細野不二彦『ギャラリーフェイク』16巻 小学館 1999年

 6編のエピソードを収録しています。

「ART1 わたしを宇宙に連れてって」
 「Fly me to the moon」というスタンダード・ナンバがありますが,それが現実のセリフとして生きてくる時代なんですね。宇宙には行ってみたいと思ってますが,サッカーにはあまり関心がないので,両者をミックスさせたこのエピソードは,ちょっとピンときませんでした^^;;
「ART2 花と器」
 「地蔵vsフジタ」は,このシリーズのひとつのパターンになりつつあります。こういった「競争もの」「試合もの」って,お話作りとしては楽なんでしょうが,少々ワン・パターンであることは否めませんねぇ。
「ART3 革命に死す」
 キューバ革命,チェ・ゲバラ・・・現代史ものです。夭逝した革命家というのは神格化されやすいですからねぇ。死者に勝てる生者なし,といったところでしょうか。
「ART4 草原の仏陀」
 『愛しのバットマン』にも相撲ネタありましたね,この作者,ファンなのでしょうか(笑)。チベット系の仏像とか,曼陀羅とかは,他の仏教美術にはないエロチックな雰囲気がありますね。チベットやモンゴルといった自然環境の厳しいところでは逆に,人間や神様の像というのは,生々しさを持つのかもしれません。
「ART5 黒い画商たち」
 バブルの時代に,絵画や美術品が,政治家・大企業の賄賂代わりに使われていたことは有名ですから,ヤクザが絡んできてもけしておかしくはないのでしょうね。
「ART6 かくも長き不在」
 こういった頑固婆さんというのは,いいですね。そばにいたら腹立つかもしれないけど^^;。ところで,サラが見せたフジタの写真,なんで蟹喰ってるところなんだ?(笑)
「ART7 生贄」
 この元ネタになった少女のミイラのことは,新聞で読んだことがあります。それにしてもミイラから遺伝子を取るというのは,なんだかすごいですね。フジタが言うように,まさに「現代科学への生贄」という感じがします。でも,それで新薬が発明されれば,それはそれでいいようにも思いますが・・・
「ART8 この胸にときめきを・・・」
 巨乳と小乳ねぇ・・・わたしはどちらかというと・・・(以下自粛(=^^=))。こういうのを読むと,美術の世界って,よーするに,フェチの世界なんでだな,というのがよくわかります^^;;

98/05/10

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