水痘の移行抗体

 : 3才4カ月の長女の幼稚園で水痘とおたふくが流行しております。
水痘の予防接種はしておりますがおたふくはしておりません。
昨日よりこの子の体幹(脇腹上部)にかゆみをともなう小さな発疹が出現、本日 臀部と右上腕内側にも同様のものが出てきました。 発熱はありません。
下に4カ月の男の子がおります。
娘の症状が水痘であるとすれば下の子にもうつることは覚悟しております。
4カ月の子の重症化の可能性ならびに治療について、発症後のゾビ ラックスの内服は可能でしょうか
現在完全母乳栄養で、私自身は小児期に水痘はかかっております。免疫移行は期 待できないのでしょうか
また今回の長女の症状が水痘でなかったばあい、彼女が将来母親になるときまで 予防接種の効果というのは期待できるのでしょうか。
私はもと麻酔科医です。母親になってみてもっと学生、研 修医時代勉強しておけば、と悔やむことしきりです。
 また、当直のとき、夜中に子供の熱発で電話をかけてくるおかあさんにもっと 思いやりある態度をとるべきだったと、母親になってからおおいに反省もしてい ます。

:4ヶ月で水痘に罹患しても年少故に重くなるとは思えません。自然 の経過をとるものと予測します。
発症初期にゾビラックスは有効です。
母体免疫が移行し ないのは、結核、ポリオ、百日咳、等ですが、水痘も母親 の免疫抗体価の状況によっては移行しないことがありま す。
移行することもあるとの理由で、水痘ワクチンは1 歳以降の接種を推薦します。
ワクチンは生ワクチンなの で、終生免疫が期待されています。
しかし高齢者の結核 再発が最近話題になったように、ブースター効果が無くなれ ば再感染が起こる可能性はあります。
それはなってから の後講釈で仕方ないのではないでしょうか?...
医学は幾ら勉強しても、全てをマスター出来る訳ではありません。
個々の症例で勉強を重ねれば、それなりの体系が出来てゆくものと思います。
医者は一生が勉強と反省の繰り返しと考える昨今です。
平成12年6月13日

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