朝 礼 訓 辞
平成26年7月2日
500年程前、ドイツにデュラーとハンスという美術工房で働く若い見習職人が二人、画家を目指して働いていました。 しかし、給料は安く、いつも貧乏で筆を取るほどの時間もないほど働かなければ、生活がままならないほどでした。 そこで仲の良い二人は相談しました。ハンスが「君が画家として成功するまで、俺が働いて仕送りするからお前が画家として成功した後、次は俺が絵の勉強をしよう。」と約束しました。 ハンスはドイツの鉄工所に残り、学資のため一生懸命に働きました。 デュラーは、イタリアのベネチアに行き、画家を目指し、一生懸命に勉強を始めました。 3年が経ちました。デュラーの名はベネチアでも評判になり始めました。作品も売れるようになり、「今度はハンスの番だ」とドイツのハンスの所へ帰ります。 帰国して握手した時、デュラーはハンスの手を見て、号泣します。 友の手は重労働のために変形し、もう絵筆を握れなくなっていたからです。 しかし、ハンスは、デュラーのために祈り続けていたので、デュラーの成功を喜び、涙しました。 デュラーはその愛に感動し、ハンスのごつごつとした手を「祈りの手」として描きました。これが有名な「祈りの手」と呼ばれるデュラーの代表作なのです。 力を尽くして、こころを尽くして他の人を愛しなさい。 貧しい人を助けなさい。苦しむ人に手を差しのべなさい。 病む人を慰め、いたわりなさい。 という言葉があります。 7月に入りました。まだ梅雨が続き、その後暑い夏がやって参ります。体に気を付けながら今月も頑張りましょう。 せいざんの患者さん達をよろしくお願い申し上げます。 |
医療法人純青会 せいざん病院 理事長 田上 容正 |