水田恐竜『放課後キッチン』6巻 ぶんか社 2000年

 先日,久しぶりに4コマ・マンガ雑誌を買ったら,知らない作家さんたちが目白押し。でもって,その新人(?)さんたちの絵柄やネタが,これまた似たり寄ったり。この作家さんたちのどれくらいが「生き残る」のかなぁ,などと,思わず遠い目をしてしまいました。
 そんな新陳代謝の異様に早い4コマ・ギョーカイの中で,本作品もはや6巻目。巻末の書誌情報を見たら,いまでも『みこすり半劇場』で連載中とのこと。もうこうなったら「H4コマ界」の『サザエさん』を目指しほしいものです(笑)。

 さて,わんぱく幼妻(<コミック帯より)吾妻ちかこと愉快な仲間たち(って,なんだかすごく古い言い回し^^;;)が,例によって繰り広げるドタバタ&所帯コメディでありますが,あいかわらず,ちかこの兄タケの「秘境ネタ」(と呼んでいいのか?)やら,ちかこの「お帰りシリーズ」,学校を舞台にした試験ネタ,文化祭ネタと,安定したギャグをかましてくれます(多少,マンネリ気味もないわけではありませんが)。
 この巻で,わたしのお気に入りは,サンディに誘われてちかこが陶芸教室に通うというシリーズ・ネタです。ちかこが,はじめて作りたい焼き物ということで,「火焔式縄文土器」「遮光器土偶」を出すあたり,じつにこの作者らしいところですね(「だいだらぼっち様」シリーズなどもあるように,なぜだかこの作者,こういった考古学ネタというか古代ネタが好きなんですよね。本編の作品ではありませんが,弥生文化が日本列島に広がったのは,「幸運を呼ぶ弥生式土器」を売りつけるマルチ商法によるものだ,というネタがけっこう好きです)。
 で,ちかこがわけのわからんものを作る一方で,「日本オタク」のサンディは,作務衣を来て本格派,できあがった作品が気に入らないと,その場で割ってしまう「ゲージツ家」(笑)。そんなふたりを見ているうちに,「だんだん楽しみになってきたな」とつぶやく陶芸のセンセーに苦笑してしまいます。なんか気持ちわかります(笑)

 そのほか,新しいタイプのネタとして,「お帰りシリーズ」の変形ヴァージョン,ちかこ以外のキャラクタが「メイドさんロボット」に入るシリーズもおもしろかったですね。「ロボットの中は誰か?」という謎(笑)があって,そのオチも,H4コマらしい軽いお下品さで,楽しめました。
 それと,ちかこが,学校の友人トキを誘って(その強引な「誘い方」が爆笑ものです),夜の学校を探検するという,いかにもちかこが思いつきそうなネタもいいですね。これまたH4コマらしいオチながら,ちょっとひねっているところが,この作者の「ひねくれ」がよく出ています。

 それにしても,内扉(というのか?)のちかこのヌード,これ,なんのパロディなんでしょう?

00/10/05

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