鹿  その36


 船こぎ祭り (funekogi maturi) 

吹上町 船木神社 ふきあげ・ふなきじんしゃ


吹上町伊作郷の5社のひとつ、船木神社は猿田彦命を祭り、大汝牟遅命が大和から海路、
宮内に下向の際供奉し、更にニニギノミコトの遷都の時も先導し海上安全の重責を果たした。
その伝説に因み、毎年の正祭には、宝殿に収められた数十艘のくり船「模型」を氏子が円陣を
つくって回し、ひとつひとつの船を顔の前で「えんやおー・えんやおー・えんやおー」と3回、
回転させ、船をこぐ櫓拍子で漕ぎ出し、その船を隣の人にまわす古式ゆかしい神事が行われる。




神社拝殿での神事  宝殿からくり船がまわされる

重いくり船は年配者にはつらい場面も  取材当日、町主催のバスツアーもあり、人数充実



                    取材2005.3・20  



春の田の神講 (tanokamiko)  たのかみこう

吹上町・小野  ふきあげ・おの


吹上町の小さな集落、小野には珍しい行事がある。子供達が餅を口で咥えて
引っ張りっこをするものです。起源は定かでないそうですが、古老の父親の
子供時代から続いているとのことで、100年以上は受け継がれてきている様です。



田の神像の前で、口に咥えた餅の引っ張りっこ                 餅・籾の入った藁包み

 神事は少し離れた奥神社で 神事参列者より、見学カメラマンが多い。
御供えには、もちろん餅も 集落公民館で昼食

                            
集落の小さなお祭り、小野の、春の田の神講。お昼頃大汝牟遅の神主を招き
奥神社で神事を行い、お昼は集落公民館で昼食をとる。公民館には掛け軸が
掛けてあり、これはその年、建前とか結婚・出産など、祝事があった者がこの
掛け軸を巻くという慣わしがある。其の後、田の神像のある場所で、子供達が
口に咥えた餅の引っ張りっこ「取りっこ」をして、田の神に背負わせた藁の中に
入れた餅の取りっこもする。秋にも田の神講が行われるが、春の講のように
夜の公民館での飲み食いは、しないという。餅の取りっこや飲み食いは、
レクレーションが少なかった事や、物の充分でない時代の楽しみだったようだ。


                    
  取材2005.3月20日


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