また、本来Y君は月・火・金曜の登園であるが、「センターで、お友だちとあそぶのは楽しい」
という気持ちが持ち続けられるようにということで、最初の一週間は毎日登園にして、
様子を見ることにした。
さらに2に関しては、Y君は身体全体で変化を楽しめるような大きな動きのあるあそびや
キャラクターが好きなことから、アンパンマンなどキャラクターを描いた等身大のダンボールを
用意し、Y君の働きかけに対し、必ず反応が返ってくるあそびをつくっていった。
 
◎この間におけるY君の様子の変化
・1〜2日目‥仲間のあそびに入った時点でお母さんに「バイバイ」を言ちてもらい、出て
 行ってもらった。Y君はスタッフにしがみついた。スタッフが励ましているところに
 Y君が気に入っている、ダンボールあそびを目の前で展開していくと、少しずつ関心を
 示し、笑顔も出てきた。お母さんを思い出したように泣き出すことはあるが、部屋の外には
 出ようとせず、スタッフの「おはようするよ。」という場面の切りかえ(自由あそび〜おあつまり)の
 声かけで、自分から気持ちを切りかえ、保育室の中に入っていった。
 また、お迎えのときはお母さんの姿を見たとたん、涙を流しながらしがみついていった。

・3日目…別れた後、思い出して泣くが、やはり「おあつまり」で気持ちの切りかえがで
 きた。お迎えのときは、笑顔を見せながらお母さんにとびついって行った。

・4日日…1日日からのダンボールを出してあそぶが、なかなかお母さんからも離れなかった。 
 スタッフみんなでいろいろなあそびを試みてみるが、いまいちで、Y君はお母さんのひざに
 いたが、お集まり5分前に「バイバイ」した。しばらくは泣き続けたが、すぐ「おあつまり」で
 自分から気持ちを切りかえ、保育室に向かっていった。スタッフは、Y君の好きなダイナミックな
 あそびを展開できなかったことが原因の一つにあると考えた。

・5日目…スタッフはY君とのあそびをどのように展開すればよいか行きづまりを感じて
 いたが、この日は、発想をかえ親子の紙あそびの実践をしてみた。黒い色画用紙を
 3メートル四方に広く張り合わした枠の中に、真っ白の紙の玉がコロコロと自分の前に
 転がってきたとき、Y君は自分から手を出し、枠の中に入ってあそび始め、
 最終的にはたくさんの紙の山の中に飛び込んだり、埋もれたりしながら、そしてさらには、
 大きな紙のボールを仲間と一緒につくるなど、最後まで生き生きとあそぶ姿が見られた。

◎家庭での様子や、家庭とのとりくみ
1日目は、家に帰ってからもお母さんがしっかりとY君の相手ができるように、他の子
どもたちは、祖父母に預かってもらっていた。しかし、帰る途中の車の中でもお母さんに
しがみつくわけでもなく、いつもと変わらず不安を感じさせない感度だった。また、お母さん
ばかりでなく、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんにも「がんばったね」と励ましのことばを
かけてもらった。
〈考 客〉
この1週間を振り返ってY君のがんばりに、スタッフも感動した.Y君のお迎えの様子
の変化からも、Y君の気持ちの中にも少しずつ自信がついてきているのを感じた。また5
日目の実践で、前日までのY君の好きなキャラクターの箱や大型積み木を工夫もなく、そ
のまま出していた実践を深く反省した。次の週からは、Y君はどんなあそびが好きで、ど
んな風に出したらとびついてくるか、またY君だけでなく他の子もおもしろそうだったら
Y君のあそびが中心となって、仲間たちとのかかわりも生まれ、Y君も自信がついてくる
のではと考えられるようになり、Y君だけでなく、他の子どもたちのあそびにも発展が見
られるようになった。 
《U期〜母子分離後》
Y君もだんだんと自信をつけていく中で、時には不安になったりもしながら、少しずつ
自分からあそびに入っていくようになり、9月の運動会では多勢の人が見守る中、しっか
りと自分の力で巧技台へ向かう姿や音楽リズムを楽しむ姿を見せてくれた。運動会後の、
畑あそびや小麦粉粘土あそびなどの身体全体を使ったあそびでは、Y君のあそびが友達の
あそびに広がっていくようにもなり、お友だちとのかかわりも生まれはじめた。小麦粉粘
土からおだんごづくり、そしてうどんづくりを体験して、家でもクッキーづくりもできる
ようになったというれしい知らせもあった。12月からはお話タイム(帰りの会の前に親子
で一緒に絵本や絵カードを見る活動)も始まり、歯みがきからお話タイムまでお母さんと
しっかりできるようになった。まだ不安なときもあるが、今後は仲間集団の中で、Y君の
自我を太らせ安定させることができるのではないかと、スタッフも見通しが少し持てるようになった。