椎名高志『GS美神 極楽大作戦!!』31巻 小学館 1998年

 さてさて,30巻で,アシュタロスの部下ルシオラから熱く迫られた横島,ベッドの上で悶々とした夜を過ごします。
「俺はる!! ヤらいでかああっ!! たとえこのまんがが発禁になっても俺はヤる!! そんな甘い男やないで俺は―――ッ!!」
だそうです・・・。まぁ,いまどき,Hシーンのひとつやふたつで発禁になるマンガもありませんが(笑)。ところが,ルシオラ,人間とHすると,アシュタロスが彼女たちに埋め込んだ監視ウィルスのため消滅してしまうことが判明! それを知った横島は,結局,血の涙を流しながら(オイオイ)ヤるのをあきらめ,なんとルシオラに,
「アシュタロスは―――俺が倒す!!」
と宣言! 煩悩パワー全開でアシュタロスに闘いを挑みます!
 をを! どうしたんだ,横島君! えらいかっこいいじゃないですか! 彼の霊力の源は「煩悩パワー」ですから,それを最大限引き出せる設定に持ってきて,最終決戦! というあたり,この作者のお話づくりの巧さでしょう。
 でも,そんな決意を胸に秘めてGS本部に戻ってきた横島を,
「ニセモノよ!! こんなの本物の横島クンじゃないわっ!! 正体を現しなさい,人間モドキ!!」
って拷問にかける美神たちって・・・(T_T)。まぁ,これまでの横島の行動パターンからすれば,その変わりように対するまっとうな反応かも(笑)(「煮えたぎる湯につけて,死ねば人間,無傷なら妖怪」って,中世の魔女裁判ですね。こういった細かいギャグの冴えは相変わらずです,この作者)。
 しかしそんなギャグをはさみつつも,横島の霊力は格段にグレードアップ! なんと美神に対抗できるくらいの力を付けていることが明らかにされます。そしてふたりのシミュレーションのバトルシーンに挟まれて,ふたりの最初の出会い(笑)の回想シーンが語られます。そのシーンは,あからさまなギャグなんですが,こんな回想が描かれるあたり,いよいよ最終回に近いことを匂わせます。

 そして後半,決戦の舞台は南極へと移ります(あの,曰くありげだった「南米」はどーなったんだろう?)。アシュタロスの毒牙にかかった美神ママ,その血清と引き替えに美神令子は南極へと呼び出されます。GS本部の「美神令子暗殺指令」を振り切って南極を目指すGSの面々,ドクターカオスにマリア,小笠原エミや六道冥子,雪之丞から唐巣神父,ピート,久々にオールスターキャストです。あのタイガーまでが活躍します(笑)。でもって一番笑ったのが唐巣神父のこんなセリフ。
「こんなこともあろーかと,主は我々に対空ミサイルを一丁与えたもーた!! 射ちたまえ横島クン!! これは聖戦だっ!!」
 どっかのあぶねー狂信者ですね,これじゃぁ(笑)。

 三枚目役が主役を喰う活躍をしたり,回想シーンが挟まれたり,おまけにここんとこ全然出番のなかったオールドキャラが総出演,とくれば,これはもうクライマックスへ向けて準備万端という感じですね。
 さぁ,最後に待っているのは,こてこてのギャグか? それともシリアスなエンディングか?

98/06/24

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