高橋留美子『犬夜叉』1巻 1997年

 『少年サンデー』の大看板,高橋留美子の新作です。以前どこかで作者が「諸星大二郎みたいな伝奇作品が書きたい」というようなことを書いていましたが,それが『るーみっくわーるど』1巻の短編群や,『人魚シリーズ』のような超スローペースの連作になったんでしょう。で,今回,いよいよ伝奇ものの連載が始まりました。

 物語は現代の少女・かごめが,戦国時代にタイムスリップするところから始まります。ここらへん「炎(ファイヤー)トリッパー」に近いですね。ところがその戦国の世は,妖怪が跋扈する世界。そこで少女は半妖の犬夜叉に出会います。紆余曲折の末,ふたりは,「四魂の玉」を探し求めることになります(おお,『ドラゴンボール』(笑))。

 『るーみっくわーるど』1巻や『人魚シリーズ』は,多少ギャグははいるものの,むしろシリアス描写に重点が置かれていますが,この作品は,同じ伝奇ものとはいえ,ところどころかなりギャグが入っています。やはりシリアスだけでの連載はきついのでしょう。あるいは編集側からの意図が働いているのかもしれませんが。まあ,ともかく物語はテンポよく進み,これからの展開が楽しみです。ただこの手の「探索もの」は,つい展開が一本調子になり,おなじようなエピソードのくり返しに陥る危険性をはらんでいますが・・・。短期集中で,『人魚』のようなシリアスオンリーのエピソードも読んでみたいですね。

 「逆髪の結羅」というキャラクターはなかなかいいですね。無邪気な顔した邪悪な妖怪,って感じで。

97/04/22

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