実践報告(1997年度)
 ここ1・2年療青センターでは、日常の療育実践を展開していく上で、子どもがいろいろな
場面で主体的になっていけるために、子ども自身がわかって楽しめる生活・あそびづくりを
大切にしようと、これまでの実践を見つめ直し、子ども集団の実態に合わせ一つ一つ
ていねいに実践を創りあげていく作業を重視してきています。
子ども集団にしても毎年変動があり、今年度は9人もの新入園児を迎え、昨年とはまた、
全然違った雰囲気で’95年度の実践をスタートさせていきました。
 今年度は特に、実践を見つめ直すという点では、月1回のVTR撮りによる実践分
析と理論学習が共同研究者の存在で実現し、より一層実践に科学性をもたせられるように
なりつつあります。こうした学習は、より子どもの発達課題を明確にする必要性に迫られ、
自ずと職員間での話し合いも活発になっていきました。
<’97年度の実践>
’96年度より実施された療育センタへの専門職配置としての発達相談員や作業療法
土の位置づけと、具体的実践は子どもの発達援助をすすめていく上でよりきめ細かい対応が
できるようになり、親の方々にもよろこばれました。また、今年度は、発達相談活動の
一環として、共同研究者によるVTR撮りと学習会が実現し、これは、親の会でも
好評を得、さらには、日常の実践を見つめ直す作業へと継がっていきました。
 今年度は、昨年度後半に引き続き、年度始めに1年間の療育実践について、プログラム化
したものを元に、目の前の子どもたちに1年間を見通して、どんな力をつけさせたいか、
どんな子どもに育ってほしいかなど十分に話し合う時間をとり、職員間の共通認識を
大切にして実践をすすめていきました。1年間のとりくみについては、昨年同様、
9月後半までのとりくみをまとめあげていく「運動会」、その後3月初旬までの
「大きくなったお祝い会」を大きな節目として位置づけ、とりくみを創っていきました。
実践のこだわりどころとしては、一人一人の子どものそれぞれの実態に合わせ、
“わかって楽しむ力を太らせよう!”ということに主眼点をおき、日常の実践においても
子どもたちが一つ一つの場面をどのように捉え、楽しめていたかに注目していきました。
 実践については、パニック状態に終り、1日のほとんどを泣きわめいてすごしている子、
自我の確立にとりわけ弱さをもち、なかなかみんなの中で力を発揮できないでいる子、
人との関係の弱さが目立ち、なかなか自分から遊べないでいる子、そんな子どもたちとの
あそび実践ですが、子どもたちのさまざまな障害や発達段階をしっかりとらえた上で、
子どもたち一人一人が心から“楽しい”と実感できるようなあそびの実践づくりを
昨年に引き続きめざしました。しかし日常は、毎日々楽しい実践ばかりで創れる
わけではありません。時には、一生懸命考えたつもりの実践が子どもたちに受け入れられず、
子どもたちから手痛い評価を受けたりする中で、「私は子どもとあそべない!」と涙した日。
目の前の職員集団のよさを実践にうまく生かすために何度も何度も話し合いを
重ねながら、ようやく年度後半頃になって子どもたちのこころ(あそびを楽しんでいる様子が
見えはじめます。こうして職員集団は子どもたちと一緒になってあそびを
楽しめるようになっていきました。今年度は、年度当初から、今年の子どもたちは
今までの子ども集団とはひと味ちがうまとめあげ方ができるかも…。と予感させるものは
ありながら、そのことが実践を通して確信となっていったのは、年明けの1月頃でした。
それぞれの子どもたちの自己表現が豊かになり、どの子も楽しさを表現できるように
なっていました。
 また、自己表現という点では、2月に開催された「鹿児島県の療育体験研修」で、
京都からI先生に来ていただき、「音楽療法」の研修会をセンターの親子や職員みんなで
受講できたことが大きな成果となりました。
<子どもたちの状況と療育実践>
今年度の療育センター在籍児は25名。これまでとは違い3歳以上の子どもでいっぱいに
なってしまいました。
 その中には、障害がはっきりしている子どもはもちろんのことではありますが、障害というよりも、
子どもの育ちの不安定さによる発達のゆがみをもつ子どもが何人か含まれてくるようになりました。
子どもたちの療育年数を見ていても、今年度卒園する子ども10名のうち6名は、幼稚園・保育園を
経験して卒園していきました。
 子どもたちの集団の質も今年は大きく様変わりし、継続児5人の中に、1歳半の節を乗り越える
課題をもつ3・4歳児が新しく加わり、1日12名平均の集団編成で日常の療青実践を
展開していきました。日常の療育実践には、自然との向き合いをたくさんとり入れ、
海、山、川、畑と季節に応じてダイナミックな実践活動を展開していきました。
子どもたちは、生活と結びついたダイナミックなあそび体験の中で、着実にあそぶ力を太らせ、
人とのかかわりにも深まりが見られていきました。
 また、今年度は特に、「音楽療法」をとり入れることができたことで、大きな成果が生まれました。
日常の療青実践の拡がりを創れただけではなく、子どもたちの自己表現の力を更に太らせる
ことになりました。
 1年間の活動のまとめとしての「大きくなったお祝い会」では、ウクライナ民話の『てぶくろ』を
題材に音楽での自己表現や、仲間たちとのかかわり合いのおもしろさを子どもたち一人一人が
楽しんでいる様子を、1年間の子どもたちの育ちとして、たっぷり披露することができました。