和田慎二『超少女明日香 雨の封印』白泉社 1989年
和田慎二『超少女明日香 ウェディング★スター』白泉社 1991年

 和田慎二の作品は,一時期かなりはまっていましたが,『ピグマリオ』の途中くらいから,『花とゆめ』を買わなくなり,それ以来しばらく離れていました。ところが,先日,『銀色の髪の亜里沙』を久しぶりに読んで,なんだかまた“火がついた”ようで,古本屋で,何冊かまとめ買いをしてきました(あまり好きな言葉じゃありませんが,“マイ・ブーム”ってやつですか?)。

『超少女明日香 雨の封印』
「超少女明日香 雨の封印」
 巨大な邪蛇とともに閃光に包まれ,一也の前から姿を消した明日香。が,明日香の死を信じられない一也は,ある日,テレビで奇妙なビデオを眼にする。それは雨の中で蛇と闘う少女の姿が映されていた・・・。
 シリーズものというのは,最初は独立したエピソードが続くのですが,しだいにエピソードごとに連関が生まれ,一編の長大な物語の形をとっていくのは,宿命なのかもしれません。このエピソードも,前作「眠る蛇」の続編といった体裁で,いわば「明日香復活編」です。
 主人公である明日香自身はあまり(ほとんど?)活躍せず,彼女を異次元から救い出そうとする一也が,ストーリィの中心となります。蛇神教団やら,自衛隊やら,米軍やら,例によってリアリティはありませんが(笑),明日香と一也のラヴストーリィという側面を持つこのシリーズの山場のひとつなのでしょう。
「深海魚は眠らない」
 10年前,殺人事件を闇に葬り去った男女が,一枚の招待状に導かれて,山中の洋館に招かれる。が,孤立した洋館で発生する連続殺人。偶然,館を訪れたムウ=ミサが見た復讐劇とは・・・。
 『スケバン刑事』の終わりの方に出てきたムウ=ミサが主人公のサスペンスです。彼のいう「ちょっとしたいきさつからひきついだ探偵事務所」って,やっぱり「神恭一郎探偵事務所」なんでしょうねぇ(笑)。
 和田作品のサスペンスは,復讐劇がけっこう多いですが,先日読んだ『銀色の髪の亜里沙』の頃に比べると,物語として,ずいぶんとソフィストケートされた感じですね。途中に挟まれる,狙われた人間たち同士の確執や,それによって起こる殺人,また人物の入れ替えトリックなど,なかなか読ませてくれます。それと一段落と思いきや,もうひとひねり,哀しいエンディングもいいですね(でも,殺人の容疑者が“あんなもん”を警察所内に持ち込めるのでしょうか・・・・(^^;;;)。
『超少女明日香 ウェディング★スター』
「超少女明日香 水底の騎士」
 夏休み,田添家の海の別荘を訪れた一也や明日香たち。しかし,海の底では謎の幽霊船が現れ,遊覧潜水艦を襲い,一也の姉と弟が濁った水で溺れそうになる。美しい海に隠された秘密とは・・・。
 この作品の目的は,ずばり! 明日香の水着シーンではないでしょうか(笑)。普段はちんちくりんの明日香ですが,危機に直面し,闘うときにはナイス・バディに変身します。今回は,一也の弟・正彦が明日香のために用意した水着を着るために変身します(笑)。おまけに,分身して海に潜る3人の明日香が,それぞれ別の水着をつけていたり,チンクシャヴァージョンの明日香にスクール水着を着せたり,この作者もけっこう「おぢさん」ですね(と,そういうところをいちいち指摘するわたしも似たようなものですが(笑))。このシリーズ,毎回,明日香のヌードシーンが出るというのも,どこかで聞いたことがありますが,今回はその代わりなのでしょう。
「超少女明日香 ウェディング★スター」
 ふたたび田添家に戻った明日香だが,母の“ある思惑”で伯母のもとに派遣されてしまい,焦る一也。そこで恐るべき怪事件が・・・。
 この作品,初出は1987年,すでに『花ゆめ』を読まなくなっていた頃なのですが,なぜかこの作品だけは雑誌で読んだ記憶があります(「水底の騎士」が初読なので,コミックで読んだというわけではなさそうだし・・・,なぜだろう?)。
 で,はじめて読んだとき「をを,いよいよ明日香と一也が婚約! 結婚!,ついに明日香シリーズ完結か!」と思いきや,そのエンディングに「ええ! そりゃないぜ! 和田先生よぉ」と,思わず,居酒屋でくだを巻くおやぢモードになってしまいました(笑)。
 でも,いま読むと,このあとに来るシリーズ最長編『救世主(メシア)の血』へのつなぎなんですね,このラストは。でもって,このエピソードに出てくる×××貝というのは,今回のエンディングの伏線というわけですね。う〜む,心臓に悪い作品だ(笑)。
 ところで,このあとの『救世主(メシア)の血』が,いよいよ明日香のファイナル・エピソードなのでしょうか? 早く読みたい・・・。

98/02/02

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