ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』23巻 小学館 2000年

 23巻であります。コミック版『機動警察パトレイバー』が全22巻ですから,代表作を超えるヴォリュームとなったわけです。う〜む・・・なんだか,感慨深いものがありますね(おそらく作者が一番感慨深いのかもしれませんが・・・)

 さて,妊娠を機に,結婚を決意した駿平ひびき。ふたりの結婚に対する「二大反対勢力」(笑)といえば,駿平のおかーさんと,ひびきの弟祐騎。このふたりが,彼らの行く手に立ちふさがるのであります(<やけに大げさ^^;;)。
 まずは,なかなか子離れのできないおかーさんですが,これはもう,駿平がどうの,ひびきがどうの,というより,おとーさんの「技あり」といったところでしょう。駿平とひびきの結婚におかーさんが反対するであろうことを見越したおとーさんは,彼女の気先を制して,駿平に向かって罵詈雑言(って,ほどでもないか),おかーさんを駿平を擁護する立場に置いてしまい,なしくずしにふたりの結婚を許してしまいます。このおとーさん,会社ではけっこう出世しているような設定ですから,ここらへんの人の使い方は,じつに巧いですね。策士です。これじゃ,当分,駿平はおとーさんに頭が上がりそうにありません(笑)。
 もうひとりは祐騎でありますが,こちらは,まずは,祐騎の方が「奇襲」をかけてきます。東京で,挨拶もせずに帰ってしまったと思いきや,駿平とひびきが渡会牧場に帰ってくると,居間には祐騎の姿。さてさて,ふたりは彼を説得できるのでしょうか?(最近,祐騎は口は悪いけど,駿平に嫉妬するシス・コン少年じゃないか,という気がしてきてます(笑))。

 ところで,この巻で,ちょっと驚いたシーンがふたつほどありました。ひとつは,突然北海道にやってきた駿平のおかーさんの前をにして泣くひびきです。これまで,彼女が涙を流すシーンは何回かありましたが,こういった「泣きじゃくる」という感じの泣き方は,はじめてではないでしょうか? ひびきのキャラクタ設定からすると,少々意外な感があります。う〜む,「恋」(というか「妊娠」というか)は女性を変えるもんなのでしょうかね?
 それともうひとつは,あぶみのセリフです。「結婚を前提としたおつきあい」をしている猪口の自信満々の言葉に対して,
「あら? 選ぶのは猪口さんの方だけなのかしら? あたしの方は夫を選べないのかしら?」
と笑顔で問い返します。こちらは,ちょうどひびきの場合と逆で,どちらかというとのほほんとした,暢気なキャラクタであったあぶみが,さらりと,それでいて核心を突いたような発言をすることに,「やはり,このおねーさん,ただ者ではない」という思いを強くしました。

 本巻で爆笑してしまったのが,梅さんの一言,
「君ら,そんな趣味が・・・ムチ持ってこよか?」
です。妊娠のため好きな馬にも乗れず,ストレスがたまるひびきを,駿平なりになぐさめようとする,ほほえましいワン・シーンなのですが,やっぱり端からは「そーゆーふう」に見えるんでしょうね(笑)

00/05/31

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