JET『花に恋して候へば』3巻 角川書店 1998年

 頃は元禄,花のお江戸の吉原を舞台に,「花鳥風月」の“白粉彫”に秘められた謎をめぐって,さまざまなミステリアスなキャラクタが入り乱れる「大ボラ時代劇」の完結編です。

 さて前巻で,“白粉彫”の謎を追う忍者軍団の長・弓月嵐童に捕らえられた花龍と右近太夫,さらに「黄楊(つげ)の郷」を滅ぼした元凶として,端倉幻兎を狙う初音,最後の彫り物“月”を背負うかと思わせる謎の女・月女,と,いよいよキャラクタ勢揃い,クライマックスへと雪崩れ込んでいくわけですが・・・。

ぐおぉぉ!! 
なんじゃ! このラストは!!
ふ・・・不満じゃぁ!!

 結局,「花鳥風月」に隠されていた秘密とはなんだったんだぁ!? 「四つが揃えば幕府がひっくり返りかねん」という秘密とは!!
 それをネタにして幕府から吉原を守る,そのためには「鬼」になる,と言ったって,謎そのものがはっきりせんと,説得力ないぞぉ!!
 でもって,それを背負う人物たちの故郷という「黄楊の郷」の正体もわからんぞぉ!
 当然ふたつの謎はつながっているはずなんでしょう??
 この作者,きちんとラストまで設定考えて描いておるんかぁ!!
 そしてラストの大地震。たしかに元禄16年(1703年)に江戸を大地震が襲っているのは歴史的な事実ですけど,まるでかつての『大ぼら一代』(本宮ひろ志)みたいに,収拾のつかなくなったストーリィを強引に終息させたみたいに見えますよぉ・・・(まぁ,あれほどひどくはありませんが。混乱の最中の幻兎vs嵐童のチャンバラはなかなか楽しめましたし・・・)。
 たとえ当初からそういう設定だったとしても,なんか前触れのひとつでも,あっておかしくないんじゃないかなぁ?? 歴史的にそんなことなくても,物語としてさぁ・・・。。

 こういった破天荒なお話って,けっこう好きなだけに,やっぱりそれなりの「結末」を期待します。いままで引っぱるだけ引っぱってきておいて,こ〜ゆ〜エンディングはあんまりじゃないでしょうか?
う・・・・うう・・・・・
う・・・わん わん!!
わおぉ〜〜〜〜ん!!
(おお,吠える吠える(笑))

98/08/08

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