんか,人形と父親の関係がわかりにくかったです。

97/04/21

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