星新一編『ショートショートの広場8』講談社文庫 1997年

 このシリーズももう8集なんですね。何年か前に,第1集だけ買って読み,「これはおもしろい」ということで,たしかそのときまでに出ていた5集まで,まとめ買いして,一気に読んだ記憶があります。その後,出るたびに買っていますが,最近はちょっと惰性で読んでいるという感じです。まあ,おもしろいのもあれば,つまらないのもある,といったところです。こんなこというと失礼ですが,「ひまつぶし」にはもってこいです。今集は,やけに「老人のボケネタ」が多いな,という気がします。いくつかおもしろかった作品だけ,コメントします。

橘真吾「三つのお願い」
 ショートショートでよく見かける「三つのお願い」ネタですが,最後の落ちがいいです。
まほ「聞いても,いい」
 なんかえらいシュールで,奇妙な味わいがあります。
渋谷良一「決心」
 ほのぼのしてます。
木邨裕志「イミテーション」
 最後に思わず「うまい!」と思いました。
徳永敦世「美貌の人妻」
 これは怖いです。「匿名の悪意」ですね。
久保祐一「癒しの時」
 ブラックです。女性の気持ちがわかります。
八塚顔高「みんなの願い」
 ミステリでいうところの「ミスディレクション」がうまい。
角藤展久「家族募集」
 これもシュールです。設定で「ドキッ」とします。

97/04/02読了

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