ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』19巻 小学館 1999年

ををっと! 色っぽいカヴァだぁぁ!!

 というわけで,前巻でファースト・キスをかわした駿平ひびきでありますが,いよいよこの巻で,はじめての「熱い一夜」(=^^=)であります。
 嵐の夜,という,まぁわりとありがちなシチュエーションであるとはいえ,展開やその描写には,へんないやらしさがなく,自然で健康的な感じがしますね。かといって,そーゆーシーンが持っているエロチシズムみたいなものが欠落しているわけではなく,そこらへんもしっかり伝わってきます。
 少年誌には,未成年がタバコを吸っちゃいけないとか,お酒を飲んじゃいけないとか,なにかと規制があるようですが,やはりこういったセックス・シーンも,いろいろとうるさいんでしょうね(そのわりに暴力関係はルーズですが^^;;)。でも今回のような展開と描写ならば,いいんじゃないでしょうか? やっぱり,こういうところに,この作者の画力の確かさみたいのが出るんでしょうね(ところで,ここにいたるまで,駿平が20歳になるのを待っていたのでしょうか?)

 この巻のメインは,そんなファースト・ナイトをめぐるエピソード(「STEP 203・204 嵐の金曜日」)ではありますが,その前に,「STEP 194〜197 秋の気配」と,「STEP 198〜202 恋の1時間は孤独の千年」がはさまれます。
 「秋の気配」は,いわば「駿平モンモン編」(笑)でありまして,なかなかふたりになる機会のない駿平が,なんやかやと苦労するエピソードです。キスするときに歯があたってしまうなんて,なんかやたらと初々しくていいですねぇ。それにしても,ひびきちゃん,駿平とのデートにのプレゼントしてくれた服を着るというのは,ちょっと考えものですよ(笑)。駿平の気持ちがよくわかります(でもまぁ,マフラのことを考えれば,たしかに,どっちもどっちかもしれませんが)。
 「恋の1時間は・・・」の方は,逆に「ひびきモンモン編」です。実家から父親が入院したという知らせの来た駿平は,急遽帰省します。なんとか電話で連絡を取り合いたいふたりではありますが,なにかと邪魔が入って(<作者の陰謀とも言う(笑)),行き違いの繰り返し。理性ではわかっていても,「ソレデモワタシハサビシイ・・・」と思いながら,眠れぬ夜を過ごすひびき。「連載200回目」ということもあって,そんな気持ちのひびきを描いた見開きページは,恋する少女のせつない気持ちがじつに巧みに表現してますね。これまでのひびきのキャラクタとの(言葉は悪いですが)ギャップも,適度な隠し味になっているのでしょう(う〜む,自分でもよくわからない比喩だ^^;;)。
 それと今回は,駿平の両親がひさびさの登場。お母さんは相変わらず「子離れ」できないようですが,お父さんが,えらいかっこいい役回りです。
「母さんはオレの女房だ。おまえの恋人じゃない」
なんて,まぁ,恥ずかしげもなく言ったもんだ(言ったあと,ちょっと頬を赤らめていますが(笑))。この親父,真面目一辺倒かと思いきや,なかなかの役者ですなぁ・・・

 ところで,この作品のサヴ・タイトルには元ネタがあることが多いですが,この「恋の1時間・・・」も,なにかあるんでしょうか?(ご存じでしたら,ご一報を)。でも,元ネタのあるなしに関わらず,なんとも秀逸なサヴ・タイトルですね。

98/06/22

go back to "Comic's Room"