椎名高志『GS美神 極楽大作戦!!』29巻 小学館 1998年

 28巻までの短編モードのシリーズが2編ほど入って,いよいよ対アシュタロス最終決戦です(ほんとに「最終」なんだろうなぁ・・・。本誌でまだ続いているから予断は許さないけど)。

「絶海絶命!!」
 本誌掲載が夏だったのでしょうね,お約束の“海ネタ”です。美神とおキヌちゃんの水着がまぶしい(笑)。さて元ネタ(?)は浦島太郎。横島が浦島と間違えられて,竜宮城に連れて行かれます。「横島」と「浦島」,う〜む,たしかに似ているけど,かなり強引ですね(^^;; で,竜宮城で待っていた乙姫さまが,なかなか怖い・・・。「いたい女」とか「地雷女」って,どういう意味なんでしょうかねぇ?(「地雷女」っていうのは「下手に踏むと危ない」という意味なのなかな?)。
 さて,横島の愛人に間違えられ,囚われた美神(2号)とおキヌちゃん(3号)。彼らに襲いかかるオオザメ! 美神はサメに酸素ボンベをくわえさせ,銃で爆破! って,『ジョーズ』やんか!!(笑)。まあ,この手の映画ネタは,この作者のお家芸と言ったところでしょう。
 そして,横島を助けるため,じゃなくて,怨みをはらすために戻ってきた美神に,横島は無事助けられ・・,ということでエンド。戻ってきた海辺が秋なのは,竜宮城と地上との時間の流れが違う,ということなんでしょうね。
「グレート・マザー襲来!!」
 結婚記念日をすっぽかした親父(じつはテロリストに襲撃されていた(笑))に愛想を尽かし,帰国した横島の母親。横島のバイトをやめさせ,ニューヨークに連れていくと言い出す。美神とおキヌちゃんは,果たして止められるか! というお話。6巻の「父帰る!!」では,横島の肉親とは思えないほど優秀な親父(スケベなところは,しっかりこの息子にしてこの親あり,ですが)が登場しましたが,今度はおフクロさんの登場です(6巻か・・・,父親が出てきたのは,そんな前だったんだ)。
 こちらもやはり,横島の肉親とは思えないパワフルなお母さん。なにしろ,結婚前までは「村枝(会社名ね)の紅ユリ」と呼ばれたスーパーOL! 横島の両親は社内結婚だったんですね。それにどうやら姉さん夫婦らしい。美神が不安になるのもよくわかります(笑)。それにしても両親がこんなにスゴイというのは,将来,横島が「化ける」伏線なのでしょうね(ああ,そういえば28巻で未来の横島が出てきたんでしたね)。
「仁義なき戦い!!」
 というわけで,いよいよ最終決戦(と呼んでおきましょう)の始まりです。突如現れたベスパ,ルシオラ,パピリオの3人娘。アシュタロスの指令で,美神を探しているというオープニングです。美神は,危機一髪で彼女らの襲撃を逃れますが,横島はパピリオのペット(名前は「ポチ」)として連れ去られます。嗚呼! 囚われし横島の運命や如何に!(笑)
 それにしても,ベスパらの攻撃を受けて,あっという間に,107ヶ所ある神界,魔界の俗界拠点が壊滅,残りは小竜鬼のいる妙神山のみ,って,ストーリィの展開があまりに早過ぎるぞ(笑)。まぁこの作者は,綿密な伏線を引いてちゃくちゃくとストーリィを進めるより,パワーで一気に押し進めるタイプですから,こんなこともあるのでしょう(もっともわたしは,この作者は,長編より短編に向いていると思っているのですが)。
 とにかくにも,いよいよ始まった最終決戦(だから暫定的に,だってばぁ)。このあと美神の母ちゃんやら,ルシオラと横島の恋やら,盛りだくさんのはず,きっちりと落とし前をつけてほしいですね。

98/01/20

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