椎名高志『GS美神 極楽大作戦!!』30巻 小学館 1998年

 はぁぁぁ〜〜,もう30巻ですかぁ・・・。わたしの持っているコミックで,最長は高橋留美子『らんま1/2』の38巻,次が『うる星やつら』の34巻ですから,3番目の長さです(みんな小学館やなぁ・・・)。最近,連載作品が異様に長くなる傾向があるとはいえ,やはり30巻という長さは並じゃぁありませんね。

 美神の前世メフィストが飲み込んだエネルギ結晶を奪いに送り込まれたアシュタロスの手先,ベスパ・ルシオラ・パピリオの3人娘。彼らの圧倒的な力の前に,神族・魔族らは壊滅状態。唯一残された望みの綱は人族,GSの面々のみ。はたして世界の運命はいかに!

 「さぁ,盛り上がってまいりました!」というところなのですが,じつをいうと,前半はいまいちもたつき気味ですねぇ。とくに魔物やGSが持つ力を「3000マイト」という風に数値化してしまうのは,ファミコンのバトル系ゲームや,末期症状の『ド○ゴ○ボ○ル』と同じようなノリで,どうも馴染めません。むしろ,そういった力の差を,あの手この手,反則技,場外乱闘でやっつけていくのが美神の持ち味でしたし・・・。
 と,やきもきしていたところに,突如,美神ママが乱入,
「たとえ力で劣っていても,立ちはだかる敵を倒すのが,美神家の戦いです!」
と,弱気になった美神娘を叱咤します。パチパチパチ!(<拍手)。美神ママの登場で,ストーリィの緊迫感が,一気に高まったという感じです。とくに3人娘が乗る“兵鬼・逆転号”との戦いは迫力があります。やっぱり,母は強し,ですね(笑)。

 でもって,後半は横島が絶好調です。美神ママの指令で,「ポチ」として引き続き3人娘のもとでスパイ活動を続ける横島。「魔物に好かれやすい体質」が功を奏したのか,彼女たちの信頼(?)を得ることになります。とくにルシオラからは,なにやら熱い眼差しが・・・。じつは,メフィストの裏切りに懲りたアシュタロスは,彼女たちに1年間の命しか与えていません。それを知った横島も,彼女に心を寄せていき・・・,と,彼の言葉を借りれば,
「俺の人生でこんな美人とどーにかなることが何回あるのだろーか!?
確かめもせずに捨ててっていのか!?
できん!! 人類のためでも捨てきれん!!」
と,しょーしんしょーめー,人類の裏切り者と化しつつあります(笑)。
 ましてや,その美人から
「今夜,おまえの思い出になりたいから,部屋に行くわ」
といわれた日にゃあ,横島でなくとも,舞い上がろうというもの(笑)。
 人と魔物の道ならぬ恋に身を滅ぼしそうな横山の明日はどっちだぁ!
 というわけで,世界の運命よりも,横島の運命の方が気になる今後の展開です。

 ところで「どっかの古本屋のコスプレ店員みたい」って,どこの古本屋なんでしょう? 田舎者にはわからんぞぉ!!

98/03/25

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