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  缶詰微分の問題をもう一つ解いてみましょう。


  (10)y=(2x−3x+1)

       5乗してから微分してもいいですが、計算が大変です。

       そこで、缶詰微分の登場です。

       (2x−3x+1)を缶詰に入れます。

       すると、

       y=(缶詰)

       となって微分しやすい形なります。

       y’=5(缶詰)5−1(缶詰)’

       最後の、(缶詰)’を忘れないでください。缶詰に入れたらかな

       らず、缶詰を開けましょう。(微分しましょう)



       y’=5(2x−3x+1)5−1(2x−3x+1)’

         =5(2x−3x+1)(4x−3)


       と簡単に微分できます。



 9.りょうかんが言いたいこと


  以上で、高校で習った微分を簡単に説明しました。ここで、もう一度微分の

 意味を考えてみます。



  最初は平均変化率を勉強しました。

   これは、2点を通る直線の傾きと同じでしたね。



  次に微分係数を勉強しました。

   虫めがねの図を思い出して下さい。平均変化率と違うのは、虫めがねで見

   ないと見えないぐらいの小さなxの変化と、そのときのyの変化の割合で

   したね。

   そう、dy/dxでした。このdyとdxを測量の誤差とみなすのです。

   だから、微分係数が一番大切です。



  次に導関数を勉強しました。

   導関数というのは、微分係数をxの関数で表したものです。微分係数の出

   発点のx座標をxと置いただけです。

   導関数を求めることを、微分する、あるいは単に微分といいます。



  最後に、微分の公式を勉強しました。

   昔の人が研究し導いた式を公式として、ありがたく使わせていただくので

   す。そういう気持ちが大事ですね。



  高校のときの微分は公式の利用が中心だったと思います。意味は解っていた

 かも知れないが、応用できない。どこに応用すればいいか解らない。要するに

 実務的な勉強が足りないのです。仕方ないですね、受験勉強だから。


  それと、わたしが感じていることがもう一つあります。それは、高校では

 y’=dy/dxをはっきり教えないことです。微分というのはdy÷dxで

 す。(dy割るdxです。)これをはっきり教えるべきです。


  わたしも高校を卒業して20年以上経ちますので、どのように教えられたか

 はっきり記憶していないのですが、y’=dy÷dxだとは教えられなかった

 と思います。だから単なる記号として扱っていてdy/dxよりもy’と書く

 方が速いので、そのうち本来の意味も忘れてしまうということになるのでしょ

 う。

  例を示します。

      y’=3で dx=0.02 のときyの誤差はいくらか。

     という問題があったときどうしますか?y’の意味が解っていないと

     求められませんね。

      y’=dy/dx=3より

         dy=3×dx

           =3×0.02

           =0.06

 と普通の計算で求められます。


  ここが良く解っていないと、果たしてそんなことをやっていいのだろうかと

 迷うことになります。


  もう一度言います。

  微分(あるいは微分係数)というのは dy÷dx のことだ。




  りょうかん:微分の意味をよく理解しておいてくださいね。

  樫原:わかりました。最初から復習してみます。

  りょうかん:いい心がけですね。勉強は繰り返しが大事ですからね。

  濱島:先生、わたしよく解りました。こんなに解ったのは初めてです。これ

     からもよろしくお願します。

  りょうかん:(泣きそうになりながら)思い込んだらだー。


 次回は、偏微分・全微分です。

 これでおわります。             


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