宮台真司 Miyadai, Shinji

宮台真司 『制服少女たちの選択』 講談社・1994年
本書はほとんどデビュー作と言える初期の本で、まだ宮台氏が「ブルセラ学者」とみなされていた頃の少し堅めの本。
前半の切り口はやはり、「ブルセラ」・「援交」ですが、こうした単語からイメージされるようなセンセーショナルな内容は(ほとんど)ないまともな本です。後半は新人類やオタクについての分析が中心。基本的な問題(テーマ)はコミュニケーションの分断(社会の島宇宙化)なのかな、と思います。それをどうやってうまく回していくか、ということを本書以後問い続けているんじゃないんかなー。だめ?違う?
2001/1/31
宮台真司 『これが答えだ!』 飛鳥新社・1998年
本書は「性愛・家族・学校・社会・国家・宮台」という6つのカテゴリーに分けられ、合計で100の質問に対して宮台氏が見開き2ページで明快に答えていく、というスタイル。相変わらず深い内容のわりにわかりやすいし、面白い。テーマや言ってることはいつものことなので、とくに目新しさはないけれど、宮台氏の思想を概観する上ではいいかもしれません。オススメは・・・カテゴリーとしては「社会」、細かいところでは宗教関係のところなんか笑えるかも・・・笑えない?
2001/1/24
宮台真司 『野獣系で行こう!!』 朝日新聞社・1999年
対談集。対談の相手は「マゾ男優(観念絵夢)から文部官僚(寺脇研)まで」(カッコ内は私)と表紙に書いてあるほど多様。内容は「セックス・実存・若者・教育・ニュータウン・学問・論壇」とこちらも多様。いつものフィールドといえばフィールドですが。
特に面白おかしく書かれているのは「論壇」の部分で、いつものように論壇人(右も左も)が馬鹿にされまくっている。読んでるこっちも勘違いしてしまいそうなほどバッサバッサと斬られまくり。読み応えがあるのは小室直樹との対談。長いし、知らないことばっかり(笑)。
以前から一部で物議を醸していた表紙ですが(今、母親に「何?その本?」と言われてしまいました)、シールを剥がしてもたいしたことはありません。情報提供してくれた友人に感謝(笑)。
2000/12/18
宮台真司 『自由な新世紀・不自由なあなた』 メディアファクトリー・2000年
前半は「ダ・ヴィンチ」連載の「世紀末相談」。風邪をひいていて気弱になっていたのもあるかもしれないが、かなりブルーになりかけた。「久々の『鬱状態』か?」と期待したがすぐに去ってしまった。いろいろ考えさせて(教えて)くれるけど、まぁ普通。私が面白く読めたのは「自由と秩序 −自己決定と社会システム論」のところで、一部から非生産的と揶揄される(笑)I氏とのやりとりを思い出した。あとは『戦争論妄想論』に入ってたやつとか、『援交から革命へ』に入ってる「天皇のモード」の話など。
2000/11/02
宮台真司 『援交から革命へ』 ワニブックス・2000年
本書は宮台真司の解説を集めた「多面的解説集」。それぞれの解説に対して、もともと解説が付された本や映画の作者自身のリアクションが組み合わされている。相変わらず宮台さんお手軽な本の作り方やってるなぁというのが第一印象だが、中身はもちろん硬派である(軟派もあり)。
しかし、ざっと中身を見渡してみると、私が読んだ本はただ一冊、桜井亜美の「イノセントワールド」のみ。映画は一つも見ていない(さびしい私の教養)。作品を読んだり観たりしていないのに解説だけ読むのは邪道な気もするが、そこは宮台、巧妙に自説に近づけており、独立した論文(エッセイ)として十分読める。
読んで面白いのは後半。サブカルチャー以降が面白い。特に私のお薦めは「なぜ海が聞こえなくなったか」(氷室冴子『海がきこえる』徳間文庫解説)。以前大学院の後輩Y氏が「男の子はロマンチックだ」と言っていたのだが、この解説を読んでわかったような気がする・・・んだけど(笑)。
あと、もともとそうなのかもしれないが、本書では宮台真司の「思想」だけでなく宮台真司の「実存」、あるいは「実存的関心」があらゆる場面で顔を出し、強調されたりする。なにやら人間的な宮台真司が垣間見えるようで引き寄せられてしまいそうになる。でもちょっと待て。なにやら「罠」の匂いがする。それでもかかってみたい魅力的な罠だ。
2000/10/24
・発行年等は手許にある本の表記に従ってあります。
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