事例A
【小麦粉土遊び】
11月下旬の課題遊びに,小麦粉粘土遊びの活動を取り入れていきました。
この活動では、足で踏んだり、手でひっぱりっこするのに、いい位のこね具合の小麦粉枯土を
たくさん用意して子どもとじっくりと取り組みました。
身体ごとひっぱり合いをしたり、こねたりする子ども、ちぎってちぎってを繰り返す子ども、
型押しや指で穴をあけるのを楽しむ子ども、小麦粉粘土での遊び方にもいろいろありました。
その中で、なかなか小麦粉枯土遊びを「おもしろそう。」、「やってみたい。」とまだ思えない
子どももいました。そこで、スタッフ間の話し合いで、導入にも工夫をすることにしました。
TくんやSくんは、畑遊びのときは道具を使っておおいに遊んでいたのですが、
今一つ自分から向かってこないのです。そこで、ペットボトルにサラダ油を入れて、
最初にTくんとSくんにその油を小麦粉の中に入れてもらい、みんなでこねてみました。
楽しい遊びを自分が一番に作ったという自信がSくんにはついて、それからの小麦粉枯土遊びには
自然に向かってきました。しかし、Tくんは手だ触るのが気になるのか、油を人れることはするが、
その後の遊びはまだ遠くから見ているだけでした。
また、Uくん、Eちゃんに小麦粉粘土にじっと目を向けてもらおうと、小麦粉枯土を大型パンの
ように作って、大きなかたまりを大きな動作で、子どもたちのすわっているところに持って行き、
提示するやり方もしました。そのとさは、UくんやEちゃんも「何だろう。」というように、みんなの
そばによって来て、われさきに小麦粉粘土をひっばる様子に目を向けていました。
その後、Uくんもみんなの輪の中にすーつと入ってさて、小麦粉枯土を足で踏んで、
また離れる行動も見られるようになりました。「Uくんすごいね。」と、つい声が出てしまいました。
そんな中で、Tくんにはどう対応するかをいろいろ話し合う中で、Tくんの大好きなアンパンマンの
顔を書いた箱を用意しました。「ばく、アンパンマンにパンをあげる。」、「もぐもぐね。」と言いながら、
アンパンマンに小麦粉粘土をあげる友達につられ、Tくんも少しずつ、小麦粉粘土に触れるようになり、
小麦粉枯土をちぎって、「ばくもする。」とやるようになりました。
この様子をみてもっともっと遊ぶ楽しさをしってもらいたいというスタッフの願いが高まり、
次は、めん棒やお皿をさりげなく出してみました。NくんやHくんは細く伸ばしたり、おもちゃの
包丁で切ったり、お皿に並べたり、丸めたのを積み重ねたりしました。
そして、「これハンバーグだよ。」とか「おいしいケーキでしょ。」と言って、スタッフや友達に
食べてもらおうとする楽しい遊びへと発展していきました。Tくんもめん棒や包丁を使うことで
小麦粉粘土への抵抗も少なくなり、みんなと同じように「これパンだよ。」とか「ホットケーキ作ったよ。」
などと言いながら、遊ぶ楽しそうな姿が見られるようになりました。
こねたり、丸めたりする小麦粉粘土遊びは、食文化へとつながる発展として、今年も親子クッキング
「だんご作り」を実践しました。
絵カードを使い、見通しを持たせてから、身仕度に移る活動で、親子ともに楽しく参加できたようでした。
(お母さんの感想より)
初めて経験するおだんご作り。子どもは、粘土は苦手なのでどうなるのだろうと、
どきどき、はらはらでした。先生がポールの中で粉をこねるときは、じ−と見つめ何を
するのだろうとという表情だったのですが、いざ自分に小麦粉が届くと、いやという拒否がみられ、
もしかしたら、喜んでするのかなと少し期待して いたので少しがっかりしました。
その後、トランポリンに行ったり、エプロンを はずすと、大さわぎをしていたのですが、おだんごを
お湯に入れて浮いてきたの を、おたまで取り上げるという作業が始まると、友達がするのを見たり、
自分も やってみたりして順番も抵抗なく待てました。事前に子どもへの接し方を園長先生に
指導していただいていたので。活動に加わらない子どもに対しても、無理強いせず、
きつく接することもなくよかったと思います。
 センターでもおいしくおだんごを食べました。おみやげのおだんごを祖父母にも見せ、
ひとっずつ配ってあげていました。夜には、父親に「センター、おだん ご食べたよ。」と話していました。
親子クッキングの経験のあとも、引き続き小麦粉粘土の 実践をしていきました。
その中で、子どもたちの活動が2組に分かれるようになりました。道具を使って見立て遊びの
できるグループとちぎったり、集めたり、さわったり、感触を楽しむグループです。
この段階でグループごとに分かれての活動も必要な時期に入っていると確信しました。
そこで、道具を使って見立て遊びのできるグループの活動をクッキー作りへと持っていきました。
小麦粉枯土遊びの時のように手で十分こねて、めん棒でうすくのばし、型抜きの用具を使って
型をぬくのです。その後、ホットプレートの上で焼きます。クッキングの体験を覚えていた
Tくん、Nくん、Hくんはホットプレートやポールを見ると、「ばくたちお料理する。」と、とても
意気込んでいる様子が見られました。めん棒も上手に使いながら、「これ、ばくの。」とか、
「上手だね。」とかお互いのクッキーを見合う雰囲気の中で作っていきました。
Tくんは、初めてその日参加したKくんにも「はい、どうぞ。」と、何度も渡してあげたのです。
それは、Tくんが最初見るのもいやになるはど、小麦粉粘土に抵抗があったにもかかわらず、
この間の小麦粉枯土遊びからクッキングをする中で楽しさを実感してTくん自身が遊びを楽しめるように
なった結果だと思います。
 焼き上がったクッキーを別のグループで遊んでいた友達もさそって一緒に食べました。
お互いの良さを引き出し合う実践の中で子どもたち同士も食文化へとつながる活動として
体験できた一日でした。
 降園の時、この日の様子をお母さんに報告しました。すると、お母さんはびっくりされたのです。
というのもチョコレートやキャンディーは好んで食べるけれどクッキー頚は今まで口にしたことが
なかったそうなのです。お母さんはその日、「家でも焼いてみたいです。」ということでクッキーの
種を持って帰られました。よはどうれしかったのでしょう。
次の日、さっそくお聞きしましたら、Tくん、お母さん、姉弟一緒にクッキーを焼いて食べたということでした。
これが、本当の生活へのつながりなのではないでしょうか。
クッキー作りやだんご作りをする中で自分たちで作ったのをみんなで食べることで食への広がりを見せた
子どもはほかにもいました。
子どもたちの発達段階をさちんと把握して、分かりやすい提示の仕方やつながりのある活動をする中で、
一人一人が確実にカをつけていくのだと実感しました。