江坂遊『短い夜の出来事』講談社文庫 1997年
内容にはいる前に一言。本書には「奇妙で愉快なショートショート集」という副題がついています。学習雑誌の付録というか,4コママンガ雑誌のキャッチコピーというか(「ワハハ! 春を呼ぶ大爆笑号」みたいな),思わず赤面してしまうような垢抜けない副題ですね。なんとかなりませんかねえ。
「ショートショート」というのは,「ミステリ」や「ホラー」あるいは「SF」とかいった「内容」による分類ではなく,「形式」による分類(ギョーカイでは原稿用紙20枚程度のものだそうです)なのだな,という,当たり前といえば当たり前のことを,改めて感じました。わたしにとって「ショートショート」というと,やはり星新一という巨大な存在のせいでしょうか,即「SFショートショート」というイメージがありますが,本作品集は,前作『あやしい遊園地』につづいて,じつに多彩な内容のショートショートがてんこ盛りで,いろいろな味付けの作品を楽しめました。あまり楽しめなかったのもないわけではありませんが,46編のショートショートと,「ハイパーショートショート」と名づけられた「一発芸」的超掌編60編もあるのですから,それも仕方ないでしょう。気に入った作品のみいくつかにコメントを。
97/06/16読了