岡崎二郎『アフター0』6巻 小学館 1996年

 ひさしぶりに『アフター0』の最新刊! と思いきや,奥付を見ると,1996年10月発売。おおっ! なんと半年も前ではないか・・・。お気に入りのシリーズだっただけに,なんたる不覚・・・(と,これは愚痴)。

 さて本巻の目玉は,「大いなる眠り子」シリーズが,ついに最終回。死んだ夫の魂が,息子に憑依してしまったという設定で,14話まで続きましたが,ついに夫の魂が息子を離れることに・・・。
 最終回では,邪悪な憑依霊を登場させることにより,ひとりの人間を操り,その人生の一部を奪い取るということの重さを,あらためて主人公に気づかせるという設定で,なかなか描き方がうまいなと思いました。やはりこうならざるをえないでしょうねえ。こういう設定は,たとえユーモラスな作風とはいえ,よく考えてみればシビアな話ですから。

 そういえば「EPISODE11 進化の果て」も,なんかシリーズの最終回のような雰囲気ですね。これまで登場してきたいろいろなキャラクターが,ところどころに脇役として出演してます。わたしの好きな大洋電気総務課大木戸・花村コンビが,ひさしぶりにちょい役で出てきてうれしいです。
 で,初登場の1巻を読み返してみたら,絵がずいぶん変わっている! 顔が丸くなって,なんだか幼児化してます(笑)。この作者の絵柄は,デビュー当初から,かなり安定した感じで,それほど変化がなかったと思っていましたが,やはり時間の力というのは・・・。

 ところで,最近『ビッグコミック』系はぜんぜん読んでいないのでわかりませんが,先にも書いたように,最終回らしいエピソードを含むこの巻で,このシリーズもいよいよ最終巻なのでしょうか? スローペースの本シリーズのコミック化を楽しみにしていたわたしとしては,淋しいですね。

97/05/03

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