その21


 サンコンメ鬼火焚き  (sankonme)

山川町 浜児ヶ水

 

見物人の輪の中で竹を担いでくるくる回る 落した竹が割れると小銭が飛び出し、見物人は我先に拾う


サンコンメは山川町・浜児ヶ水「はまちゅがみず・はまちょがみず」に伝わる奇抜な祭り
新春1月7日に披露される伝統行事です。 鬼火焚き「うねっの火」の前に行われます。

頭にバッチョ笠「かぶい笠」を被り、半紙に無病息災・家内安全・五穀豊饒などの文字を
書き、その紙を貼りつけ、6尺2寸の孟宗竹をかつぐ。この6尺2寸の竹にも、同じように
書かれた半紙が貼られて、竹の中には小銭が入っている。それを肩にクルクルまわり、
目の回る・ヘトヘトになり、ついに孟宗竹を放り出してしまう。この時竹が割れたら中から
小銭が飛び出し、子供達見物人がこれを拾う。神棚に供えてその年の幸運を祈るもの。



朝から作ったなますを見物人に配る 孟宗竹とばっちょ笠 塗られると厄除けになるのへぐろを付けた女子


トップの写真の農協広場でスタート後、集落内 野道の木戸 東西のお地蔵さん前、そして納骨堂前の五ヶ所で舞う

このサンコンメの行事は、朝から集落センターで準備され、鹿児島特産のキビナゴを混ぜた
ダイコンナマスをつくり、孟宗竹にキリなどで穴をあけ、小銭を1年の10倍3650円詰めて
祈願の文字を書いた半紙を貼りつける。カブイ笠にも笠全体・すだれのようにもぶら下げる
以前は1本の孟宗竹で足りたそうだが、今は全個所コンクリートになって、割れやすくなったので
五本用意されて、次々に入れ替わり舞う若者によって、1ヶ所で1個消費される様にしているそう。

サンコンメの由来や起源については、はっきりせず、古老や古記録を調べても、祭りの開催はあったが
その起因などは定かでないそうです。三坤舞・三五舞・三魂舞・散米舞とかいろいろ推測されるそうです。
地域的に漁と密接な関係があるような話しもあるそうです。船になれない若者の船酔いの様子の表現
したものとか、船酔いに慣れるための、通過儀礼的なものではなかろうかなど、との説もあるようです。





鬼火焚き 「ウネッの火」   (onibitaki)






風光明媚な児ヶ水湾。この砂浜は掘ると50℃位の温泉が出る。左右中央真下が、集落の温泉浜児ヶ水温泉の取り入れ口。岬の突端に俣川洲・山は竹山、その下町営砂蒸し温泉

集落から急坂を下ると、風光明媚な砂浜に出る。ここが鬼火焚きの場所
朝から集落の家庭から集められた門松とともに、サンコンメで使用された、割れた孟宗竹も一緒に鬼火の中で燃やされる。真中に立てた孟宗竹の燃え倒れた方向で、陸側に倒れると豊作、海側に倒れたら豊漁と、その年の五穀豊饒を願った占いとしている。この柱の先にはご幣が結び付けてあり、子供達は倒れると、柱の先を持って火の周りを三回まわり、ご幣を奪い合う

門松などと一緒に、サンコンメで使用した孟宗竹も。火がつけられた。

倒れた柱「孟宗竹」を持って、三回まわる。
この行事は、地区の活性化やふれあいの場にも活躍されるよう、町指定の無形文化財となりました。サンコンメ祭りとして、公演会や健康相談、健康料理教室、スポーツ事業などと共催されています。サンコンメ自体は午後2時前後から始まります。見学者にもお神酒・ナマスのふるまいや、抽選会も行われ、景品も出ます。
へぐろは薪で鍋やカマについたススで、子供達はこれを大根にとり、誰彼かまわず顔に塗りつける。塗られると1年間平穏安泰で、厄除けになると言われています。

            取材撮影2004年1月7日


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