
2ヶ月児の母斑
Q:8月29日(火)で丸2ヶ月になる息子のことでご相談いたします。
私たち夫婦は、東京都内に主人の両親と同居しています。
私は専業主婦、主人は比較的育児に積極的で、仕事から帰ると夕暮れ泣き する息子を一生懸命あやしたり、お風呂に入れてくれたり、寝かしつけてくれたり と私にとっては本当にありがたいほど協力的です。
主人の両親は、二人とも退職して今は旅行をして余生を楽しもうと一生懸命で、 家を空けることもしばしばですが、息子を本当によくかわいがってくれ、 私が買い物に行く間観ていてくれたり、昼間一緒に沐浴を手伝ってくれたり、 私たちが食事の間あやしていてくれたりして協力してもらっています。
息子は、生まれつき額に1.5cm大の黒い母斑があります。
生まれたときは、主人とも他にどこも悪くなく健康で生まれてきてくれたので、 母斑のことはしばらく様子を見て、無理なく治療できるようであればそのうち 病院できちんと治療を受けさせてやりたいと話していました。
しかし、先日ある育児雑誌でそのような母斑のことについて書いてある中に、 「治療はできるだけ早い方が効果的なタイプのものもあるので、皮膚科への 受診は早めに受けた方が良い。」とありました。
出産のときにお世話になった助産院の紹介で、早速ある大学病院の形成外科へ 受診した所、母斑の表面を削り取る方法が良いのではないかということでした。
手術はできるだけ早い方が効果的とのことでしたが、本日ご相談したいのは、 そのために必要な術前後合せて1週間程度の入院のことと、全身麻酔への不安です。
このような月齢2ヶ月という乳児が1週間も母親の元を離れて入院することは、 先々の精神的ダメージが大きいので、入院するなら個室でお母さんも一緒に 入院しなくちゃだめ、と出産時にお世話になった助産婦さんにいわれました。
現在息子は母乳のみで育てていますので、そのことへの不安もあります。
しかし、個室で1週間の入院となると、費用の問題も起こってきます。
主人は、費用のことを考えると、病院に一任するのがよいのではないかという 考えですが、私としては助産婦さんの助言のように息子への将来的な精神的 ダメージが気になります。
2ヶ月の乳児を親元を離れて1週間入院させることに付いてその精神的ダメージ という観点からどうお考えになるかお答えください。
どうしても入院しなければ 命が助からないという病気や怪我ではないので、親としてどうしてあげるのが 最善か、迷っています。
また、全身麻酔のことについて万が一の危険がありはしないかと心配です。
そのことについてもお教えください。よろしくお願いいたします。A:ご主人やご両親等家族ぐるみで子育てに励んで居られることに敬意を表します。
母斑は探せば小さいのはどこかに見つかるものです。時に悪性のものもありますが、大部分は良性でありますが、美容上の心配で除去したいとの相談が多いようです。
医学の進歩により、形成外科は著しく発達しました。殆ど跡形なく除去出来るようです。
しかし実際は専門的技術に左右されますので、担当医の技量は大事な選択肢の一つです。
良性の母斑であっても、肉親の心は痛むのですが、健康上は何も問題無いわけです。
数年前似たようなケースを形成外科の専門医に相談しましたら、『本人が気にして、「とってくれ」と言うまでほっといて良い』と聞いたこともあります。
結論は、診察医と良く相談し、納得の上お任せするのが良いと思いますが、急ぐ必要はなさそうです。
発育の盛んな時期でスキンシップが極めて大事です。除去するにしても、集団生活に入る頃を目処になさっては如何でしょうか。
医学は麻酔に限らず、注射針を刺すだけでショックを起こすこともあります。
自然にあるものは、自然のまま生涯残しても立派な人生ではないでしょうか。
平成12年8月29日
