橋爪大三郎 Hashizume, Daisaburo

橋爪大三郎『世界がわかる宗教社会学入門』筑摩書房・2001年
私の宗教理解など、全く怪しいものである。橋爪が指摘するように「日本人にとって、宗教は知的な活動ではないから、病気や災難にあってこまっているひとの気休めか、人をだます迷信ということになる」という域を超えない。
人の災難につけ込む新興宗教の話はよく聞くし、伝統宗教の、法事にやってくる坊主はどうでもいいつまんない説教をして、一時間で十数万もふんだくっていく。多分、後者が僕の仏教に対する不信感のスタートだろう。しかし、その仏教の堕落が、江戸幕府による宗教政策が原因とは・・・(ホントかな?)。
宗教社会学は、「宗教」がそれを信仰する人々(社会)の価値観を規定する重要な枠組み(の一つ)であることを前提として、それをキーワードとして社会の在り方を説明していこうという学問である。
宗教は人間の行動様式を知る上で重要なファクターであるけれど、日本人は基本的に無宗教で、先ほど書いたような先入観みたいなものもあるから、宗教を信じ、それに忠実であろうとする人間(つまり外国人)を理解し難かったりする。それはまずいでしょ、というのが橋爪氏が本書をだそうとした動機だ(と書いてある)。
取り上げられるのは、代表的な世界宗教で、ユダヤ教(あれ?民族宗教だ)、キリスト教(宗教改革を含む)、イスラム教、初期仏教、大乗仏教、儒教、あとは日本における仏教、儒教の変容など(尊皇攘夷含む)である。
橋爪さんの文章は平易。ものすごくわかりやすい。ただ・・・、これは単行本じゃなくて、ちくま新書だったりすると、もっと多くの人に読んでもらえたのではないかなぁ。そうすると分量が減ってしまうのかもしれないけど。
2001/9/16
この後、アメリカのテロ事件が起こり、イスラムや宗教に対する関心が高まって、関連書が多く見られるようになった。お陰で本書も増刷。手に入りやすくなった。読みやすいと思うので興味ある方はどうぞ。
2001/11/26
・発行年等は手許にある本の表記に従ってあります。
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