椎名高志『GS美神 極楽大作戦!!』28巻 小学館 1997年

 『サンデー』本誌の方では,対アシュタロス最終決戦(?)が,ちゃくちゃくと,そしてハードに展開していますが,この巻はまだそこまでいってません。26巻以来復活した「短編モード」です。次巻あたりからかな,「仁義なき闘い」は?

「暗殺のソロ!!(その5)」
 前巻からの続きの最終回。せっかく燃やした裏帳簿は「科学」の力でしっかり復元。この眼鏡の女性は,やっぱり『マルサの女』の宮本信子でしょーね(笑)。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス!!」
 さてついに出ました未来ネタ。10年後の未来から,成長した横島がやってきた。なんと奥さんは美神玲子!「信じられんーー!! 信じられんけど,生きててよかったーー!!」(現横島談)。うんうん,よかったね,横島くん(T_T) でもおキヌちゃんファンは怒っただろうなぁ(笑)。でもって,それを知った美神,「ドラ・・・えもん・・・」には笑ってしまいました。でもこういった「未来ネタ」は,SF(?)っぽい作品には,もう定番という感じですね。『うる星やつら』の「未来ネタ」の結末はなかなか巧かったけど,この作品はちょっと安易かなぁ(というか,文殊そのものがねぇ・・・)。
「風と共に去りぬ!!」
 スカーレット・オハラ=美神玲子=呪いのモガチャン人形= 女監督,う〜む,たしかに似ている(笑)。
「最後の妖精!!」「精霊のささやき!!」
 新キャラ登場。絶滅寸前の妖精・鈴女(すずめ)。横島,おキヌにつづいて4番目の美神事務所の助手(?)と思いきや,結局,この2作で姿を消してしまったよーです。それにしても「野生化した暴走ダンプ」っていうのは,思わず笑ってしまいました,正体が××××というのは,ちょっといただけません。
「紙の砦!!」
 タイトルは,あの手塚治虫の有名な自伝的短編のパロディです(というか,まんまやないか)。内容はな〜んの関係もありません(笑)。久しぶりにパロディ満載の作品です。総元ネタは「お耽美小説」。いかにもその手の作品のイラストに出てきそーなタッチで美神とおキヌちゃんが描かれます(この絵,作者自身が描いたんでしょうかねぇ)。登場人物の名前も「安奈みら」(「アンナミラーズ」でしょうね)やら,「淀川ランプ」(「江戸川乱歩」?)といった感じです。この巻では一番おもしろく読めました。やっぱりこの作者の本領は,その旺盛なパロディ精神なのでしょう。それにしても『花の女子高三人娘ラブラブ・ミステリー・ツアー殺人事件』(安奈みら作)って,読んでみたい(笑)。

97/10/23

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