ゆうきまさみ『ゆうきまさみのはてしない物語』角川書店 1997年

 月刊誌に1回1ページ。1年でもわずかに12ページ。それでもそれを12年間も続けると,単行本1冊の分量になってしまう。受験産業お好みのフレーズ「継続は力なり」,あるいは「塵も積もれば山となる」を,地で行ってしまったような本です。1985年4月から96年6月まで,『ニュータイプ』というアニメ誌(?)に連載された(今でも連載しているのかな?)エッセイコミックです。

 ちょうど『サンデー』で,『究極超人あ〜る』の連載が始まり,アニパロ誌からメジャー誌へと飛躍した頃から,『パトレイバー』の大ヒット,そして『じゃじゃ馬グルーミングアップ』と,『サンデー』の看板作家へと,大きく環境が変化した時期に並行して書かれています。ですから,絵のタッチは多少変わっていますが,なんというか,「手ざわり」というか「色合い」は,むしろたんたんとして,変化していないことに驚かされます(もっとも後半に競馬ネタが多くなるのは『じゃじゃグル』の連載と関係があるのでしょうが)。もちろん「成長していない」という否定的な意味でなく,作者の視点とかスタンスといったものが,周りの環境やらあつかう素材に関係なく,一貫して存在しているように思えます。あるいはいい意味での「一本気のアマチュアリズム」みたいなものを感じました。

97/02/25

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