水田恐竜『放課後キッチン』5巻 ぶんか社 1998年
水田恐竜『邪夢パラダイス』ぶんか社 1998年

 『放課後キッチン』が「1998年12月10日初版」,『邪夢パラダイス』の方が「1998年12月20日初版」。で,『放課後』の帯には「水田恐竜,待望の最新刊!」,『邪夢』の帯には「大人気 水田恐竜のちょっぴりHなお蔵出し!!」・・・
 本屋でこの2冊を見つけたときのわたしの感想はといえば・・・・

 水田恐竜って,いっぺんに2冊もコミックが出るほど,人気あったんだぁぁ!!

という,失礼千万なものでした(笑)。

 そりゃぁたしかに『放課後キッチン』4巻の感想で,「1巻200ページ弱の本が,4巻まで出ているんですから,もうすでに泡沫4コマとは呼べないでしょうね。」などと書きましたが,でもまさか,2冊いっぺんに新刊が出るなんて状況,いったい誰が想像できたでしょうか?(<ますます失礼!)おまけに『放課後』はもう連載6年だというし・・・
 う〜む,恐るべし水田恐竜,侮りがたしぶんか社!
(でも,好きなマイナァ作家が人気が出るのはうれしいけど,その反面,ちょっとさびしく思うのが,ファン心理の不可思議さというもので・・・(^^ゞ)

 とまぁ,冗談(?)はともかく・・・まずは『放課後キッチン』5巻でありますが,もうこちらは安定路線という感じですね。ちかこ「お帰りシリーズ」(<4巻感想参照)は,あいかわらず訳のわからないコスプレですし(笑),サンディという恋人ができたも,例によって日本全国を放浪して,夏休みになると,人気のない山奥の廃村を「バンガローのあるキャンプ場」とだまくらかして,ちかこたちを呼び寄せるし(毎回行くちかこたちもちかこたちですが(笑)),ギャンブル狂のみづほは,競馬場に恋人の小千谷先生を忘れて帰ってしまうし(今回は,みづほの「運動不足ネタ」が妙に多かったなぁ・・・),といったところです。ちかこと幸夫との,所帯じみたHネタも笑わせてくれます。

 さて『邪夢パラダイス』の方はといえば,3分の2くらいは,はっきり言ってコテコテのH4コマです(この作者ですから,多少(?)屈折してますが・・・)。
 が,残り3分の1は,これぞ水田4コマ!といった感じの,「わけわからんけど,なんかおもしろいネタ」です。たとえば「尾大尽子(おだいじんこ)シリーズ」は,貧乏な生活から,17歳にして巨大企業の初代社長になった女子高生の話(といっても,もちろんサクセス・ストーリィなんかじゃありませんよ)。彼女がこれだけの金持ちになったきっかけは「リコちゃん電話」。ある日,拾った10円玉で憧れの「リコちゃん電話」にかけたところ,「リコねー,このあいだオーストラリアでクルージングしてきたのよ―」の一言。彼女はこれを聞いて金持ちになろうと決心したそうです(爆!)。でもって,弁当についてくるビニル製の草を使って「人工芝ゴルフ場18コース」を作ったり,やはり弁当の割り箸で「ログハウス」をつくったり,尽子は金にあかせて,わけのわからんことばっかりやる,というシリーズです。
 読んでいる方も,わけわからん,と思いつつも,なぜかクスクス,ニヤニヤ笑ってしまうから不思議です。

 人気が出てきた水田恐竜,はたして大ブレイクの前兆なのか,それとも,ロウソクのように消える前にパッと輝いただけなのか? 乞うご期待!(<ひでぇファンだ^^;;)

99/02/10

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