【お話タイム】
 2学期あそびのなかで、しっかり活動を見通す力をっけはじめた子どもたちに、
よりつもりやイメージの世界を楽しめるようになってほしいと、生活の力(イスを運ぶ)
との関係の中で、自作の大型絵カード・絵本・ペープサートなど使いながら、
帰りの時間に『お話タイム』の時間を位置づけていきました。一定の経過のなかで、
楽しいお話の時間を期待するだけの気持ちが、子どもたちのなかに十分に育ってきたと
判断した私たち職員は、帰りのおあつまりをあえてプレイルームでするようにし、
子どもたちは自分の部屋からイスを運んでさて、おあつまりに参加するという形をとりました。
 お話タイムでの最初のお話は、子どもたちのあそびとも関係があり、子どもたちが
大好きなものでもある「機関車トーマス」の大型ペープサートにしました。
 トーマスが車摩から出てきて線路を走ったり、トンネルをくぐって車庫に戻るという
単純なお話から始めましたが、そのお話の世界を十分楽しんでいる子どもたちの姿に
可能性を感じ、今度は「のせてのせて」の絵本を参考にして、列車に動物のお客さんを
のせていくなど、工夫・発展させていきました。こうしてペープサートは子どもたちの
お楽しみになり、その後の紙芝居や絵本へと拡がっていったのです。
 お話タイムが子どもたちの帰る前の楽しみとなり、日課のなかに位置づいてくると、
保育者の「お話はじめるよ!」のことばかけで自分のイスを取りに、自然と保育室へ向かう
子どもたちの姿も見られるようになってきました。
 最初、一人ではイスを持てず、お母さんと一緒に運んでいたAくんも、大好きな
お話タイムへの期待と見通しを十分もてるようになると、自分でイスを取りにいき、
自分の身体の半分はあろうかというイスをプレイルームまで一人で運びきることが
できるようになりました。楽しいお話を早くみたいという期待感が主体的な行動を生み、
生活の力を充実させていった姿にたくましい成長ぶりを感じることがでさました。
 また、ことばは持っているものの、コミュニケーションとしてのことばになりにくく、
人との関係に弱さを持つHくんは、お話タイムの時、お話の絵に出てくる登場人物を指さし、
お母さんを見上げて名前をいいながら共感を求める姿に、お話の世界をお母さんと一緒に
楽しもうとする、人との関係の育ちも感じさせられました。
 このお話タイムの取り組みで子どもたちがつけてきた力は、『大きくなったお祝い会』での
パネルシアターでも十分に発揮されました。環境の変化に敏感な子どもたちが、
大勢のお客さんのなかでも、自分で保育重からプレイルームにイスを運び、しっかりと
お話を楽しみ、そのイメージをあそびへつなげていくことができたのです。
 この取り組みを通して、活動とのつながりのなかで、目的を持って道具を使っていくという
生活の力をしっかりとつけていった子どもたちの育ちのすばらしさを実感す
ることがでさ、今後、子どもたちが生活のなかでより一層自分の力を拡げていく可能性を
見いだすことができました。
【トマスの汽車あそび】
10月の初め、職員集団みんなで一つの願いをもちました。子どもたちの好きな遊具
(大工さんボランティア製作による黄色い箱車)でのあそびをヒントに、ただ箱車を押したり、
乗ったりするだけではなく、子どもたちのあそびを絵本の世界(のせてのせて)に継げて
あげたら楽しいだろうなー、と意識的に絵本とあそびのつながりを作って遊ばせて
いきました。反応は良好。もっと発展させたい!と更に検討が続きます。
7〜8人がいっペんに乗れるようなキャスター付き大型車の発案、そして職人さんによる
夢の大型のりもの誕生の実現です。ブッブーあそびの楽しさを知った子どもたちは、
すぐにいい反応を示してくれ、次のあそびへと発展していきました。
 一人あそびが多く、なかなかお友だちとあそべない自閉性障害のRくんに注目して
いくなかで、「機関車トーマス」の絵入りの持ち物が多いことを知り、早速あそびに
とりいれました。『トーマスの汽車あそび』のはじまりです。
 7〜8人乗りの大型ボードは、汽車あそびの主人公となって、毎日子どもたちから
愛用されていきます。保育者に引いてもらわないと動かない大きな汽車。
乗ったら楽しく、7〜8人のお友だちと一緒にも乗れます。
 母子分離がようやくでき、みんなのなかで少しずつあそび始めたKちゃんも、よく家の側を
通る汽車を見にいったり、踏切を渡ったりするのが好きでした。そんなKちゃんは、みんなと
一緒にあそぶ汽車あそびで、より仲間を意識するようになりました。
中でも生活のお部屋も一緒で、Kちゃんが走るといっも追っかけてくるKちゃんのことが
大好きになり、自分からKちゃんの腕を引っ張ってあそびに誘うようになりました。
Kちゃんも誘われるのが嬉しくて、はりきってKちゃんの誘いに応えていさます。
そこへ、以前からKちゃんに関心を寄せていたY君も加わり、おさんぽやマテマテおいかけ
あそびでも、お母さんや保育者を尻目に、3人で夢中になってあそぶほど、仲間との
関係を深めていきました。
 “みんなであそぶって楽しいね!もっとやって!”子どもたちはどんどん訴えてきます。
汽車あそびでのこの生き生さした姿を、子どもたちは「大きくなったお祝い会」で
お父さんやお母さん、そして関係者の方々に今年1年の成長の姿として披露しました。
当日、たくさんのお客さんにも圧倒されることなく仲間と楽しくあそぶ姿を見せてくれた
子どもたち。私たち職員にとっても、今年度の実践の成果と来年度の実践への意欲を
かき立ててくれる一日となりました。